高等学校数学III/積分法

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テンプレート:Pathnav ここでは、数学IIの微分・積分の考えで学んだ積分の性質についてより詳しく扱う。また、三角関数や指数・対数関数などの関数の積分についても学習する。

高等学校数学の全ての分野を学んだ後に学習に取り組んでほしい。

不定積分

積分の基本的な性質

積分法について

{f(x)+g(x)}dx=f(x)dx+g(x)dx, af(x)dx=af(x)dx(aは定数)

が成り立つ。


導出

{f(x)+g(x)}dx=f(x)dx+g(x)dx

の両辺を微分すると、

左辺 =右辺 = f+g

が従う。

よって、

{f(x)+g(x)}dx=f(x)dx+g(x)dx

の両辺は一致する。

(実際には2つの関数の導関数が一致するとき、 それらの関数には定数だけのちがいがある。

仮に、F(x)とG(x)が共通の導関数h(x)を持ったとする。

このとき、

(F(x)G(x))=h(x)h(x)=0

となるが、0の原始関数は定数Cであることが分かる。

よって、両辺を積分すると、

F(x)G(x)=C

となり、F(x)とG(x)には定数だけの差しかないことが確かめられた。

よって、

{f(x)+g(x)}dx=f(x)dx+g(x)dx

は定数だけのちがいを含んで成り立つ式である。 より一般に、不定積分が絡む等式は定数分の差を含めて成り立つというのが通例である。)

af(x)dx=af(x)dx

についても両辺を微分すると、

左辺=右辺= a f(x)

が従う。

よって、

afdx=afdx

が成り立つことが分る。


関数 f(x) の原始関数を F(x) とすると

abf(x)=F(b)F(a)=(F(a)F(b))=baf(x)dx である。

acf(x)dx+cbf(x)dx=(F(c)F(a))+(F(b)F(c))=F(b)F(a)=abf(x)dx

置換積分法

関数の原始関数を求める手段として、 積分変数を別の変数で置き換えて積分を行なう手段が知られている。 これを置換積分と呼ぶ。

f(g(x))dg(x)=f(g(x))g(x)dx


導出

f(g(x))dg(x)=F(g(x))xについて微分すると、

F(g(x))=f(g(x))g(x)

再びxについて積分すると、

f(g(x))dg(x)=f(g(x))g(x)dx


また、特に

  • f(ax+b)dx=1af(ax+b)d(ax+b)
  • {f(x)}nf(x)dx=1n+1{f(x)}n+1+C(n1)
  • f(x)f(x)dx=log|f(x)|+C


例えば、(ax+b)2dxを考える。

t=ax+bと置く。

この両辺を微分すると dt=adx が成り立つことを考慮すると、

t2dta =t33a+C
=(ax+b)33a+C

となることがわかる。

実際この式をxで微分すると (ax+b)2 と一致することが分る。

置換積分を使わずに計算することも出来る。

(ax+b)2dx =(a2x2+2abx+b2)dx
=a23x3+abx2+b2x+C
=a23x3+abx2+b2x+b33a+C

(C=b33a+Cと置き換えた。)

=(ax+b)33a+C となり確かに一致する。


部分積分法

関数の積の積分を行なうときある関数の微分だけを取りだして積分すると、うまく積分できる場合がある。関数 g(x) の原始関数を G(x) とすると

f(x)g(x)dx=f(x)G(x)f(x)G(x)dx



導出

積の微分法より {f(x)G(x)}=f(x)G(x)+f(x)g(x) である。これを移項して

f(x)g(x)={f(x)G(x)}f(x)G(x)

である。両辺をxで積分して

f(x)g(x)dx=f(x)G(x)f(x)G(x)dx

が得られる。


例えば、

x(ax+b)3dx =x((ax+b)44a)dx
=x((ax+b)44a)(x)(ax+b)44adx
=x((ax+b)44a)(x)(ax+b)44adx
=x((ax+b)44a)(ax+b)44adx
=x((ax+b)44a)(ax+b)520a2


部分積分を n 回行うと、

f(x)g(x)dx=f(x)g(1)(x)f(x)g(1)(x)dx=f(x)g(1)(x)f(x)g(2)(x)+f(x)g(2)(x)dx=f(x)g(1)(x)f(x)g(2)(x)+f(x)g(3)(x)++(1)nf(n)(x)g(n)(x)dx

となる。 ここで、g(1)(x)g(x) の不定積分の任意の一つ。g(2)(x)g(1)(x) の不定積分の任意の一つ。... g(n)(x)g(n+1)(x) の不定積分の任意の一つというように定める。このように、積分記号で何回も不定積分を計算するのはやや面倒なので、次のような表を作ってみると計算しやすい。

符号 微分 積分
+ f(x) g(x)
f(x) g(1)(x)
+ f(x) g(2)(x)
f(3)(x) g(3)(x)
()n f(n)(x) g(n)(x)

この表から、部分積分を n 回行った結果は、

一行目の符号 × 一行目の微分 × 二行目の積分 + 二行目の符号 × 二行目の微分 × 三行目の積分 + ... + n行目の符号 × n行目の微分 × n行目の積分 dx

と求まる。n行目の微分 が 0 であった場合は、最後の積分は消えて、不定積分は

一行目の符号 × 一行目の微分 × 二行目の積分 + 二行目の符号 × 二行目の微分 × 三行目の積分 + ... + n-1行目の符号 × n-1行目の微分 × n行目の積分 + C

となる。

この方法は俗に瞬間部分積分法と呼ばれており、部分積分を複数回繰り返す際の計算を非常に簡略化できるため、受験数学では重宝されるテクニックの一つである。記述で用いる場合、上の表をそのまま記述するよりも、「部分積分を繰り返し用いると」という文言の後に瞬間部分積分で求めた結果を記述するのが無難である。

いろいろな関数の積分

多項式関数の積分

n1のとき、(1n+1xn+1)=xnなので、

xndx=1n+1xn+1+C

n=1のとき、(log|x|)=1x=x1なので、

x1dx=1xdx=log|x|+C

が成り立つ。

三角関数の積分

  • (sinx)=cosx
  • (cosx)=sinx
  • (tanx)=1cos2x

が成り立つことを考慮すると、

  • cosxdx=sinx+C
  • sinxdx=cosx+C
  • 1cos2xdx=tanx+C

となることが分る。

tanxdxは、置換積分法を使って

tanxdx =sinxcosxdx
=(cosx)cosxdx
=(cosx)cosxdx
=log|cosx|+C
 
なお同様に、1tanx=cosxsinx であるので、1tanxdx=cosxsinxdx=(sinx)sinxdx=log|sinx|+C
 

より一般に有理関数 R(x,y) に対して、R(sinθ,cosθ)dθ について考える。 t=tanθ2 とおく。 tan2θ2+1=1cos2θ2 よって cos2θ2=11+t2である。dtdθ=ddθtanθ2=12cos2θ2=12(t2+1) であり、cosθ=2cos2θ21=1t21+t2 かつ sinθ=tanθcosθ=2tanθ21tan2θ2cosθ=2t1+t2

である。よって

R(sinθ,cosθ)dθ=R(2t1+t2,1t21+t2)2dt1+t2

と有理関数の積分にもち込める。

幾何学的は、この変換は単位円上の点 P(cosθ,sinθ)と点 A(1,0) を結ぶ直線の勾配 t で変換したものである。実際円周角の定理より xAP=12xOP=θ2より t=tanθ2.

被積分関数の周期が π の場合は、被積分関数は sin2θ,cos2θ の有理関数なので、 t=tanθ と置換すると計算が楽だ。被積分関数が sin2θ,cos2θ,sinθcosθ の有理関数となるときもこの範疇に属する。t=tanθ と置換したとき、cos2θ=11+tan2θ=11+t2, sin2θ=tan2θcos2θ=t21+t2 , sinθcosθ=±sin2θcos2θ=t1+t2 (sinθcosθtanθ=sinθcosθ の正負は一致するため), dθ=dt1+t2 となる。

例 1sinxcosxdxt=tanx と置換すると、1sinxcosxdx=1+t2tdt1+t2=ln|tanx|+C. t=tanθ2 と置換してしまうと、1sinxcosxdx=1+t2t(1t2)dt=ln|t1t2|+C=ln|tanx|+C と計算量が少し増える。

指数・対数関数の積分

指数関数について (ex)=ex が成り立つことを用いると、 exdx=ex+C が得られる。

また、 (axlna)=ax なので、 axdx=axlna である。

また、log|x|の 原始関数も求めることが出来る。

log|x|dx =(x)log|x|dx
=xlog|x|x(log|x|)dx
=xlog|x|x1xdx
=xlog|x|dx
=xlog|x|x+C

となる。


有理関数 R(x) に対して、積分 R(ex)dxt=ex すると dtdx=ex=t より

R(ex)dx=R(t)dtt.

二次無理関数の積分(発展)

有理関数 R(x,y) に対して、積分 R(x,ax2+bx+c)dx について考えよう。平方根の中身は平方完成することによって、p2x2,x2+p2,x2p2のいずれかの形になる。それぞれの場合について、x=psinθ,x=ptanθ,x=pcosθ と変数変換すると三角関数の積分に帰着する。

また、y2=ax2+bx+c は二次曲線で、特に a>0 のときは双曲線となる(y2a(x+b2a)2=b2+4ac4aより[1])。このとき、y=±ax+t すなわち t=ax+ax2+bx+c と変換するとうまく計算できる(符号はどちらを選択しても良い)。幾何学的には、双曲線の漸近線に平行で切片が t の直線 y=±ax+t と双曲線のただ一つの交点 (x,y) を変数 t で表したものである。

dxx21t=x+x21 と置換すると、1t=xx21 なので、t+1t=2x すなわち 2dx=(11t2)dt また、 t1t=2x21.なので、dxx21=11t2t1tdt=dtt=ln|x+x21|+C である。

ところで、この変換は双曲線 y2=x21 と直線 y=x+t のただ一つの交点による変換であった。その交点を方程式を解いて t で表すと、x=12(t+1t),y=12(t1t) を得る。これは双曲線の媒介変数表示の一つである。また、 tet とすると、x=et+et2=cosht,y=etet2=sinht. これは x>0 の部分の双曲線の媒介変数表示である。最右辺は双曲線関数と呼ばれ、三角関数と似た性質を持つ。関数名の h はhyperbolaに由来する。例えば、双曲線の方程式より得られる cosh2tsinh2t=1sin2θ+cos2θ=1 とよく似ている。例示の不定積分は x=cosht と置換しても解くことが出来るが、ほとんど同じことなので省略する。

定積分

定積分について、不定積分と同じように以下が成り立つ。

定積分の置換積分法

α<βのとき、開区間[α,β]で微分可能な関数x=g(t)に対し、a=g(α),b=g(β)ならばabf(x)dx=αβf(g(t))g(t)dt


定積分の部分積分法

abf(x)g(x)dx=[f(x)g(x)]baabf(x)g(x)dx


  • 問題
    • 以下の定積分を求めよ(Hint:5, 6は漸化式を利用する)
      1. 01|ex32|dx
      2. 10x2(3x)2dx
      3. 55xx29dx
      4. 37xlog(x22)dx
      5. 0π2sinnxdx
      6. 0π4tannxdx


特殊な定積分

a<b とする。積分 ab(xa)(bx)dxy=(xa)(bx) とすると、(xa+b2)+y2=(ab2)2 より、被積分関数 y は中心 a+b2 で半径 ba2の円周の上半分であり、積分区間もその両端なので、積分の値は半円の面積に等しく、ab(xa)(bx)dx=π2(ba2)2 である。

King Property

一般に、関数 f(ax) のグラフは関数 f(x) のグラフを直線 x=a2 で対称移動したものである。

従って、連続関数 f(x) を区間 [a+b2,b] で積分した値 a+b2bf(x)dx と、連続関数 f(a+bx) を区間 [a,a+b2] で積分した値 aa+b2f(a+bx)dx は等しい:

a+b2bf(x)dx=aa+b2f(a+bx)dx.

この等式は単に、 xa+bx の変数変換によっても導出できる。

この等式より、 abf(x)dx=aa+b2f(x)dx+a+b2bf(x)dx=aa+b2[f(x)+f(a+bx)]dx が導かれる。

この公式は、f(x)+f(a+bx) が簡単な形になる定積分で役に立つ。

例えば、0π2sinxsinx+cosxdx=0π4[sinxsinx+cosx+sin(π2x)sin(π2x)+cos(π2x)]dx=0π4[sinxsinx+cosx+cosxcosx+sinx]dx=0π4dx=π4.


King Property の応用例は 11x21+exdx=13 , 0π4ln(1+tanx)dx=π8log2 , 0π2lnsinxdx=π2log2 などがある。計算してみよ。


定積分と不等式

一般に、連続関数について次のことが成り立つ。

開区間[a,b]においてf(x)g(x)ならば、abf(x)dxabg(x)dx
等号成立条件は開区間[a,b]において恒等的にf(x)=g(x)であること。


  • 例題
調和級数の第n部分和がlog(n+1)より大きいことを証明せよ。
  • 解答

自然数kに対してkxk+1のとき1k1xであり、等号は常には成り立たないのでkk+1dxk>kk+1dxxである。故にk=1nkk+1dxk>k=1nkk+1dxx

このとき、(左辺)=k=1n1kkk+1dx=k=1n1kより左辺は調和級数の第n部分和であり、(右辺)=k=1nkk+1dxx=1n+1dxx=[log(x)]1n+1=log(n+1)log(1)=log(n+1)なので、題意は示された。


演習問題1

次の不定積分を求めよ。

(1)tanxdx
(2)1cos2xdx
(3)logxdx
(4)xlogxdx
(5)x2logxdx
(6)x3logxdx
(7)xsinxdx
(8)x2sinxdx
(9)x2exdx


  • 解答
(1)log|cosx|+C
(2)tanx+C
(3)xlogxx+C
(4)x2logx2x24+C
(5)x3logx3x39+C
(6)x4logx4x416+C
(7)sinxxcosx+C
(8)2xsinx+(2x2)cosx+C
(9)(x22x+2)ex+C

演習問題2

第一問(Wallis の積分)

n は非負整数とし、In=0π2sinnxdx とする。
(1) 0π2sinnxdx=0π2cosnxdx を示せ。
(2) In=n1nIn2(n2) を示せ。
(3) In を求めよ。

第二問(ベータ関数の特殊値)

m,n は非負整数、α,ββ>α なる実数とし、Im,n=αβ(xα)m(βx)ndx とする。
(1) Im,n=nm+1Im+1,n1(n1) を示せ。
(2) Im,n を求めよ。
(3) 0π2sin2m+1θcos2n+1θdθ を求めよ。

積分の応用

面積

ある関数f(x)の原始関数を求める演算は f(x)とx軸にはさまれた領域の面積を求める演算に等しい。 このことを用いて ある関数によって作られた領域の面積を求めることが出来る。

x^2の0から1までの積分
x^2の0から1までの積分

例えば、 01x2dx=13 は、放物線y=x2について 0<x<1の範囲でかこまれる面積に等しい。


面積(Ⅰ)

曲線y=f(x)と2直線x=a,x=b及びx軸で囲まれた領域の面積は、
閉区間[a,b]で常にf(x)0のときS=abf(x)dx 
閉区間[a,b]で常にf(x)0のときS=abf(x)dx

厳密な証明は既に数学Ⅱで扱った。


2曲線で囲まれた領域の面積についても、同様である。

面積(Ⅱ)

2曲線y=f(x),y=g(x)と2直線x=a,x=bで囲まれた領域の面積は、
閉区間[a,b]で常にf(x)g(x)のときS=ab{f(x)g(x)}dx


y軸まわりで考えた場合も同様である。

面積(Ⅲ)

2曲線x=h(y),x=i(y)と2直線y=c,y=dで囲まれた領域の面積は、
閉区間[c,d]で常にh(y)i(y)のときS=cd{h(y)i(y)}dy


媒介変数表示された曲線の場合、xとyの好きな方で面積の式を考えてパラメータに関する式へと置換積分すれば良い。


テンプレート:コラム


発展:極座標系における面積

極座標系においても、直交座標系と同様に微積分を考えることができる。ここでは、その一例として極方程式で表された曲線における面積について扱う。

面積(Ⅳ)

曲線r=r(θ)と2直線θ=α,θ=βで囲まれた部分の面積は、
S=αβ12{r(θ)}2dθ


  • 証明

基本的には直交座標の場合と同様である。

曲線r=r(θ)と2直線θ=α,θ=τで囲まれた部分の面積をS(τ)とおく。
Δτ>0としてτ+Δτの場合を考える。
閉区間[τ,τ+Δτ]におけるr(θ)の最小値をm、最大値をMとおくと、微小な扇形の面積を考えることにより12m2ΔτS(τ+Δτ)S(τ)12M2Δτが得られる。
上の不等式の各辺をΔτで割ると、12m2S(τ+Δτ)S(τ)Δτ12M2
Δτ0の極限を考えると、
r(τ)は連続関数なので12m212{r(τ)}2,12M212{r(τ)}2
微分の定義よりS(τ+Δτ)S(τ)ΔτS(τ)
よってはさみうちの原理よりS(τ)=12{r(τ)}2
これにて示された。

この公式は、θが偏角である場合のみ用いることができる。もしθが偏角ではない場合、θと偏角ϕの関係を求めて置換積分する必要がある。


楕円の面積
楕円の面積

楕円x2a2+y2b2=1の面積は、
S=πab
  • 導出

楕円x2a2+y2b2=1yについて解くと

y=±baa2x2

となる。そのうちy=baa2x2は半楕円(楕円の上半分)を示している。その半楕円の面積を2倍したものが楕円の面積Sとなるので

S=2aabaa2x2=2baaaa2x2=2ba×πa22=πab

となる。

体積

ある立体V0x=tにおける断面積が有限な値で、その値が tの関数S(t)となるとき、この立体を平面x=ax=b(ただし、a<b)で切り取った領域の体積は、底面積S(t)に極めて小さい高さdt[2]の積S(t)dtの区間[a,b]における累積であるので、以下の式で表すことができる。

V=abS(t)dt

(例1)

O(0,0,0),A(1,0,0),B(1,1,0),C(1,0,2)である三角錐を考える。
この三角錐を平面x=t(0t1)で切断すると、断面の三角形の各座標はAt(t,0,0),Bt(t,t,0),Ct(t,0,2t)となる。この時、AtBtCtの面積S(t)=t2となる。
これを、区間[0,1]で積分すると、
V=01S(t)dt=01t2dt=[t33]01=13となる[3]

(例2)

設問
  1. O(0,0,0),A(1,0,0),B(0,1,0),C(1,1,0),D(0,0,1),E(1,0,1),F(0,1,1),G(1,1,1)である立方体を想定。
  2. 平面x=t(0t1)で切断し、OtAtBtCtを得る。
  3. 線分OtAt,AtBt,BtCt,CtOtに、各々点Ot,At,Bt,Ctから、長さtである点Ht,It,Jt,Ktをとり、HtItJtKtStとする。
  4. tを区間[0,1]で変化させた時、Stが通過する部分の体積Vを求めよ。なお、Stが正方形である証明は省略してよい。
解答
  1. Stの1辺の長さをlとおくと、l2=t2+(1t)2=2t22t+1
  2. Stの面積S(t)l2であるから、S(t)=2t22t+1
  3. これを、区間[0,1]で積分すると、
  4. V=01S(t)dt=01(2t22t+1)dt=[2t33t2+t]01=23となる。

回転体の体積

y=f(x)(axb) で与えられる曲線をx軸の回りに回転させて作られる 立体の体積Vは、 V=abπ{f(x)}2dx で与えられる。


導出

立体をx軸に垂直であり、x=cを満たす面とx=c+hを満たす面で切ると(hは小さな 定数)、その切断面で挟まれた立体は半径 f(c)の円と半径 f(c+h)の円 ではさまれた立体となる。 しかし、hが極めて小さいとき、この図形は半径f(c),高さhの円柱で 近似できる。 よってこの2つの面に関して、得られた図形の体積は h×π(f(c))2 となる。 これをa<c<b満たす全てのcについて足し合わせると、 S=abπ(f(x))2dx が得られる。


同様に、x=g(y)(cxd)で与えられる曲線をy軸の回りに回転させて作られる立体の体積Vは、

V=cdπ{g(y)}2dy

で与えられる。


例えば、 y=x2(0<x<1) をx軸の回りに回転させて得られる図形の体積は、

図形の絵?

S=01π(x2)2dx =π01x4dx =π5 となる。


球の体積

球の体積V=43πr3の導出

半径rの球は半円y=r2x2x軸の周りに回転させてつくることができる。

V=πrrr2x22dx=πrr(r2x2)dx=43πr3

また体積をrで微分すると球の表面積S=4πr2が得られる。


補:バームクーヘン積分

上記の回転体の公式の導出では「円盤の面積を積分」しているが、「円筒の側面積」を積分しても同様の結果が得られる。この考え方をバームクーヘン積分(円筒分割積分)と呼ぶ。

バームクーヘン積分による回転体の体積の公式

曲線y=f(x)とx軸、直線x=a,x=bに囲まれた部分をx軸周りに一回転した立体の体積は、
V=2πabxf(x)dx
  • 導出
閉区間[x,x+Δx](Δx>0)においてx軸と曲線y=f(x)で挟まれた領域をy軸周りに一回転してできる立体の体積をΔVとし、同区間におけるf(x)の最小値をm、最大値をMとおく。
このとき、π{(x+Δx)2x2}mΔVπ{(x+Δx)2x2}M
変形するとπ(2x+Δx)mΔVΔxπ(2x+Δx)M
limΔx+0m=limΔx+0M=f(x)なのではさみうちの原理よりlimΔx+0ΔVΔx=2πxf(x)
dVdx=2πxf(x)
Δx<0でも同様。
この微分方程式を解く(詳細はこちら)と、
dV=2πxf(x)dx
dV=2πxf(x)dx
V=2πxf(x)dx+C(Cは積分定数)
閉区間[a,b]で定積分を考えると、V=2πabxf(x)dxとなる。

記述問題で用いる場合、念のため上のように証明しておくと良い。


補:パップス・ギュルダンの定理
図形Aを、図形Aと交わらない直線の周りに一回転してできる立体の体積は、V=(Aの重心が描く円の円周長)×(Aの面積)で求まる。

この定理は大学入試においては非常に有名な裏技であり知っておいて損はないが、記述で用いると完全にアウトである。この定理を用いるのは、選択肢形式の問題かどうしても記述の白紙解答を避けたい場合のみに限ろう。(もっとも、重心がわかる図形で出題されるのはごく稀だが。)


テンプレート:コラム


曲線の長さと運動の道のり

曲線の長さ

曲線{x=f(t)y=g(t)の長さを考える。

f(t),g(t)とも2階微分可能(第一次導関数が連続)とする。
atbとして閉区間[a,t]における曲線の長さをs(t)とおく。
tの増分Δtが十分小さいとき、Δs(Δx)2+(Δy)2よりΔsΔt=(ΔxΔt)2+(ΔyΔt)2
Δt0のとき、dsdt=(dxdt)2+(dydt)2
この微分方程式を解くと、
ds=(dxdt)2+(dydt)2dt
ds=(dxdt)2+(dydt)2dt
s=(dxdt)2+(dydt)2dt+C(Cは積分定数)
ここでs(t)の定義よりs(b)s(a)=ab(dxdt)2+(dydt)2dt

よって、以下のようになる。

曲線の長さ(Ⅰ)

曲線{x=f(t)y=g(t)の閉区間[a,b]における長さLは、
L=ab(dxdt)2+(dydt)2dt


曲線の式がy=f(x)で与えられている場合、{x=ty=f(t)と考えて上の公式に代入すると、以下のようになる。

曲線の長さ(Ⅱ)

曲線y=f(x)の閉区間[a,b]における長さLは、
L=ab1+(dydx)2dt


速度と道のり

微分法で学んだように、数直線上を運動する点Pの時刻tにおける位置,速度がそれぞれx(t),v(t)で与えられるとき、v(t)=ddtx(t)という関係式が成り立った。微分と積分は逆演算の関係にあるので、x(t)=v(t)dt+C(Cは積分定数)という関係も成り立つ。このとき、積分定数Cは初期位置x0を表す。

点Pがt=aからt=bまで運動するとき、位置の変化量はx(b)x(a)=abv(t)dtで与えられる。すなわちx(b)=x(a)+abv(t)dtであり、x(a)が初期位置x0を表すことが確かめられた。

また、上の場合において道のりはab|v(t)|dtと計算できる。位置の変化量と道のりが一致するのは、恒等的にx(t)0が成り立つ場合のみである。

平面上の運動も同様である。

なお、加速度は位置の二階微分なので、加速度を二階積分すれば位置が求まる。よって、時刻tにおける加速度がa(t)=aであるときの位置は、x(t)=a(t)dtdt=(at+v0)dt=12at2+v0t+x0である。(等加速度直線運動の式)

テンプレート:コラム

区分求積法

これまでに学んだように、積分は微分の逆演算であると同時に、座標平面上での面積計算でもある。この項では、座標平面上の面積計算の方法の一つである区分求積法、および積分法との関連について学ぶ。

面積計算

右図のようなある曲線y=f(x)がある。単純のため、ここではつねにf(x)>0であるものとして考える。この曲線と、x軸、および直線x=a,x=b(a<b)によって囲まれる領域の面積Sを求める。この面積は#面積の項で学んだように、

S=abf(x)dx

と積分法を用いて計算することができた。では、これをもう少し原始的な方法で近似的に求めることを考えてみよう。

曲線を含む図形の面積を求めることは簡単ではないが、例えば三角形や長方形、台形などの直線で囲まれた図形の面積を求めることは難しくない。そこで、下図のようにy=f(x)を棒グラフで近似し、長方形の面積の和を計算することで、求めたい面積Sに近い値を求めることができる。左下のように棒グラフの幅が大きいと誤差も大きいが、棒グラフの幅を狭くすればするほど、すなわち分割数を多くするほど、徐々に求めたい面積の値に近づけることができる。そこで、この区間[a,b]をn等分し、その時の長方形の面積の総和を求め、その後でnの極限を考えることにする。このようにして、区間を細かく等分割し、長方形の面積の総和を求めることにより図形の面積を求める方法を、区分求積法と呼ぶ。

棒グラフによる近似さらに細かな棒グラフによる近似
左側で近似
右側で近似

y=f(x)を棒グラフで近似するとき、右図のように、長方形の左上の頂点を曲線上に取る方法と、右上の頂点を曲線上に取る方法がある。どちらの方法でも、分割数を大きくすればいずれ求めたい面積に近づくが、まずは左上の頂点を曲線上に取る方法で考えることにする。

ここでは面積を求めたい区間を、単純のため[0, 1]とする。区間[0, 1]をn等分するとき、それぞれの長方形の左端のx座標は、

0,1n,2n,,n1n

となる。ここで、一般に第k番目の長方形について考えることにする。ただし、いちばん左側の長方形を第0番目とし、いちばん右側の長方形を第n-1番目とする。第k番目の長方形の左端のx座標はknであるから、この長方形の高さはf(kn)となり、また長方形の幅は1nである。そのため、この長方形の面積skは、

sk=1nf(kn)

となる。したがって、これらの長方形の面積の総和Snは、

Sn=k=0n1sk=1nk=0n1f(kn)

このSnは、区間[0, 1]をn等分した時の長方形の面積の総和であるが、nを大きくすればするほど、次第にもとの面積に近づいていく。したがって、nの極限を考え、

S=limnSn=limn1nk=0n1f(kn)

となる。このようにして、求めたい面積を計算することができる。さらに、ここでこの区間の面積が積分法により計算できたことから、

limn1nk=0n1f(kn)=01f(x)dx

が成り立つ。また、長方形の右上の頂点を曲線上に取る場合は、同様にして

S=limn1nk=1nf(kn)=01f(x)dx

となる。


区分求積法を計算するとき、シグマの範囲の有限個のズレは無視して良い。nを無限大に飛ばした極限を考えるとき、有限個あるズレの値は全て0に収束するからである。
つまり、l, mを自然数としてlimn1nk=lnmf(kn)=01f(x)dxである。


区分求積法は、より一般には次の式で表される。

abf(x)dx=limnk=lnmf(xk)Δx
ただし、Δx=ban,xk=a+kΔx

証明は先ほどと同様である。
大学においては、積分の定義を微分の逆演算ではなく、この式の右辺のような和(リーマン和という)の極限とする場合がある。数学Ⅱで扱った微分積分学の基本定理は、リーマン和(面積計算)と原始関数(微分の逆演算)という二つの概念を結びつけている定理であると言える。

なお、limnk=an+lbnmf(kn)=abf(x)dxが成り立つ。

演習問題

脚注

  1. 右辺が0のとき双曲線とはならないが、このときは簡単に平方根を外すことが出来るので考える必要はない。
  2. なお、この時、dtS(t)に対して積分区間で常に鉛直方向の関係にあることが保証されていなければならない。
  3. 三角錐OABCは、ABCを底面(S=1)とし、OAを高さ(1)とする三角錐なので、体積は、13となり、正しい。