制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/有理関数の原像の求め方

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前項で述べたように,真の分数式は, テンプレート:制御と振動の数学/equation のような項の和であらわされた.ところで, テンプレート:制御と振動の数学/equation と変形できるから、真分数は、 テンプレート:制御と振動の数学/equation ような項の 1 次結合で表されることが分かる.これらの原像を求めることができれば,我々の問題は解けたことになるのである. ところで 第一移動定理 テンプレート:制御と振動の数学/equation を想い起こせば, テンプレート:制御と振動の数学/equation の原像が計算できればよい.第 1 のものの原像,および第 2, 第 3 のものの n=1,2 に対する原像はすでに分かっているから, テンプレート:制御と振動の数学/equation の原像が求まればよいことになる.もっともこれらの原像は形式的には, テンプレート:制御と振動の数学/equation および, テンプレート:制御と振動の数学/equation と知られているのであるが,この右辺の合成積を計算するのがやっかいである.その簡単な計算法が見つかればよい.


まず合成積の微分の公式テンプレート:制御と振動の数学/equation を思い出そう.そうすれば テンプレート:制御と振動の数学/equation とおくとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation となるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.この結果は fn(0)=0 は明らか[1]であるから,対応 sddt からも直ちに出る.n=2 の場合にすでに用いた技法である.

さて,後で必要になるもう一つの公式を導いておこう.上述の記号を用いると, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるが,これをもう一度微分する. テンプレート:制御と振動の数学/equation

よって次の結果を得る.

公式 1

テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation

さて,合成積の微分の公式は,通常の積の微分の構造: テンプレート:制御と振動の数学/equation を持っていない.同様な構造を持つものは,単に t を掛けるという演算である.

補題 2.3 テンプレート:制御と振動の数学/equation

証明 テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation

合成積に対しては t を掛けるという演算が微分の構造を持っているので,次のような計算ができる.

テンプレート:制御と振動の数学/equation とおくと, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る[2].とくに, テンプレート:制御と振動の数学/equation のときは, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.


なぜ合成積に対しては t を掛けることが微分することを意味するのかは,Laplace 変換の像関数の世界で考えてみれば納得できるが,それは後ほど説明することにして,本題に入ろう.

公式 2

テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation

証明

(1) dfndt=t2(n1)fn1 を示せばよい[3]テンプレート:制御と振動の数学/equation であったから, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.これに式 (2.34) を考慮すれば, テンプレート:制御と振動の数学/equationを得る.


(2) 上の結果 (1) を二度用いると、 テンプレート:制御と振動の数学/equation となるが,これと式(2.33) の結果, テンプレート:制御と振動の数学/equation を等置すれば,求める結果を得る.


例54

テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation から,f3(t)f4(t) を計算すると, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.



  1. 0t=0f(t,τ)dτ=0
  2. 数学的帰納法にて証明しておく.
    t(ff)=(tf)f+f(tf) 補題 2.3
    =f(tf)+f(tf) 例19(i)
    =2f(tf)…①
    t(fff)={t(ff)}f+(ff)(tf) 補題 2.3
    ={2f(tf)}f+(ff)(tf)
    =2ff(tf)+ff(tf) 例19(i)および(iii)
    =3ff(tf)=3(f)2(tf) …② 例19(ii)を援用
    今,t(f)k=k(f)k1(tf) のとき,…③
    t(f)k+1=t{(f)kf}
    ={t(f)k}f+(f)k(tf) 補題 2.3
    ={k(f)k1(tf)}f+(f)k(tf)
    =k{(f)k1(tf)}f+(f)k(tf)例19(ii)を援用
    =k{(f)k1(tf)f}+(f)k(tf)例19(iii)
    =k{(f)k1f(tf)}+(f)k(tf)例19(i)
    =k{(f)k(tf)}+(f)k(tf)
    =(k+1){(f)k(tf)}例19(ii)を援用
    =(k+1)(f)k(tf)…④例19(ii)を援用
    ②③④より k3 について③が成立する.
    また、特に (f)1=f,  (f)0=1 と定義すれば k1 について③が成立する.合成積 * は二項間の演算として定義しているのだから,①は必要な記述と考える.
  3. なぜならば式(2.32c)より.