初等数学公式集/数と集合・論理

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数の性質

数の体系

数の体系
  • 自然数(Natural (numbers 以下略す); 集合論的な記号
    1から、1ずつ足しあげていった数(一般に初等数学では0を含まない)。物を数え上げる数。
    例:{1,2,3,4,5,}
  • 整数(Integers 記号
    自然数、0および自然数に1をかけた数。
    例:{,2,1,0,1,2,3,}
  • 有理数(Rational 記号
    整数である a,b(ただし、ab0)について、abで表す数。b=1の時、整数となるので、整数は有理数の部分集合である。
    例:{,32,,1,,13,,0,,57,,1,,75,}
    整数a,b(ただし、b0)で a=±1,b=±1または、a,b互いに素である場合、分数ab既約分数という。
    a<bであるとき、有理数であるabは、小数の表現を用いてab=0.c1c2c3ckとなるが、この場合、ab=0.c1ckのように小数点以下の数字の並びが有限である有限小数か、ab=0.c1ckc1ckc1ckc1のように小数点以下の数字の並びが繰り返される循環小数のいずれかとなる。
  • 実数(Real 記号
    数直線上に表される数
    例:{,23,,32,,1,,22,,13,,0,,57,,1,,75,,e,,π,,π+e,}
    • 無理数(Irrational 記号𝕀
      有理数ではない実数をいう。
      →無理数はさらに代数的数と超越数に分けられる。
      無理数の小数点以下の数字の並びは循環せず無限に続く非循環小数となる。
      • 累乗根テンプレート:Ruby
        • 累乗(冪乗)とは逆の演算で、累乗すると与えられた数になる数を累乗根(テンプレート:Ruby)という。ある数an乗したものがxとなる式はan=xと書き表されるが、この時、xの値はx=anと書き表され、これを「an乗根」と呼ぶ。すなわち、(an)n=aである。なお、n指数 と呼ばれ、記号 根号 と呼ばれる。また、根号の中に書かれた数 a は時に被開平数 と呼ばれる。
        • 特に、a2 は、a と記され、「aテンプレート:Ruby」または「ルートa」と呼ぶ。また、a3 を「aテンプレート:Ruby」とも言う。
        • ある有理数 a が分母・分子ともに整数のn乗でないとき、x=an は有理数ではなく無理数となる(証明)。
          (有名問題)2 が無理数であることを証明せよ。[→証明]
      無理数と有理数の和は無理数である(証明)。
      この事象から、以下の事象を導くことができる。
  • 複素数(Complex 記号
    実数であるp,qについて、i2=1という性質を持つ虚数単位iを用いて、p+qiという形で表される数。pを実部、qを虚部といい、虚部q=0の時、実数となるので、実数は複素数の部分集合である。また、虚部q0の時、p+qiをを虚数(imaginary)といい、特にp=0の時のqiを純虚数という。
    →虚数単位を含む複素数も代数的数と超越数に分けることができる。
 
※(参考)代数的数と超越数
方程式:xn+an1xn1++akxk++a0=0n は正の整数、各 ak は有理数)の解となる数を代数的数と言い、そうでない数を超越数という。
  • 代数的数の例
    • 有理数: abは、bxa=0の解。
    • 根号を含む無理数:
      2は、x22=0の解のひとつ。
      32は、x410x2+1=0の解のひとつ。
      223は、x64x3+2=0の解のひとつ。
    • 実部・虚部が共に有理数である複素数:
      有理数であるa,bについて、a+biという形で複素数が表されているとき、a+biは、方程式x22ax+a2+b2=0の解のひとつである。
  • 超越数の例 - 多くは証明されているが、未証明のものも多い。
    • 円周率:π自然対数の底(ネイピア数):e
    • 23などaを有理数、bを無理数とした時の、ab
    • ln3などxを代数的数とした時の、lnx。また、log23など。
    • xを代数的数とした時の、sinx,cosx(弧度法)。
      • なお、度数法の場合、xx=1など、度数付きの有理数とした時、sinx,cosxは代数的数となる。

記数法

n進法

01を含む1ずつ足しあげていったn個の数{0,1,2,n2,n1}で表記し、最大の数n11が足されると、次の桁の1として表記する記数法をn進法といい、この時のnを基数という。数字の列abcがn進法による表記(n進数)であることを表すのに、(abc)nと表記することもある。
5進法(0,1,2,3,4 を使った記数法)の計算例
  • (4)5+(1)5=(10)5
  • (43)5+(3)5=(101)5
一般に使用されるのは10進法であり、「ダース」などの単位に12進法、時計などに60進法の名残が見られるが一般知識として知っておけばよく、計算などを熟知しておく必要はない。ただし、2進法、8進法、16進法はコンピュータの計算等で利用されているので後述する。
  • n進法で、(a3a2a1a0)nと記された数の大きさは、a3n3+a2n2+a1n+a0である。
  • n進法への変換
    Anで割った商をQ1、余りをR1とする。さらに、Q1nで割った商をQ2、余りR2と順々に除算を繰り返し、nQkとなった段階でこの操作を止めて、QkRkR2R1と並べた数の列が、Aのn進法の表記となる。
    例1:430 (10進法表記)を、8進法で表示する。
    430÷8:Q1=53,R1=6 : Q1>8であるから、Q1をさらに8で割る。
    Q1÷8=53÷8:Q2=6,R2=5 : Q28であるから、A=Q2R2R1=(656)8
    例2:430 (10進法表記)を、12進法(10をa、11をbで表す)で表示する。
    430÷12:Q1=35,R1=10(a)12 : Q1>12であるから、Q1をさらに12で割る。
    Q1÷12=35÷12:Q2=2,R2=11(b)12 : Q212であるから、A=Q2R2R1=(2ba)12

小数

n進法において、0<p<1の量を表すのに、1より小さい数であることを意味する点「小数点」をおいて、基数であるnで割った数に応じて、小数点の右に並べる記数法。
  • n進法で、(0.a1a2a3)nと記された数の大きさは、a1n+a2n2+a3n3である。
有限小数と無限小数
有限桁の数字で表せる小数を有限小数と呼び、有限桁で表せない小数を無限小数と呼ぶ。
  • 有限小数
    分数ab(ただし、ab0,akb(kは整数))において、n進法で表示する時、bのすべての素因数が、基数nの素因数に含まれる時、abは有限小数となる。これは逆も成立するので必要十分条件である。(→証明
    例)10進法で表示する時、有限小数となるのは、分母が、2k5l(k0,l0)の時である。
  • 無限小数
    無限小数には、ある数字列が無限に繰り返される循環小数と、そうではない非循環小数に分類される。無限連続は、表示最終桁に続け等を付して表示される。
    循環小数で繰り返される部分を循環節といい、記法の一つとして、循環節の始点と終点(1個の数字の場合、その数字のみ)をドットで示す方法がある。
    例)10進法表記で
    13=0.33333=0.3˙
    17=0.1428571428571428=0.1˙42857˙
    914=0.6428571428571428=0.64˙28571˙
    循環小数は、循環節の桁数m分、10mを掛けて左にシフトし、それから元の数を引くことにより、分数として表記される。
    例)上記例示式
    a=0.33333(式1),10a=3.33333(式2)→式2-式1 : 9a=3,a=39=13
    b=0.1428571428571428(式1),106b=1000000b=142857.14285714(式2)
    →式2-式1 : 999999b=142857,b=142857999999=33111337337111337=17
    c=0.6428571428571428(式1),106c=1000000c=642857.14285714(式2)
    →式2-式1 : 999999c=642856.5,c=642856.529999992=12857132337111337=351113372337111337=914
  • n進法の小数の変換
    n進法から10進法へ
    • 有限小数の場合
      (0.a1a2a3)nと記された数の大きさは、a1n+a2n2+a3n3であるので、これを計算する。
       
      例1.(0.101)2=12+022+123=12+18=0.5+0.125=0.625
       
      例2.(0.234)5=25+352+453=25+325+3125=0.4+0.12+0.032=0.552
       
      例3.(0.121)3=13+232+133=13+29+127=19+23+127=1627=0.5˙92˙、 3進法は、分母が、2k5lではないので、循環小数となる。
       
    • 循環小数の場合
      (0.a1˙a2a3˙)nについて、循環節の桁数m分、左にシフトし(基数nの時、nmを掛ける)、それから元の数を引いて計算する。
      例4. (0.1˙01˙)2 を10進法の小数で表す。
      (0.1˙01˙)2=k-① とおいて、3桁ずらすために両辺に(1000)2をかけ、(1000)2k=(101.1˙01˙)2-②を得る。
      ②-①: (10001)2k=(111)2k=(101)2
      (111)2=7,(101)2=5であるから、7k=5,k=57=0.7˙14285˙
       
    10進法からn進法へ
    (0.a1a2a3)n=an+a2n2+a3n3に関し、n倍し小数点を超過部分を小数点の右におき、それを除いた数を再びn倍し小数点超過部分をその数の右におくという手順を繰り返す。
     
    例5.0.625を2進数にする。(上記例1.の逆の操作)
    0.625×2=1_.25→②0.25×2=0_.5→③0.5×2=1_.0
    ①②③の下線の数を小数点以下順に並べる。→ (0.101)2
     
    例6.0.552を5進数にする。(上記例2.の逆の操作)
    0.552×5=2_.76→②0.76×5=3_.8→③0.8×5=4_.0
    ①②③の下線の数を小数点以下順に並べる。→ (0.234)5
     
    例7.0.5˙92˙を3進数にする。(上記例3.の逆の操作)
    0.592592×3=1_.777→②0.777×3=2_.333→③0.333×3=1_.0
    ①②③の下線の数を小数点以下順に並べる。→ (0.121)3
     
    例8.0.7˙14285˙を2進数にする。(上記例4.の逆の操作)
    0.714285714285×2=1_.42857142→②0.42857142×2=0_.857142857→③0.857142857×2=1_.714285→④:①と同じ
    ①②③の下線の数を小数点以下順に並べる。→ (1˙01˙)2

自然数・整数

  • 自然数を構成する素数を素因数といい、素数の積の形で表すことを素因数分解という。
    8の素因数は、8=23なので2のみの1個、10の素因数は、10=25なので25の2個、12の素因数は、12=223なので23の2個。
    • 自然数Nが相異なる素数a1,a2,a3,,akを用いてN=a1p1a2p2a3p3akpkと素因数分解されるとき、
      Nの約数の個数は(p1+1)(p2+1)(p3+1)(pk+1)
      また、その約数の総和は(1+a1++a1p1)(1+a2++a2p2)(1+ak++akpk)=1a1p1+11a11a2p2+11a21akpk+11ak
  • 複数の数について、共通する約数を公約数という。複数ある公約数のうち最も大きいものを最大公約数という。これら複数の数について、素因数を有さない状態を(最大公約数が1である状態)、互いに素という。
  • 自然数Q,Nに対し、1以上Q以下のNの倍数の個数。:
    QN ただし、xx以下最大の整数を表す。
    • 自然数P,Q,Nに対し、P以上Q以下のNの倍数の個数
      QN(P1)N
  • 自然数a,bについて、それらの最大公約数をg、最小公倍数をlとすると、以下の関係が成り立つ。:
    ab=lg
  • 奇数の和:
    1+3+5++(2n1)=n2

不定方程式

整数解をもつ整数係数の代数方程式を不定方程式(変数の次数によりn次不定方程式)といい、その整数の求めることを不定方程式を解くという。未知数よりも条件式が少ないなどの場合、整数解が無限に存在して定まらないことがあるので,不定ということばが用いられている。初等数学においては、基本的に1次不定方程式をさす。
  • 以下、a,b,cを整数とする。
    • a,bを互いに素とするとき、1次不定方程式ax+by=0を満たす整数解:
      x=bk,y=ak (kは整数)
    • ax+by=1が整数解(x,y)を持つ。a,bは互いに素。
      以下、必要十分条件であることを証明する。
      1. 命題「ax+by=1が整数解(x,y)を持つ。a,bは互いに素。」が真である証明
        対偶である命題「a,bが1ではない公約数cを有する。ax+by=1の解(x,y)x,yがともに整数となることはない。」は真であるので、元の命題も真である。
        a,bが1ではない公約数cを有するならば、a=ac,b=bcとおけば、ax+by=1は、acx+bcy=c(ax+by)=1となり、ax+by=1cとなる。
        方程式ax+by=1cにおいて、a,bはともに整数であるので、x,yはともに整数となることはない。
      2. 命題「a,bは互いに素。ax+by=1が整数解(x,y)を持つ。」が真である証明
        a1からb1までかけた積(a,2a,kaa(b2),a(b1))bで割った余りは全て異なっている(※)。したがって、aとの積をbで割った余りが1となる整数mが必ず存在し、am1bの倍数であるのでam1=bnという等式が成立する。これを変形するとambn=1となり、方程式ax+by=1について、x=m,y=nという整数解を得られる。
        ※の証明 - 背理法を用いる。
        1. a1からb1までかけた積(a,2a,kaa(b2),a(b1))bで割った余りに重複するものrが存在すると仮定する。
        2. 重複する積をja,ka(1j<kb)とすると、ja=mb+r,ka=nb+r となり、差をとると(kj)a=(nm)b が成立する。
        3. (kj)a=(nm)b について、これが成り立つ時、a,bは互いに素であるため、kjb の倍数となるが、1kj<bであるため、そのようなkj は存在せず仮定と矛盾する。
        4. したがって、a1からb1までかけた積をbで割った余りは全て異なる。
    • ax+by=cが整数解(x,y)を持つ。cgcd(a,b)の整数倍数。
      以下、必要十分条件であることを証明する。
      1. 命題「ax+by=cが整数解(x,y)を持つ。cgcd(a,b)の整数倍数。」が真である証明
        a,bは、gcd(a,b)の倍数であるので、x,yが共に整数ならばax+bygcd(a,b)の倍数となる。
      2. 命題「cgcd(a,b)の整数倍数。ax+by=cが整数解(x,y)を持つ。」が真である証明
        a=pgcd(a,b),b=qgcd(a,b)とおくことができ、このとき、p,qは互いに素である。
        p,qは互いに素であれば、pm+qn=1となる整数の組(m,n)が存在する。
        pm+qn=1gcd(a,b)をかけて、(左辺)=pgcd(a,b)m+qgcd(a,b)n=am+bn、(右辺)=gcd(a,b)=cであって、ax+by=cは、整数解(m,n)を持つ。

整数の合同

テンプレート:Wikipedia n2 以上の整数として、an で割った剰余が bn で割った剰余と等しいときに、「二つの整数a,bn に関して合同である」といい、以下の記号で示す。

ab(mod.n)
 
代数的性質
  • ab(mod.n) ならば任意の整数 cに対して
    1. a±cb±c(mod.n)
      したがって、ab(mod.n) ならば、ab0(mod.n)
    2. acbc(mod.n)
      逆の命題※「acbc(mod.n) ならば、ab(mod.n)」は、常に成立するものではない。
      acbc(mod.n) ならば、acbc(ab)c0(mod.n)
      (ab)c0(mod.n)は、以下の3式のいずれかが成り立つ時に成立しており、一意に命題※は真とはならない。
      ab0(mod.n)
      c0(mod.n)
      (ab)c0(mod.n)かつab≢0(mod.n)かつc≢0(mod.n)
      したがって、acbc(mod.n)かつcnが互いに素ならば、ab(mod.n)
    3. acbc(mod.n)(ただし、c>0)
 
  • 二項定理より、
    (a+b)mbm(mod.a)
    (a+b)mam(mod.b)
    特に、(ma+1)n1(mod.a)
 
フェルマーの小定理(詳細は、初等整数論/フェルマーの小定理参照)

テンプレート:Wikipedia

  • pを素数とし、apの倍数でない整数( apは互いに素)とするときに、
    ap11(mod.p)  apa(mod.p)

有理数・分数

  • 加比の理
    ab=cd ならば、 ab=cd=a+cb+d=ma+ncmb+nd (m,nは、mb+nd0である任意の実数)
    ab<cd ならば、 ab<a+cb+d(=ma+ncmb+nd)<cd  (m,nは、mb+nd0である任意の実数)
  • 1(x+a)(x+b)=1ba(1x+a1x+b)(a=b)
  • 1k(k+1)=1k1k+1

実数

無理数

  • 無理数の相等条件(cf.複素数の相等条件
    a,b,c,dを有理数、αを無理数とする時。
    a+bα=c+dα ならば、a=c,b=d
    特に、a+bα=0 ならば、a=b=0
累乗根
  • 二重根号a,b は有理数、なお、減算を意識してa>bとしておく)
    • 基本形
      a±b=(a±b)2=a+b±2ab
    • 一般形
      a±b=a+a2b2±aa2b2
      • 導出法は、別ページ参照。高校数学では、一見して分かる単純な基本形での出題となり、また、解と係数の関係を利用し2次方程式を立てて数値を得ることができるので、そのままの形で一般形を記憶する必要はない。
      • なお、一般式から二重根号を外せる条件は、a2>bかつa2b が平方数であることがわかる。
  • 平方根の値
    試験等において、平方根の値を用いる問題が出題されることがあるが、通常は「21.414 として小数点第3位まで求めよ」などの形で与えられていることが一般的であるので、各々の値を暗記しておく必要は全くないが、各々の値のイメージを持っていると、回答の方向性が想像できる場合もあるので暗記法を参考として掲載する。
(参考)暗記法 - 2,3,5,7を覚えていれば、その他は単純な掛け算として導くことができる。
21.41421356 一夜一夜に人見ごろ[ひとよひとよにひとみごろ]
31.7320508 人並みにおごれや[ひとなみにおごれや]
52.2360679 富士山麓オーム鳴く[ふじさんろくおーむなく]
62.44949 似よよくよく[によよくよく](2(1.414)×3(1.732)
72.64575 菜に虫いない[なにむしいない]
82.828427 庭には呼ぶな[にわにはよぶな](2(1.414)×2
103.16228 人麿は三色に並ぶや[ひとまろはみいろにならぶや](2(1.414)×5(2.236)

複素数

  • 複素数の基本
    以下においてa,b,c,dは実数。
    • 複素数の相等条件(cf.無理数の相等条件
      a+bi=c+di ならば、a=c,b=d
      特に、a+bi=0 ならば、a=b=0
    • 複素数の絶対値
      複素数z=a+bi の絶対値の定義;|z|=a2+b2
    • 複素数の四則計算
      複素数z1=a+bi,z2=c+diとして、
      • 加減算
        z1±z2=(a±c)+(b±d)i
      • 乗算
        z1z2=(a+bi)(c+di)=(ac+bdi2)+(ad+bc)i=(acbd)+(ad+bc)i
      • 除算
        z1z2=a+bic+di=(a+bi)(cdi)(c+di)(cdi)=(ac+bd)(adbc)ic2+d2
    • 共役複素数
      複素数z=a+bi の共役複素数の定義;z=abi
      z+z=2a (実数)
      zz=a2+b2 (実数)=|z|2
    • 複素数の逆数
      複素数z=a+bi の逆数;1z=1a+bi=abia2+b2=z|z|2
      特に、a2+b2=1である時、1z=z
  • 1の立方根
    x3=1 を解くと、x=1,1±3i2、虚数解のいずれかをωとおくと、以下の関係が成立している。
    • ω2=(1±3i2)2=13i2 (複号同順)、従って、ω2は、ωでない方の虚数解で、1の立方根は( 1, ω, ω2(=ω) ) となる。
    • 1+ω+ω2=0, 1+ω2+ω4=0
    • 1ω=ω2, 1ω2=ω
    • |ω|=|ω2|=1
  • 複素数のべき乗:(ド・モアブルの定理
    (cosθ+isinθ)n=cos(nθ)+isin(nθ)
    • 1のn乗根
      zn=1の解を、zk(k=0,1,2,,n1)とすると、
      zk=cos(2πkn)+isin(2πkn)
    • 複素数z=a+bi の累乗
      (a+bi)k=(a2+b2)k(coskθ+isinkθ)
      ただし、cosθ=aa2+b2,sinθ=ba2+b2
  • eiθ=cosθ+isinθ (オイラーの公式
  • eπi=1

集合

集合の記号と表現方法

  • 集合と要素
    ある条件を満たすものの集まりを集合、集合をつくっている各々を、その集合の要素またはという。
    • あるaが集合Aの要素である時、aAと表す。
    • あるbが集合Aの要素でない時、bAと表す。
    集合を表現するには、集合を構成する要素を列挙する方法(外延的表記・名簿式表記)と、要素の性質を記述する方法(内包的表記)がある。
    • [表記例]偶数である、10以下の自然数の集合A
      • 集合を構成する要素を列挙する方法(外延的表記・名簿式表記)
        A={2,4,6,8,10}
      • 要素の性質を記述する方法(内包的表記)- 表記法が一意に決められているものではない。
        A={xxは、10以下の偶数である自然数}={xx=2nn<5n}={2nnn<5}
        • 集合でよく使われる記号
          • : 自然数全体の集合
          • : 整数全体の集合
          • : 有理数全体の集合
          • : 実数全体の集合
          • : 複素数全体の集合
    部分集合
    • 集合A,Bに関して、xAである全ての要素x(これを、しばしばxと表す)について、xBが成立する時、ABに含まれる(BAを含む)といい、ABと表記する。集合A,Bがこの関係にある時、AB部分集合であるという。
    • 集合A,Bに関して、xAである全ての要素xについてxBが成立し、yBである全ての要素yについてyAが成立する時、ABは等しい、または相等であるといい、A=Bと表記する。
    • 集合A,Bに関して、xAである全ての要素xについてxBが成立しているが、yBである要素yの一部(これを、しばしばyと表す)についてyAである時、AB真部分集合であるといい、A(またはBと表記する。
    全体集合と補集合
    全体集合と補集合
    • 集合を考察するにあたって、各々の集合が真部分集合となり大枠の集合を全体集合という。全体集合は、しばしば、Uと表記される。
      例.「偶数」を取り扱う時、「偶数」の前提である「整数」が全体集合となる。
    • ある全体集合Uにあって、その部分集合Aに関して、Uの要素であって、Aの要素でないものの全体の集まりをAの補集合といい、A(または、Acなど)で表す。
      例.「整数」において、「奇数」は「偶数」の補集合である。
      テンプレート:-
    交わり(共通部分)、結び(和集合)、空集合
    交わり(共通部分)
    • 交わり(共通部分)
      集合A,Bに関して、xAかつxBをみたすxの集合を交わり共通部分)といい、ABと表記する。
      テンプレート:-
    結び(和集合)
    • 結び(和集合)
      集合A,Bに関して、xAまたはxBをみたすxの集合を結び和集合)といい、ABと表記する。
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    空集合の例
    • 空集合
      要素が1つもない集合を空集合といい、またはで表す(ϕ[ファイ]ではない)。
      • 集合A,Bに関して、共通部分となる要素が存在しない時、ABの集合は、となる(右図参照)。
      テンプレート:-

集合の演算

  • 演算規則
    • 交換法則
      AB=BA
      AB=BA
    • 結合法則
      ABC=(AB)C=A(BC)
      ABC=(AB)C=A(BC)
    • 分配法則
      A(BC)=(AB)(AC)
      A(BC)=(AB)(AC)
  • 二重否定
    A=A
  • ド・モルガンの法則
    AB=AB
    AB=AB
  • 集合の要素の個数
    n(AB)=n(A)+n(B)n(AB)
    n(ABC)=n(A)+n(B)+n(C)n(AB)n(BC)n(CA)+n(ABC)

論理

正しいか正しくないかを明確に判定できる文章や数式を命題という。
  • 命題が正しい場合、その命題はであり、正しくない場合、その命題はである、という。
  • 命題を成立させない具体的な例を反例といい、反例が1個でも存在する命題は偽である。
  • 単純命題と複合命題
    • 単純命題
      これ以上命題として分割できない記述
      • 厳密な定義は初等数学としては難しいので、以下に記述する付加要素のない命題と理解することで足りる[1]
    • 複合命題
      命題[2]ABに操作を加えた記述。上記の集合論と関係が深い。また、これらの操作を意味する記号(¬,,,など)で表した式を論理式という。
      論理式の演算は、¬AA,をとした集合の演算に相等しい。
      1. 否定
        命題A「ではない」ことをいい、¬AまたはAで表す。補集合を参照。
        例)命題A:x=1に対し、否定命題¬A:x1
        「否定」によって、命題の真偽は逆転する。すなわち、命題Aが真であれば、¬Aは偽となり、偽であれば真となる。
        例)命題A「彼は日本人である」が真であれば、否定命題¬A「彼は日本人ではない」は偽となる。
      2. 連言・論理積[3]
        命題A「かつ」Bであることをいい、ABで表す。共通部分を参照。
        例)命題A:xが2の倍数、命題B:xが3の倍数である時、命題AB:xは2と3の公倍数(6の倍数)
        命題A「かつ」命題Bがともに真であるときのみ、連言命題ABは真となり、その他は偽となる。
        例)「命題A:xが2の倍数」が真であり、かつ「命題B:xが3の倍数」が真である時のみ、「命題AB:xは6の倍数」は真となる。
      3. 選言・論理和[3]
        命題A「または」Bであることをいい、ABで表す。和集合を参照。
        例)命題A:xが2の倍数、命題B:xが3の倍数である時、命題AB:xは2の倍数または3の倍数のいずれか
        命題A「または」命題Bのいずれかが真であるとき、連言命題ABは真となり、その他(命題A・命題Bのいずれも偽であるとき)は偽となる。
        例)「命題A:x=1」が真である、または「命題B:x=2」が真である時、「命題AB:(x1)(x2)=0」は真となる。
      4. 仮定と結論(条件文、含意[3]、論理包含[→wikipedia参照][3]
        「もし」命題A「ならば」Bである関係をいい、ABで表す。初等数学で命題という場合、ほとんどはこの形態(条件命題)のものを指す。
        初等数学ではABの命題Aを「仮定(前件[3])」、命題Bを「結論(後件[3])」などという。
        ABの真偽
        AならばBである」関係は、即ち、「(AであってかつBでない)ことはない」と言い換えることができる。
        これを、論理式で表すと、
        AB¬(A¬B)¬AB
        となる。
    • 全称命題と存在命題(特称命題、単称命題)
      1. ある集合Xに属する要素xが、すべて命題Aを満たすことを、全称命題といい、xX,Aなどと表記する。
      2. ある集合Xに属する要素xのうち、命題Aを満たすものがあることを、存在命題(特称命題、単称命題)といい、xX,Aなどと表記する。

必要条件・十分条件・必要十分条件

  • ABが真である時、「Bである」ことを「Aである」ことの必要条件、「Aである」ことを「Bである」ことの十分条件という。
  • ABが真であり、かつ、BAが真である時、命題ABは互いに必要条件・十分条件の関係となり、これを必要十分条件または同値の関係にあるという。

条件命題と逆・裏・対偶

ABの関係に対して、
  • BA
  • ¬A¬B
  • ¬B¬A対偶
という。は、対偶の関係にある。
例)条件命題を(xは式:x=1を満たす。) xx2=1を満たす。)とした時、
  • 逆:(xは式:x2=1を満たす。) xx=1を満たす。)
  • 裏:(xは式:x1を満たす。) xx21を満たす。)
  • 対偶:(xは式:x21を満たす。) xx1を満たす。)
となる。
例に示されるように、ある命題が真の時であっても、が真であるとは限らない(所与の命題に真偽を一致させない)。
  • 上記の例において、逆の命題は必要条件に、裏の命題は十分条件に、x=1を欠いている。
    この様に、条件命題ABを成立させないケースを反例という。
一方、ある命題が真の時、対偶は常に真である(所与の命題に真偽を一致させる)。
以上の性質は、論理式の演算で証明される。
AB¬AB(※)
  • BA¬(B¬A)¬BAA¬B:※と不一致
  • ¬A¬B¬(¬A¬(¬B))¬(¬AB)A¬B:※と不一致
  • 対偶
    ¬B¬A¬(¬B¬(¬A))¬(¬BA)B¬A¬AB:※と一致

証明

命題pqにおいて、既知の定理,すなわち正しいことがすでに証明されている命題Aを基礎にして,仮定qの真偽を論理的に導くことを証明という。
証明の方法には、直接証明法と間接証明法がある。
  1. 直接証明法 命題pqそのものが真であることを証明する方法
  2. 間接証明法
    1. 背理法
      命題pを証明するのに代えて、pではないと矛盾することを導き、pが真であることを証明する方法。
    2. 対偶法
      命題pqが真であることを証明するのに代えて、対偶命題¬q¬pが真であることを証明する方法。
    3. 転換法
      命題pが重複のない下位の命題{p1,p2,pn}n個で構成されており、命題qが重複のないの下位の命題{q1,q2,qn}n個によって構成される時、条件命題p1q1,p2q,pnqnが全て真であるならば、pqが真であると言え、逆の命題qpも真となる。

脚注

  1. 単純には「1つの主語に対して 1つの平常文である(否定や疑問ではない)述語が帰属する」ことがらと理解して良い。「彼は(主語)、日本人です(述語)」は命題の典型であるし、「x=1」という命題では、「x」が主語であり、「=1(1に等しい)」が述語となる
  2. 単純命題には限らない。複合命題をさらに複合させる場合もある。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 論理学等における用語。