「制御と振動の数学/Laplace 変換/有理関数の原像/有理関数の原像の求め方」の版間の差分
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2022年11月23日 (水) 15:22時点における最新版
前項で述べたように,真の分数式は, テンプレート:制御と振動の数学/equation のような項の和であらわされた.ところで, テンプレート:制御と振動の数学/equation と変形できるから、真分数は、 テンプレート:制御と振動の数学/equation ような項の 1 次結合で表されることが分かる.これらの原像を求めることができれば,我々の問題は解けたことになるのである. ところで 第一移動定理 テンプレート:制御と振動の数学/equation を想い起こせば, テンプレート:制御と振動の数学/equation の原像が計算できればよい.第 1 のものの原像,および第 2, 第 3 のものの に対する原像はすでに分かっているから, テンプレート:制御と振動の数学/equation の原像が求まればよいことになる.もっともこれらの原像は形式的には, テンプレート:制御と振動の数学/equation および, テンプレート:制御と振動の数学/equation と知られているのであるが,この右辺の合成積を計算するのがやっかいである.その簡単な計算法が見つかればよい.
まず合成積の微分の公式,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
を思い出そう.そうすれば
テンプレート:制御と振動の数学/equation
とおくとき,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
となるから,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
を得る.この結果は は明らか[1]であるから,対応 からも直ちに出る. の場合にすでに用いた技法である.
さて,後で必要になるもう一つの公式を導いておこう.上述の記号を用いると, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるが,これをもう一度微分する. テンプレート:制御と振動の数学/equation
よって次の結果を得る.
公式 1
テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation
さて,合成積の微分の公式は,通常の積の微分の構造: テンプレート:制御と振動の数学/equation を持っていない.同様な構造を持つものは,単に を掛けるという演算である.
補題 2.3 テンプレート:制御と振動の数学/equation
証明 テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation
合成積に対しては を掛けるという演算が微分の構造を持っているので,次のような計算ができる.
テンプレート:制御と振動の数学/equation とおくと, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る[2].とくに, テンプレート:制御と振動の数学/equation のときは, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.
なぜ合成積に対しては を掛けることが微分することを意味するのかは,Laplace 変換の像関数の世界で考えてみれば納得できるが,それは後ほど説明することにして,本題に入ろう.
公式 2
テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation
証明
(1) を示せばよい[3]. テンプレート:制御と振動の数学/equation であったから, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.これに式 (2.34) を考慮すれば, テンプレート:制御と振動の数学/equationを得る.
(2) 上の結果 (1) を二度用いると、
テンプレート:制御と振動の数学/equation
となるが,これと式(2.33) の結果,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
を等置すれば,求める結果を得る.
例54
テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation から, と を計算すると, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.
- ↑ .
- ↑
数学的帰納法にて証明しておく.
- 補題 2.3
- 例19(i)
- …①
- 補題 2.3
- ①
- 例19(i)および(iii)
- …② 例19(ii)を援用
②③④より について③が成立する.
また、特に と定義すれば について③が成立する.合成積 * は二項間の演算として定義しているのだから,①は必要な記述と考える.
- 補題 2.3
- ↑ なぜならば式(2.32c)より.