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関数の極限と連続

関数の極限

  1. 数列の極限同様、実数 x に対応する関数 f(x) について、x=a に限りなく近づける(xa と表記する)[1]という操作を limxaf(x) と記述し、limxaf(x)=α であるとき、α極限値または極値という。
    limxaf(x)=f(a) ではないことに注意する(下記「関数の連続」参照)。例えば、関数: f1(x)=x+1f2(x)=x21x1 は明確に区別され、 f1(1)=2 となるが、f2(1) の値は存在しない。一方、 limx1f1(x)=limx1f2(x)=2 となる。
  2. xa のとき、関数 f(x) が、限りなく正(負)の大きな値となる場合、f(x) の極限は + () であるといい、limxaf(x)= (limxaf(x)=) または、f(x)(xa) (f(x)(xa))と表記する。
    limxaf(x)= の例; f(x)=1x2 について、x=0 に限りなく近づける演算: limx0(1x2)=
    limxaf(x)= の例; f(x)=1x2 について、x=0 に限りなく近づける演算: limx0(1x2)=
  3. その他、以下の関係も成立しうる。
    • 収束:limxf(x)=a, limxf(x)=a
      limxf(x)=a の例; f(x)=1x について、x を無限に大きくする演算: limx(1x)=0
      limxf(x)=a の例; f(x)=1x について、x を負に無限に大きくする演算: limx(1x)=0
    • 発散:limxf(x)=, limxf(x)= / limxf(x)=, limxf(x)=
      limxf(x)=, limxf(x)= となる関数の例; f(x)=x
      limxf(x)=, limxf(x)= となる関数の例; f(x)=x
  4. 左方極限・右方極限(w:片側極限
    f(x) が、x=a で極値をもつとき、x左から近づく場合(すなわち、xx<a から増加して a に近づく場合)と右から近づく場合(すなわち、xa<x から減少して a に近づく場合)で挙動が異なる場合がある。前者を左方極限、後者を右方極限といい、以下のとおり書き表す。
    左方極限: limxaf(x)limxa0f(x)
    右方極限: limxa+f(x)limxa+0f(x)
    • 片側極限の例
      f(x)=1x について、x=0 における挙動を見ると、左方極限: limx01x=、右方極限: limx0+1x= となる。
      • f(x)=1x2 について、x=0 においては、limx01x2=limx0+1x2= となるため、limx01x2= と記述しても支障はないが、極値に至る過程は異なる。
      • 同様に、f(x)=logx について、x=0 において、limx0+logx= となるが、limx0logx は、x0 が、f(x)=logxの定義域とならないため成立しないことから、limx0logx= と記述しても支障はない

関数の極限の基本定理

  • limxaf(x)=α, limxag(x)=βのとき、
  1. limxakf(x)=kα ただし、k は定数。
  2. limxa{f(x)±g(x)}=α±β (複号同順)。
  3. limxaf(x)g(x)=αβ
  4. limxaf(x)g(x)=αβ ただし、β0
  5. aの近傍で常にf(x)g(x)ならばαβ

 

  • a のある近傍で定義された関数f, g, h があり、この近傍内の任意の x に対して、f(x)g(x)h(x) かつ limxaf(x)=limxah(x)=α ならば、limxag(x) は収束し、
    limxag(x)=α (はさみうちの原理)
  • 追い出しの原理
    limxaf(x)=かつaの近傍で常にf(x)g(x)ならばlimxag(x)=
    limxaf(x)=かつaの近傍で常にf(x)g(x)ならばlimxag(x)=

 

  • limx0sinxx=1 (→証明
    limx±xsin1x=1
  • limx01cosxx2=12 (→証明
    limx±x2(1cos1x)=12
  • limx0tanxx=1 (→証明
    limx±xtan1x=1
  • limh(1+1h)h=limh0(1+h)1h=e
  • limh(1+rh)h=er
  • limrar=1 (a は正定数)。
  • limrrr=1
  • limx0log(1+x)x=1 (→証明

テンプレート:Wikipedia

  • (参考)ロピタルの定理
    limxcf(x)g(x)=limxcf(x)g(x)
     
    (条件)
    • c(c)を含むある区間Iがあり、関数f,gはその内部で微分可能である。
    • limxcf(x)=limxcg(x) かつその値が0または±である。
    • 極限 limxcf(x)g(x) が存在する。
    • Iにおけるcの除外近傍において limxcg(x)0が成り立つ。
     
    ※利用における注意
    ロピタルの定理自体は簡易な形状をしており、また、多くの学習参考書などでも取り上げられるなど、比較的有名なものである。しかしながら、本定理の成立は、上記の条件が成立していることが必要であるので、証明問題等において「ロピタルの定理より」とするには、条件成立が提示されているか条件成立を別に証明することを要する。大学入試等初等教育の場で、これが示されることは基本的に皆無であるので(『学習指導要領』範囲外)、そのような問題においては、利用しないことが無難であり、あくまでも検算用と考えた方がいい(ウィキペディア『ロピタルの定理』中の記事「日本の高校数学・大学入試での扱い」参照)。
    大学入試等において、この形式の問題は、関数f(x),g(x)が共通因数を持っており、それを約分することにより極限値を得るという解法を期待するものが多い。

関数の連続

テンプレート:Main

関数 y=f(x) のある区間内の x=a において、limxaf(x) および f(a) が存在し、かつ、limxaf(x)=f(a) である時、関数 y=f(x)x=a において連続である、または、区間内において連続関数であるという。
この条件は、x=a+h として、limh0{f(a+h)f(a)} とも表現できる。
連続関数の基本定理
  1. ある区間において、関数 f(x),g(x)x=a において連続であれば、以下に列挙するもの全て x=a において連続である。
    kf(x)kは定数) ,f(x)±g(x),f(x)g(x),f(x)g(x) (ただし、g(x)0
  2. u=g(x)x=a において連続、y=f(u)u=g(a) で連続ならば、合成関数 y=f(g(a))x=a において連続である。
連続関数の性質

テンプレート:Wikipedia テンプレート:Wikipedia

  1. 中間値の定理
    閉区間 [a,b] 上で定義された連続関数 f(x) に対して、もし f(a)f(b) であって、 f(a)f(b) の間の値を取るある数 k について、 a<c<b であって f(c)=k となる少なくとも1つの c が存在する。
  2. 最大値最小値定理
    閉区間 [a,b] 上で定義された連続関数 f(x) に対して、y=f(x) はこの区間で少なくとも一つの最大値および最小値をとる。
    式で書けば、適当な実数 テンプレート:Math が存在して
    f(c)f(x)f(d)(x[a,b]) (f(c) :最大値, f(d): 最小値)
    が成り立つ。

微分

導関数の定義

関数f(x)に対して、limΔx0f(x+Δx)f(x)Δx=f(x)=ddxf(x)(変数xで微分する)。
  • dydx; yx で微分する。
  • 第2次導関数
    関数y=f(x)を微分して得た導関数y=f(x)をさらに微分して得た関数y=g(x)を、y=f(x)の第2次導関数という。
    • 第2次導関数の表記法:y, f(x), d2ydx2, d2dx2f(x)
  • n次導関数
    関数y=f(x)を微分した結果をさらに微分する操作をn回行って得た関数を、y=f(x)の第n次導関数という。
    • n次導関数の表記法:y(n), f(n)(x), dnydxn, dndxnf(x)

変数 x の微分可能な関数 f, g に対して

  • (f+g)=f+g
     
  • (fg)=fg+fg (ライプニッツ則 →証明
     
  • (fg)=fgfgg2(where g0) (商の微分公式 →証明
     
    特に、f=1のとき、
    • (1g)=gg2
     
  • (fg)=(fg)g (合成関数の微分公式 →証明
     
    別の表現で df(g(x))dx=df(g)dgdg(x)dx  (連鎖律・チェインルール)
     
  • (f1)=1ff1 (逆関数の微分公式 →証明
    y=f(x)とおくと、x=f1(y)dxdy=1dydx とも表せる。
  • 媒介変数による微分 x=x(t),y=y(t) ならば dydx=dydt/dxdt, d2ydx2=ddt(dydx)/dxdt
  • (参考)ライプニッツの定理 n階微分可能な2つの関数f(x),g(x)について、{f(x)g(x)}(n)=k=1nnCkf(nk)(x)g(k)(x)

基本的な関数の微分公式

  • [微分公式1] (xa)=axa1 (aは実数) (→証明
  • [微分公式2] (ex)=ex (→証明
    従って、[微分公式2-1] (ax)=axloga (ただし、a>0)
  • [微分公式3] (logx)=1x (→証明
    • [微分公式3-1] (logax)=1xloga(ただし、a>0)
    • [微分公式3-2] (log|f(x)|)=f(x)f(x)
  • 三角関数の微分公式 (→証明
    • [微分公式4] (sinx)=cosx
      • [微分公式4-1] (sinmx)=mcosmx
      • [微分公式4-2] (sinmx)=msinm1xcosx
        • [微分公式4-2-1] (1sinx)=(sin1x)=(1)sin2xcosx=cosxsin2x
      • [微分公式4-3] (sinmnx)=mnsinm1nxcosnx
       
    • [微分公式5] (cosx)=sinx
      • [微分公式5-1] (cosmx)=msinmx
      • [微分公式5-2] (cosmx)=msinxcosm1x
        • [微分公式5-2-1] (1cosx)=(cos1x)=(1)sinxcos2x=sinxcos2x
      • [微分公式5-3] (cosmnx)=mnsinnxcosm1nx
       
    • [微分公式6] (tanx)=1cos2x
      • [微分公式6-1] (tanmx)=mcos2mx
      • [微分公式6-2] (tanmx)=mtanm1xcos2x=msinm1xcosm+1x
      • [微分公式6-2] (tanmnx)=mntanm1nxcos2nx=mnsinm1nxcosm+1nx
       
      • [微分公式6-a] (1tanx)=1sin2x
        • [微分公式6-a-1] (1tanmx)=msin2mx
        • [微分公式6-a-2] (1tanmx)=mtanm1xsin2x=mcosm1xsinm+1x
        • [微分公式6-a-3] (1tanmnx)=mntanm1sin2nx=mncosm1nxsinm+1nx
     
  • 三角関数と対数の複合形の微分
    • (log|sinx|)=(sinx)sinx=cosxsinx=1tanx=cotx
       
    • (log|cosx|)=(cosx)cosx=sinxsinx=tanx
       
    • (log|tanx|)=(log|sinxcosx|)=(log|sinx|log|cosx|)=1tanx+tanx=1sinxcosx
       
      • (log|1tanx|)=(log|tan1x|)=tanx1tanx=1sinxcosx

接線の方程式等

  • 曲線y=f(x)上の点(a,f(a))において、y=f(x)に接する直線の傾きは、f(a)である。
    したがって、曲線y=f(x)上の点(a,f(a))における接線の方程式は、y=f(a)(xa)+f(a)
  • 曲線y=f(x)上の点(a,f(a))において接線と直行する直線(法線)の傾き1f(a)である(∵直交する2直線の傾きの積は-1)。
    したがって、曲線y=f(x)上の点(a,f(a))における法線の方程式は、y=xaf(a)+f(a)
  • ニュートン法
    ニュートン法のイメージ
    曲線y=f(x)上のある点Pn(xn,f(xn))における接線とx軸の交点(x切片、y=0)の値xn+1は、f(x)=0の解であるx*に、xnよりも近似することが期待されるという性質を用い、この操作を反復することで方程式を数値計算によって解く方法。
    1. 曲線y=f(x)上に適当に点P0(x0,f(x0))をおき、n=0とする。
    2. Pnにおける接線;y=f(xn)(xxn)+f(xn)を求める。
    3. f(xn)(xxn)+f(xn)=0として、直線とのx切片xn+1を求める。
      xn+1=xnf(xn)f(xn)
    4. [アルゴリズム終了の条件]
      • |xn+1xn|ϵ(所定の極めて小さい数値)となった時、xn+1f(x)=0の近似解とする。
      • |xn+1xn|>ϵである時、xn+1xnとして、上記2の操作に戻る。

関数の増減

  • ある関数をf(x)、その導関数をf(x)としたとき、
    • f(x)0である時、この式を満たすxにおいて、f(x)は増加する。
    • f(x)0である時、この式を満たすxにおいて、f(x)は減少する。
  • 方程式f(x)=0が実数解x={x1,x2,,xn}を持つ時(ただし、各々の解に重複はないものとする)、x={x1,x2,,xn}において、正負が変わるため、その点で関数f(x)の増減が入れ替わる。この点を変曲点といい、増加から減少に転じる点を極大、減少から増加に転じる点を極小という。
    高次多項式関数の増減と区間における最大最小
    最高次の項の係数をaとするn次の高次多項式関数f(x)、その導関数をf(x)、かつ方程式f(x)=0各々重複のないn1個の実数解x={x1,x2,,xn1}とした時、以下の性質を持つ。
    • なお、以下において、説明簡素化等のため、特に言及のない場合、条件等を以下のとおりとする。
      1. 方程式f(x)=0の実数解x={x1,x2,k,,xn1}に対する、関数y=f(x)の値y={f(x1),f(x2),,f(xk),,f(xn1)}として、yの中で最大・最小のものを各々f(xMax),f(xmin)とする。
      2. s,tは、s<x1,xn1<tを満たす実数である。
    1. a>0ならば、
      1. nが奇数である時、関数f(x)x=x1まで単調に増加し、以後、x=xn1まで増減し、x=xn1を超えると再び単調に増加する。
        • 区間[s,t]において、f(x)の最大値は、f(xMax)またはf(t)のいずれか大きい方であり、最小値はf(s)またはf(xmin)のいずれか小さい方である。
      2. nが偶数である時、関数f(x)x=x1まで単調に減少し、以後、x=xn1まで増減し、x=xn1を超えると単調に増加する(グラフは「上に開く」)。
        • 区間[s,t]において、f(x)の最大値は、f(s),f(xMax)またはf(t)の最も大きいものであり、最小値はf(xmin)である。
    2. a<0ならば、
      1. nが奇数である時、関数f(x)x=x1まで単調に減少し、以後、x=xn1まで増減し、x=xn1を超えると再び単調に減少する。
        • 区間[s,t]において、f(x)の最大値は、f(s)またはf(xMax)のいずれか大きい方であり、最小値はf(xmin)またはf(t)のいずれか小さい方である。
      2. nが偶数である時、関数f(x)x=x1まで単調に増加し、以後、x=xn1まで増減し、x=xn1を超えると単調に減少する(グラフは「下に開く」)。
        • 区間[s,t]において、f(x)の最大値は、f(xMax)であり、最小値はf(s),f(xmin)またはf(t)の最も小さいものである。
    3次関数の増減と区間における最大最小
    f(x)=ax3+bx2+cx+d(a>0)に対して、f(x)=3ax2+2bx+c
    • ここで、f(x)=0が実数解を持たない場合及び重解を持つ場合(判別式D=b23ac0)、f(x)は、単調に増加する。
    • f(x)=0が異なる2つの実数解を持つ場合(判別式D=b23ac>0)、f(x)=3ax2+2bx+c=0の解を各々α,β(但し、α<β)とすると、f(x)の変曲点はx=α,βとなり、f(α)まで増加したのち減少に転じf(β)まで、減少した後、再び増加に転じる。この時、f(α)を極大値、f(β)を極小値という。
    • s<α<β<tである区間[s,t]において、f(x)の最大値は、f(α)またはf(t)のいずれか大きい方であり、最小値はf(s)またはf(β)のいずれか小さい方である。
※解に重複がある場合
  • 方程式f(x)=0の実数解x={x1,x2,xk,xk+1,xk+2,xn}において、隣接する2個の解が一致する場合、その一致する解の前後で正負は逆転せず、従って、元の関数f(x)の増減の傾向も変わらない。隣接する3個の解が一致する場合、その一致する解の前後で正負は逆転し、従って、元の関数f(x)の増減が逆転する。一般化すると、方程式f(x)=0の実数解x={x1,x2,xk,xk+1,xk+2,xn}において、隣接する偶数個の解が一致する場合、元の関数f(x)の増減の傾向は変わらない。隣接する奇数個の解が一致する場合、元の関数f(x)の増減はその点で逆転する。

陰関数の微分

x,yが関数の関係にある時、y=f(x)の形の表示を陽関数(表示)、f(x,y)=0の形の表示を陰関数(表示)という。なお、f(x,y,z)=0のように変数の数が3個以上のものがあるが、初等数学の範囲を超えるので、本公式集では言及しない。

例. 双曲線
陽関数表示: y=2x+1x1、陰関数表示: xy2xy1=0

陰関数f(x,y)=0において、yx で微分する、すなわち、dydxを求める手順は以下のとおり。

  1. f(x,y)=0の各項を、①変数がxのみである関数の項、②変数がyのみである関数の項、③xの関数とyの関数の積である項に分ける。
  2. ①変数がxのみである関数の項g(x)については、そのままxで微分してg(x)を求める。
  3. ②変数がyのみである関数の項h(y)については、ddx(h(y))=ddy(h(y))dydxとして、dydxを求める。
  4. xの関数とyの関数の積である項については、g(x)h(y)を微分してg(x)h(y)+g(x)h(y)とし、dydxを上記3の方法で求める。
  5. 上記2~4で求めたものにつき、dydxでまとめる。
 
(例題1)xy2xy1=0
各項をx で微分。①により、(2x)=2: ②により、(y)=y: ③により、(xy)=y+xy
よって、与式を微分したものは、y+xy2y=0
y(=dydx)について整理し、y=2yx1(解1)
y=2x+1x1であるので、y=22x+1x1x1=3(x1)2(解2)- 必ずしも、この形でなければならないわけではなく、解1の形のままで利用することもある。
なお、陽関数形式:y=2x+1x1を微分すると、y=(2x+1)(x1)(2x+1)(x1)(x1)2=2(x1)(2x+1)(x1)2=3(x1)2となり、解2に一致する。
 
(例題2)x2+y2=r2
各項をx で微分。①により、ddx(x2)=2x: ②により、ddx(y2)=ddy(y2)dydx=2ydydxであるから、
2x+2ydydx=0、したがって、dydx=xy
 
(例題3)ax2+by2=1
各項をx で微分。①により、ddx(ax2)=2ax: ②により、ddx(by2)=ddy(by2)dydx=2bydydxであるから、
2ax+2bydydx=0、したがって、dydx=axby

対数微分法

両辺の対数を取ってから微分する方法。
  • 式の乗(除)算を加(減)算に、累乗を乗算に還元して微分計算することができる。
(手順)
  1. 両辺の対数を取る。
    • この時、両辺が正でなければならないので、正と限らないときはないときは絶対値を取る。
  2. 両辺をxで微分する。
    • この時、logyの微分がyyになること(微分公式3-2)を利用する。
  3. yについて解いてxの式で表す。
(利用局面)
  1. 指数の底にも肩にも変数xが含まれているy=(f(x))g(x)のような関数。
    例題: y=xx(x>0) の微分
    1. y=xxについて、両辺対数を取る。なおx>0であるので右辺左辺ともに正であり、絶対値を顧慮する必要はない。
      logy=logxx=xlogx
    2. 両辺をxで微分する。
      yy=xlogx+x(logx)=logx+1
    3. y(=xx)を両辺にかける。
      y=y(logx+1)=xx(logx+1)
  2. y=f(x)g(x)h(x)のように微分したい関数が,たくさんの関数の積になっているとき。
    例題1: y=f(x)g(x)h(x) ただし、微分区間では、f(x),g(x),h(x) ともに正とする。
    1. y=f(x)g(x)h(x)について、両辺対数を取る。
      logy=log(f(x)g(x)h(x))=logf(x)+logg(x)+logh(x)
    2. 両辺をxで微分する。
      yy=f(x)f(x)+g(x)g(x)+h(x)h(x)=f(x)g(x)h(x)+f(x)g(x)h(x)+f(x)g(x)h(x)f(x)g(x)h(x)
    3. y(=f(x)g(x)h(x))を両辺にかける。
      y=f(x)g(x)h(x)+f(x)g(x)h(x)+f(x)g(x)h(x)
     
    例題2: y=f(x)g(x) ただし、微分区間では、f(x),g(x) ともに正とする。
    1. y=f(x)g(x)について、両辺対数を取る。
      logy=log(f(x)g(x))=logf(x)logg(x)
    2. 両辺をxで微分する。
      yy=f(x)f(x)g(x)g(x)=f(x)g(x)f(x)g(x)f(x)g(x)
    3. y(=f(x)g(x))を両辺にかける。
      y=f(x)g(x)f(x)g(x)g(x)2商の微分に一致)

積分

基本的な積分の考え方

  • 不定積分
    F(x)=f(x)の時、 f(x)dx=F(x)+C
    別の表現:f(x)dx=f(x)+C
     
    • 変数 x の関数f,g及びその導関数f,gに対して、微分の逆演算より、
      • (f+g)dx=f+g+C
         
      • (fg+fg)dx=fg+C
         
         
      • fgfgg2dx=fg+C
         
        特に、f=1のとき(f=[定数]と同意)、f=0であるので、
        • gg2dx=1g+C
         
      • ((fg)g)dx=fg+C
     
    • 置換積分
      f(x)において、x=g(t)と置換できる場合、f(x)dx=f(g(t))dx(※)
      ここで、x=g(t)tについて微分すると、dxdt=g(t)、したがってdx=g(t)dt
      ※に代入すると、f(x)dx=f(g(t))dx=f(g(t))g(t)dt
      • f(ax+b)の不定積分
        F(x)=f(x)であるとき、 f(ax+b)dx=1aF(ax+b)+C
        (証明)
        f(ax+b)dxに関して、 t=ax+bと置くと、
        f(ax+b)dx=f(t)dxdxdt=1aであるので、dx=1adt
        代入して、f(ax+b)dx=f(t)dx=1af(t)dt
        f(t)dx=F(t)+Cであるので、f(ax+b)dx=1aF(t)+Ct=ax+bを戻して、(与式) =1aF(ax+b)+C
     
  • 定積分
    F(x)=f(x)の時、 abf(x)dx=F(b)F(a)
    なお、F(b)F(a)=[F(x)]ab と略記。
    • 定積分の性質
      • abf(x)dx=baf(x)dx, aaf(x)dx=0
       
      • a<c<bとして、abf(x)dx=acf(x)dx+cbf(x)dx
         
        • [a,c]において、すべてのxについて、f(x)0であり、[c,b]において、すべてのxについて、f(x)0であるならば、
           
          ab|f(x)|dx=acf(x)dx+cbf(x)dx
       
      • f(x)=f(x)f(x)は偶関数)ならば、aaf(x)dx=20af(x)dx
         
        • f(x)=f(x)f(x)は偶関数)ならば、aaf(x)1+pxdx=0af(x)dx証明
       
      • f(x)=f(x)f(x)は奇関数)ならば、aaf(x)dx=0
         
      • |abf(x)dx|ab|f(x)|dx
     
  • 置換積分
    f(x)において、x=g(t)と置換できる場合、
     
    abf(x)dx=αβf(g(t))g(t)dt ただし、α=g(a),β=g(b)
     
  • 部分積分
    abf(x)g(x)dx=[f(x)g(x)]ababf(x)g(x)dx
    別の表現:abf(x)dg(x)=[f(x)g(x)]ababg(x)df(x)
  • 定積分と不等式
    閉区間[a,b]においてf(x)g(x)ならばabf(x)dxabg(x)dx
    等号成立は閉区間[a,b]において恒等的にf(x)=g(x)のとき。
  • コーシー・シュワルツの不等式
    (abf(x)g(x)dx)2(abf(x)2dx)(abg(x)2dx)
     
  • King Property (King's Property とも)
     
    abf(x)dx=abf(a+bx)dx
     
    特に、 
    [1] 0af(x)dx=0af(ax)dx
     
    [2] aaf(x)dx=aaf(x)dx
     
    利用局面1
    I=abf(x)dx=abf(a+bx)dxより、
     
    2I=ab(f(x)+f(a+bx))dxとすると、積分計算が容易になる場合がある。
     
    なお、このとき、a+b=0 ならば、2I=bb(f(x)+f(x))dx
     
    利用局面2
    0af(x)dx=0af(ax)dxの形の式で三角関数が登場する時、
    f(x)f(ax)の形で、補角の公式sin(πx)=sinx等)や余角の公式sin(π2x)=cosx等)を利用できる場合がある。

代表的な関数の積分公式

基本的な関数の積分公式

  • [積分公式1] xadx=xa+1a+1+C (aは実数かつa1)
  • [積分公式2] exdx=ex+C
    従って、[積分公式2-1] axdx=axloga+C (ただし、a>0)
  • [積分公式3] 1xdx=log|x|+C
    • [積分公式3-1] f(x)f(x)dx=log|f(x)|+C
     
  • [積分公式4] logxdx=xlogxx+C証明
     
  • 三角関数の積分 (→証明
    • [積分公式5] cosxdx=sinx+C
      • [積分公式5-1] cosmxdx=sinmxm+C
    • [積分公式6] sinxdx=cosx+C
      • [積分公式6-1] sinmxdx=cosmxm+C
    三角関数の定積分
    ba=2nπnは任意の整数)であるとき、
    absinxdx=abcosxdx=0
    (拡張)
    absinmxdx=abcosmxdx=0
    akbksinkxdx=akbkcoskxdx=0
     
    積分区間π2ごと
     
    0π2sinxdx=0π2cosxdx=1 、②π2πsinxdx=1,π2πcosxdx=1
    π3π2sinxdx=π3π2cosxdx=1 、④3π22πsinxdx=1,3π22πcosxdx=1
     
    積分区間πごと
     
    0πsinxdx=2,0πcosxdx=0 、②π23π2sinxdx=0,π23π2cosxdx=2
     
    π2πsinxdx=2,π2πcosxdx=0 、④3π25π2sinxdx=0,3π25π2cosxdx=2

複合的な積分

複合的な三角関数の積分
  • sin2xdx=2xsin2x4+C証明
     
  • cos2xdx=2x+sin2x4+C証明
     
  • tan2xdx=tanxx+C*1より)
     
  • sinnxcosxdx=sinn+1xn+1+C微分公式4-2参照)
     
  • cosnxsinxdx=cosn+1xn+1+C微分公式5-2参照)
     
  • 1sinxdx=12log(1cosx1+cosx)+C=12log|tanx2|+C証明
     
  • 1cosxdx=12log(1+sinx1sinx)+C証明
     
  • 1sin2xdx=1tanx+C(証明:微分公式6-a参照)
     
    • 1tan2xdx=cos2xsin2xdx=1sin2xsin2xdx=(1sin2x1)dx=1tanxx+C
     
  • 1cos2xdx=tanx+C(証明:微分公式6参照)
     
    • tan2xdx=sin2xcos2xdx=1cos2xcos2xdx=(1cos2x1)dx=tanxx+C (*1)
     
  • 1sinxcosxdx=log|tanx|+C上記参照,別証明
     
  • 11+sinxdx=tanx1cosx+C=21+tanx2+C証明1,証明2
     
  • 11sinxdx=tanx+1cosx+C=21tanx2+C証明1,証明2
     
  • 11+cosxdx=1tanx+1sinx+C=tanx2+C証明1,証明2
     
  • 11cosxdx=1tanx1sinx+C=1tanx2+C証明1,証明2
     
  • 積和の公式を利用するもの
    • sinmxcosnxdx=12{sin(m+n)x+sin(mn)x}dx=cos(m+n)x2(m+n)cos(mn)x2(mn)+C
       
      但し、m=±nの時、与式=12sin2mxdx=cos2mx4m+C
       
      特に、sinxcosxdx=12sin2xdx=cos2x4+C
       
    • cosmxcosnxdx=12{cos(m+n)x+cos(mn)x}dx=sin(m+n)x2(m+n)+sin(mn)x2(mn)+C
       
      但し、m=±nの時、(m+n,mn)=(2m,0),(0,2m)であるから、与式=12{cos2mx+cos0}dx=12{cos2mx+1}dx=sin2mx+2x4m+C
       
      特に、|m|=|n|=1の時、結果は、sin2x+2x4+Cであるが、与式=cos(±x)cos(±x)dx(複号任意)=cos2xdxであるので、上記の式に一致。
       
    • sinmxsinnxdx=12{cos(m+n)xcos(mn)x}dx=sin(m+n)x2(m+n)+sin(mn)x2(mn)+C
       
      但し、m=±nの時、(m+n,mn)=(2m,0),(0,2m)であるから、与式=12{±cos2mxcos0}dx=12{±cos2mx1}dx=±2xsin2mx4m+C
       
      特に、m=n=1の時、結果は、2xsin2x4+Cであるが、与式=sinxsinxdx=sin2xdxであるので、上記の式に一致。

代表的な置換

以下、置換積分における代表的な置換を列挙する。置換の方法は複数通り考えられるので、必ずしもこの置換でなければいけない訳ではない。

  • {f(x)}nを含む積分は、f(x)を置換する。
    例:e2x(ex+1)2dx=ex(ex+1)2exdx=t1t2dt
  • g(x)nを含む積分は、根号全体を置換する。
    例:x3xdx=3u2u(2u)du=(3u2)du
  • 三角関数で置換するもの※
    a2x2dx=a2(asinθ)2acosθdθ=a2cos2θdθ
    x=acosθと置換する場合はsin2θdθが出てくる。
    dxx2+a2=dθ(atanθ)2+a2=cos2θa2acos2θdθ=1adθ
  • 特殊な置換
    • 三角関数のみを含む積分についてt=tanθ2と置換する。(ワイエルシュトラス置換
      sinθ=2t1+t2,cosθ=1t21+t2,tanθ=2t1t2三角関数の媒介変数表示)となって分数関数の積分として計算できる。
    • x2+Aを含む積分はx+x2+A=tと置換する(オイラー置換)。
      例:x2+a2dx=14(ta2t)2+a212(1+a2t2)dt=14(1+a2t)(1+a2t2)dt
    • 参考:x2+a2を含む積分は双曲線関数で置換する。
      例:dxx2+4=1(2sinhθ)2+42coshθdθ=dt

※三角関数による置換は、大学数学における以下の公式を背景にしている。

(arcsinx)=11x21<x<1
(arccosx)=11x21<x<1
(arctanx)=11+x2
dxx2+a2=arcsinx|a|+C(ただしa0,|x|<|a|
dxa2+x2=1aarctan1a+C(ただしa0
a2x2dx=12(xa2x2+a2arcsinx|a|)+C(ただしa0,|x|<|a|

曲線で囲まれる領域の面積

  • 閉区間[a,b]において、曲線y=f(x)及び曲線y=g(x)によって囲まれる領域の面積。
    S=ab|f(x)g(x)|dx
Lukion_taulukot_(1993)-page038-image02
Lukion_taulukot_(1993)-page038-image02
  • 曲線y=f(x), 曲線y=g(x)が、[a,b]内のcにおいて交わり、x<c において、f(x)>g(x)xc において、f(x)g(x) であるとき、
    S=ab|f(x)g(x)|dx=ac(f(x)g(x))dxcb(f(x)g(x))dx

テンプレート:-

  • 曲線y=a1x2+b1x+c1をA、曲線y=a2x2+b2x+c2をBとする(ただし、a1a2)。AとBが、x=α,β(α<β)で交わるとき、
    区間[α,β]で、曲線Aと曲線Bにより囲まれる領域の面積。
    S=|a1a2|6(βα)3(1/6公式)
  • (1/12公式)
  • (1/20公式)

これらはy軸まわりで考えても同様である。 テンプレート:Wikipedia

  • 曲線{x=f(t)y=g(t)について、[a,b]の範囲でtの増加とともに点P(f(t),g(t))がxy平面上を原点中心に反時計回りに動くときに線分OPが通過する領域の面積は、ab12{xg(t)yf(t)}dt(ガウス・グリーンの定理)
  • 極座標系での求積
    曲線r=r(θ)と2直線θ=α,θ=βで囲まれた部分の面積は、S=αβ12{r(θ)}2dθ (→証明
    ただし、θは偏角とは限らない。

極限と積分の関係(区分求積法)

区分求積法とは、関数の値を細かく区切って足し合わせることで積分を近似する方法である。

 

f(x) は区間[0,1]で連続であるとき、次の極限が成り立つ。

 
limn1nk=1nf(nk)=01f(x)dx
 

同様に、区間[0,m]で連続であるとき、次の極限が成り立つ。

 
limn1nk=1mnf(nk)=0mf(x)dx
 
これは、区分求積法による近似が極限で積分に収束することを表している。

体積

  • ある立体V0x=tにおける断面積が有限な値で、その値が tの関数S(t)となるとき、この立体を平面x=ax=b(ただし、a<b)で切り取った領域の体積は、
    V=abS(t)dt
     
    【利用公式】
  • 曲線y=f(x)x軸を中心に回転させたとき、この立体を平面x=ax=b(ただし、a<b)で切り取った領域の体積は、
    V=πab{f(x)}2dx
  • 曲線x=g(y)をy軸を中心に回転させたとき、この立体を平面y=c,y=d(ただしc<d)で切り取った領域の体積は、
    V=πcd{g(y)}2dy
  • 曲線y=f(x)とx軸、直線x=a,x=bに囲まれた部分をx軸周りに一回転した立体の体積は、
    V=2πabxf(x)dx(バームクーヘン積分・円筒分割積分)
  • 図形Aを図形Aと交わらない直線の周りに一回転してできる立体の体積は、V=(Aの重心が描く円の円周長)×(Aの面積)。(パップス・ギュルダンの定理)

斜軸回転体の体積

  • 平面中の直線Lの周りの回転体の体積は、回転軸Lに垂直な平面で回転体を切った断面積の積分で求まる。
  • 曲線y=f(x)と直線mx+n,x=a,x=bで囲まれた部分を直線y=mx+nの周りで一回転した体積は、tanθ=mとして、
    V=πcosθab{f(x)(mx+n)}2dx(傘型分割積分)
  • 回転軸Lをx軸もしくはy軸に重ねる回転移動を行い通常の回転体の求積公式に強引に当て嵌めることで、置換積分により体積が求まる。

曲線の長さ

  • 閉区間[a,b]における、曲線y=f(x)の長さL
    L=ab1+(dydx)2dx
    • 上記曲線が媒介変数tによって、x=x(t),y=y(t),a=x(α),b=x(β)と表される時の長さL
    L=αβ(dxdt)2+(dydt)2dt

平面上の運動と微積分

xy平面上における運動の時刻tにおける位置,速度,加速度をそれぞれx(t),v(t),a(t)とする。

  • ddtx(t)=v(t)v(t)dt=x(t)+x0
  • ddtv(t)=a(t)a(t)dt=v(t)+v0
  • d2dt2x(t)=a(t)a(t)dtdt=x(t)+x0
  • 時刻aから時刻bまで運動を続けた時の道のりはab|v(t)|dt


基本的な関数の微分公式と積分公式の相互関係

  • ddxaxf(t)dt=f(x) (微積分学の基本定理)


脚注

  1. 「限りなく近づける」は、数列の極限におけるものと同様、数学的に厳密な表現ではないが、高校数学の過程では、その理解で足りる。
    考え方としてはf(a1t) または、f(a+1t)として、limxf(a1t) または、limxf(a+1t) である。なお、a1ta+1t を別に記述するのは、後述する片側極限を意識している。