「制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解法の正しさの証明」の版間の差分
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2020年1月17日 (金) 06:27時点における最新版
以上の準備の下に,Laplace 変換による解法の正しさを証明することができる. この章の初めに述べたことを,特性方程式を用いて簡単に復習しておこう.
特性方程式を,
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とするとき,同次方程式
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および非同次方程式
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を初期条件
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の下に解くという問題であった.
[定理 3.2] テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation ここに, は高々 次の任意の多項式である.
これを示すことが目標である.一般に,
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と因数分解できるから[1],補題3.2 を念頭におけば,定理 3.2 は,
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の場合に証明すれば十分である[2].
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は例67で示した[3].よって,定理は,
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の場合だけ示せばよい.ところで補題 3.3 に留意すれば,
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の場合だけを論ずればよいことが分かる[4].したがって,
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を確めればよいことが分かる.ところが,これらは前章ですでに示されている.
すなわち 式 (2.33) によれば,
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より直ちに,
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が出る.[5]
また,
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に注意すれば,
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も明らかである.以上で定理の (i) の部分が示された.
(ii) の部分は次のようにして示される[6].いま証明したことから,
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は の解である[7].しかも初期値は,
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を満たす[8].この初期条件に留意しつつ に合成積の微分の公式を次々に適用すると,
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および,
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となり,上から順に を掛けて加えると,
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を得る.
この証明からも分かる通り, の Laplace 変換が存在しなくても は,
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の解となる.たとえば,
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において, の Laplace 変換は存在しないが,
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が解であることは明らかである[9].
- ↑ これは部分分数定理の注にて証明した.
- ↑ にて ならば .よって となる があればよい. この節の証明方針を以下に整理すると,定理3.2(i) の の分母 を因数分解したときに因数として を持ち,したがって の部分分数展開を第二分解定理まで実施した結果,項 を持つのであれば,この原像の の次数が微分方程式の解 を構成する項の中で最高次数となり 式(2.17b)よりその次数は .これに作用素 を働かせた結果が になれば,証明全体の中のこの項 に関与する部分を完了させられる. 部分分数展開の結果,項として を持つものについては後述される.
- ↑
補題 3.3(ii) およびその系)
- ↑
のとき,
- ↑
- ↑ ここでの証明法は二階線形微分方程式の解法と同じ.
- ↑
ならば で, の場合.
- ↑
で,
と をおくと,
…①
一方,式 (2.1) ,したがって式 (2.11) より、
これらを①に代入して,
より 内は となり,①より の係数を比較して,
- ↑ この章の証明に Laplace 変換 が使われていない,というのは,Laplace 変換によって求めた原像 が微分方程式 の解であることを証明するのに Lapalce 変換を使っていない,ということである.ただ,非同次微分方程式の定常解 の については, は与えられた関数であり,「 に対応する Laplace 変換がなくとも は解となる」という部分には Laplace 変換が使われていないことはいえる.初期値の与え方についても最終項を除いて となるように初期値 ,最終項は と後から与えてよい.