初等数学公式集/数列

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一般項

  • 等差数列(算術数列)
    初項を a1 とし、公差を dとすれば、n番目の項 an
    an=a1+(n1)d
  • 等比数列(幾何数列)
    初項を a1 とし、公比を rとすれば、n番目の項 an
    an=a1rn1

数列の和

数列 ai に関して、 iについて区間[m,n]で足し上げた総和を記号:(シグマ)を用いて、i=mnaiと表す。

数列の和の性質

  • i=mnaii=mn1ai=an
     
線形性
  • i=mn(ai+bi)=(i=mnai)+(i=mnbi)
  • i=mnλai=λi=mnai
    なお、 k=1n1=n、したがって、k=1nλ=λn

数列の和の公式

等差数列の和
  • k=1n{a+d(k1)}=n2(2a+d(n1))
     
等比数列の和
  • k=1nark1={an(r=1)a(1rn)1r(r=1)
     
自然数の累乗の和
  • k=1nk=12n(n+1) (証明
     
  • k=1nk2=16n(n+1)(2n+1) (証明
     
  • k=1nk3={12n(n+1)}2 (証明
     
  • k=1nk4=130n(n+1)(2n+1)(3n2+3n1) (証明
     
連続する自然数の積の和 (証明
  • k=1nk(k+1)=12+23+34++n(n+1)=13n(n+1)(n+2)
     
  • k=1nk(k+1)(k+2)=123+234+345++n(n+1)(n+2)=14n(n+1)(n+2)(n+3)
     
  • k=1nk(k+1)(k+2)(k+m1) [m個の連続する自然数の積の和]=n(n+1)(n+2)(n+3)(n+m)m+1
     
連続する自然数の積を分母とする数列の和
  • k=1n1k(k+1)=112+123+134++1n(n+1)=1112+1213+1314+1n+1n1n+1=11n+1=nn+1
     
  • k=1n1k(k+1)(k+2)=1123+1234++1n(n+1)(n+2)
    =12(112123)+12(123134)++12(1(n1)n1n(n+1))+12(1n(n+1)1(n+1)(n+2))
    =12(1121(n+1)(n+2))=n(n+3)4(n+1)(n+2)

階差数列

テンプレート:Wikipedia 初項が a1 であり、2項間の差:bk=ak+1akとしたとき、{bk} が規則性を持つのであれば(すなわち、いわゆる数列であれば)、{ak} も規則性を有することとなり数列であると言える。このような数列を階差数列という。さらに、数列{bk} の規則性が不明瞭である時、さらにその階差をとって数列{ck} を作って明瞭な規則性を発見する場合もあり、それからさらに階差の深度を深める場合もある。数列{ak} に対して、数列{bk} を第1階差数列、数列{ck} を第2階差数列という。

anan1=bn1 であるとき、an=a1+k=1n1bk
an=bn1+an1=bn1+bn2+an2=bn1+bn2+bn3+an3==bn1++b1+a1=a1+k=1n1bk
anan1=bn1,bnbn1=cn1 であるとき、an=a1+k=1n1(k=1n2ck)

漸化式と一般項

初項a1の値と、第kakと第k+1ak+1の関係によって数列を定義することができる。このような定義のしかたを数列の帰納的定義といい、akak+1のような関係式を漸化式という。

二項間漸化式

※以下、初項a1は所与

  • an+1an=k(定数) のとき、
    一般項は、an=a1+k(n1)  [等差数列]
  • an+1=ran のとき、
    一般項は、an=a1rn1  [等比数列]
  • an+1an=bn のとき、
    一般項は、an=a1+k=1n1bk  [階差数列]
    • 階差数列の拡張
      anの一般項は不明であるが、数列の和 i=1naiを漸化式Snとして、nの式で与えられていたり、anを含んだ関係式が示されているとき、
      SnSn1=an , S1=a1
      の性質を用い、anの一般項を求める。

等比数列となる漸化式の応用

  • an+1=ran+k (r=1) のとき、
    an+1=r(ank1r)+k1r
    ここで、
    bn=ank1r とすると、
    元の漸化式は、
    bn+1=rbn となり、これは等比数列なので、一般項は、bn=b1rn1 となる。
    an=bn+k1r かつ、b1=a1k1r なので、
    一般項は、an=(a1k1r)rn1+k1r となる。

三項間漸化式

※以下、初項a1及び第2項a2は所与

一般形

an+san1+tan2=0 - ① のとき、
anαan1=β(an1αan2) - ② と変形、
anαan1=β(an1αan2)=β2(an2αan3)・・・=βn2(a2+αa1) - ③
①と②から、s=α+β, t=αβが成立している(※)ので、①はanβan1=α(an1βan2)とも変形でき、③同様、
anβan1=αn2(a2βa1) - ④となる。
③-④
αan1+βan1=βn2(a2αa1)αn2(a2βa1)
即ち、(βα)an=βn1(a2αa1)αn1(a2βa1)
an=βn1(a2αa1)αn1(a2βa1)βα - ⑤
(参考)
  1. ※から、α,βは、二次方程式x2+sx+t=0(特性方程式)の解であることがわかるが、高校の過程では「変形できる」でよい。
  2. 特性方程式の解が、以下に示す重解の場合を除き、有理数である時のみならず、無理数であっても(下記「フィボナッチ数列参照」)、虚数解であっても成立する。

特殊形

上記②において、α=βであるとき

変形の結果、以下の式が得られる。
anαan1=αn2(a2αa1)
両辺をαnで割ると、
anαnan1αn1=a2αa1α2
ここで、anαn=bn、左辺は定数なので、kと置くと、この式の形は、bnbn1=kとなり、等差数列となる。したがって、
bn=b1+k(n1)=a1α+(a2αa1)(n1)α2
an=αnbn=αn2((n1)a2α(n2)a1)

非斉次形

an2an1+an2=k(定数)は以下のように変形して解くことができる。

anan1=an1an2+k
anan1=bn1とおけば、bn=bn1+kなので、{bn}は等差数列となり、
bn1=b1+k(n2)=a2a1+k(n2)である。これが{an}の階差数列であることから、
an=a1+l=2n(a2a1+k(l2))=(n1)a2(n2)a1+k(n2)(n1)2

フィボナッチ数列

テンプレート:Wikipedia 以下の関係で定義される数列をフィボナッチ数列という。

F1=1, F2=1, Fn=Fn1+Fn2 (n ≧3)
上記三項間漸化式にあてはめ、FnFn1Fn2=0を解く。
特性方程式:x2x1=0を解くとx=1±52であるから、
α=152, β=1+52
を⑤に代入する。βα=5, F2αF1=1+52=β, F2βF1=152=αであるから、
Fn=βn1(F2αF1)αn1(F2βF1)βα=βnαnβα=15{(1+52)n(152)n}

参考(黄金数)

テンプレート:Wikipedia

x2x1=0の正の解;1+52(上記β)との比を黄金比(Golden ratio)、その値を黄金数といい、しばしば、φで表す。
同様に、φと共役関係にある負の解;152(上記α)をφで表し、フィボナッチ数を以下のように表すこともある。
 
Fn=φnφnφφ=15(φnφn)
 
黄金比・黄金数は、数学のその他の分野にも登場する興味深い数である。

数学的帰納法

順々に出現する自然数nについて(離散的)、命題が成立することの証明法。
 
(手順)
  1. n=1のときに、命題が成り立つことを証明。
  2. n=kのときに、その命題が成り立つことを仮定して,演算を行なってn=k+1のときその命題が成り立つことを証明する。
  3. 1.及び2.により、与えられた命題はすべての自然数nについて成り立つことが証明された。
 
(事例)一般項の式が漸化式を満たすことの証明
an+1=ran+k,a1=a,(r=1) のとき、一般項は、an=(ak1r)rn1+k1r (命題※)となることの証明。
  1. n=1のとき、a1=a 。一般項の式:(ak1r)r11+k1r=ak1r+k1r=a、となり命題※は成立。
  2. n=mのとき、命題※が成立していると仮定。
    n=m+1のとき、
    am+1=ram+k=r((ak1r)rm1+k1r)+k=(ak1r)rm+kr1r+k=(ak1r)rm+k1r
    となり、n=m+1のときも命題※は成立している。
  3. 1.及び2.により、命題※はすべての自然数nについて成り立つ。

数列・級数の極限

極限

自然数 n に対応する数列 an について、n が無限に大きくなるものを無限数列といい、無限に大きくする操作を limnan と記述する。
limnan による数列 an の挙動には以下のものがある。
  1. ある実数 α限りなく近づく[1]。これを、limnan=α と表記し、「数列 an は、α収束する」という。
    (例)an=(12)n, an=(12)n いずれも、limnan=0 となる。
  2. n が無限に大きくなることで収束しない場合を、発散するという。
    1. n が無限に大きくなると an も無限に大きくなる。これを、limnan= と表記し、「数列 an は、正の無限大に発散する」という。
      (例)an=n, an=2n いずれも、limnan= となる。
    2. n が無限に大きくなると an負の方向に無限に大きくなる[2]。これを、limnan= と表記し、「数列 an は、負の無限大に発散する」という。
      (例)an=n, an=2n いずれも、limnan= となる。
    3. n が無限に大きくなると an は、n の値によって、正または負の値いずれかを取り、収束しない。これを振動するという。なお、an=(1)n は、振動し収束しないが発散の範疇とは通常しない。
      (例) an=(a)n(a>1)
上記の場合で、振動しないものを「極限がある」といい、振動するものを「極限がない」という。

数列の極限

  • 数列 {an},{bn},{cn} が、N が十分大きいとき常に aNbNcN を満たし、limnan=limncn=α となるならば、{bn} も収束し、
    limnbn=α

(はさみうちの原理)

  • 数列{an},{bn}Nが十分大きいとき常にaN<bNを満たし、limnan=となるならば、
    limnbn=

(追い出しの原理)

  • 数列 {an},{bn} に対して, limnan=α, limnbn=β ならば、
  1. limnkan=kα ただし k は定数。
  2. limn(an±bn)=α±β (複号同順)。
  3. limnanbn=αβ
  4. limnanbn=αβ  (ただし、β=0)。
  • 数列 {rn} について、
  1. |r|<1 ならば limnrn=0。(収束)
  2. r=1 ならば limnrn=1。(収束)
  3. r>1 ならば limnrn=。(発散)
  4. r1 ならば limnrn は存在しない。(振動)
  • 数列 {nrn} において、0<r<1 ならば limnnrn=0
(証明) 1r>1 であるから 1r=1+h,(h>0) とおくと、n>2 のとき、
0<nrn=n(1+h)n<nn(n1)2h2=2(n1)h2
ここで、(1+h)nを2項定理で展開して、2次の項だけ抽出した。n のとき右辺 0 であるから、はさみうちの原理により、limnnrn=0

級数の極限

無限数列 an の各項を足し合わせたものを無限級数または単に級数と呼ぶ。和の表現を用いると、i=maiであり、i=mnai=Sn という数列であると捉えると、limnSn と記すことができる。
  • 級数: Sn=k=0nark について、
  1. |r|<1 のとき limnSn=a1r
  2. |r|1 のとき limnSn は発散する。
(証明)SnrSn=a(k=0nrkk=1n+1rk)=a(r0rn+1)
Sn=a(1rn+1)1r
|r|<1のときlimnrn+1=0よりlimnSn=a1r
r>1のときlimnrn+1=よりSnの極限は発散する。

脚注

  1. 数学的に厳密な表現ではないが、高校数学では足りる。 am=α となる自然数 m が存在しているわけではないことに注意。
  2. 「無限に小さくなる」は、基本的に「0 に近づく」を意味するので、この表現を用いる。