電気回路理論/直流回路の計算法

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直流回路の計算にあたっては、実質的に抵抗のみを気にして計算すればよい。直流であれば電流が常に一定であるから、インダクタに流れる電流の時間変化がないのでインダクタに誘導起電力は発生しない。すなわちインダクタの両端の電圧は0となるため、導線に置き換えて考えることができる。またキャパシタに流れる電流も時間変化が無いので、電荷が蓄えられた状態で電流は流れなくなる。すなわちキャパシタのある部分は導線がない(開放)ものとして考えることができる。そのため例えば下図左の回路は、直流であるかぎり下図右の回路に置き換えて考えてよい。

LCR直流回路直流等価回路

直流回路の計算には[[../オームの法則|オームの法則]]と[[../キルヒホッフの法則|キルヒホッフの法則]]を組み合わせて用いるが、主にはキルヒホッフの法則を用いる。ここではT形回路やπ形回路を例にとって回路の計算を行う。

T形回路

T形回路の例。

テンプレート:- 回路図が無いため、しばらく記号で代用します

    →i2    A    →i3
┌────R2────┬────R3────┐
│+    →    │    →    │
 v   ↑C1↓   R1↓i1 ↑C2↓   │
│-    ←    │    ←    │
└─────────┴─────────┘

図のような回路をT形回路という。この回路の各抵抗を流れる電流を求めてみよう。

節点AにKCLを適用すると、

i1+i2i3=0  (1)

が成り立つ。したがって

i2=i1+i3  (1)'

である。R1R3は並列接続になっているから、[[../直列と並列|前節]]で見たように確かに各抵抗に流れる電流の和が全電流となっている。

さて、ここで閉路C1にKVLを適用すると、

vR2i2R1ii=0  (2)

が成り立つ。また同様に閉路C2にKVLを適用すれば、

R3i3+R1ii=0  (3)

が成り立つ。

ここまでに得た式(1)、(2)、(3)を連立して解くと、

i1=R3R1R2+R2R3+R3R1vi2=R1+R3R1R2+R2R3+R3R1vi3=R1R1R2+R2R3+R3R1v

を得る。

あるいは、KVLの代わりに合成抵抗を考えることによって求めることもできる。R1R3は並列接続なので、この2つの合成抵抗R13

1R13=1R1+1R3=R1+R3R1R3R13=R1R3R1+R3

である。すなわちこのT形回路は次と等価である。


回路の合成例

テンプレート:- 回路図が無いため、しばらく記号で代用します

    →i2       →i2
┌────R2───────R13────┐
│+                  │
 v                  │
│-                  │
└─────────-────────┘

さらに、R2R13は直列抵抗であるから、この合成抵抗R

R=R2+R13=R2+R1R3R1+R3=R1R2+R2R3+R3R1R1+R3

である。よって、回路を流れる電流i2は、オームの法則(あるいは回路全体の閉路にたいしてKVL)より、

i2=vR=R1+R3R1R2+R2R3+R3R1v

このとき、R13にかかる電圧v13

v13=R13i2=R1R3R1+R3R1+R3R1R2+R2R3+R3R1v=R1R3R1R2+R2R3+R3R1v

であるから、i1i3はオームの法則より

i1=v13R1=R1R3R1R2+R2R3+R3R1v×1R1=R3R1R2+R2R3+R3R1v
i3=v13R3=R1R3R1R2+R2R3+R3R1v×1R3=R1R1R2+R2R3+R3R1v

と求められる。

π形回路

回路図が無いため、しばらく記号で代用します

         + v1 -
┌────┬────G1────┐
│    │+         │+
↑i    G2 v2        G3 v3
│     │-         │-
└────┴─────────┘

図のような回路をπ形回路という。この回路の各抵抗(コンダクタンス)の両端にかかる電圧も、キルヒホッフの法則やオームの法則を用いて求めることができる。求める電圧は

v1=G3G1G2+G2G3+G3G1iv2=G1G3G1G2+G2G3+G3G1iv3=G1G1G2+G2G3+G3G1i

である。計算は各自試みてほしい。