電気回路理論/Δ-Y変換

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

Δ形回路とY形回路

(左)Δ形回路 (右)Y形回路

3端子の回路として、右図のような2種類の回路を考える。どちらも端子が3つ、抵抗が3つの回路であるが、結線の仕方が異なる。左をΔ形回路(Δ circuit)、右をY形回路(Y circuit)という。

この2種類の回路は後の交流回路理論の中で学ぶ[[../三相交流|三相交流]]において現れる回路であるが、ここでは交流における応答には触れず、この2種類の回路の間で等価的な置き換えを施すことが可能であることを説明する。

Δ-Y変換

Δ形回路からそれと等価なY形回路を求めること、あるいは逆にY型回路からそれと等価なΔ形回路を求めることを、Δ-Y変換(Δ-Y transform)あるいはY-Δ変換という。ここでいう等価回路への変換とは、端子間電圧v12,v23,v31(ただしvklは端子Nlから見た端子Nkの電位)と、各端子へ流れ込む電流i1,i2,i3について、これらがまったく同一になるY形回路あるいはΔ形回路を求めることである。

まずΔ形回路での端子間電圧と端子電流の関係をみることにする。各抵抗Ra,Rb,Rcを反時計方向に流れる電流をia,ib,icとすると、各節点でKCLを適用することにより

i1=ibiai2=icibi3=iaic

である。またオームの法則より、

v12=Rbibv23=Rcicv31=Raia

である。これらの式より、

i1=v12Rbv31Rai2=v23Rcv12Rbi3=v31Rav23Rc  (1)

が導かれる。

一方、Y形回路での端子間電圧と端子電流の関係はどうであろうか。まず中心の節点にKCLを適用すれば、

i1+i2+i3=0

である。さらにオームの法則より、

v12=R1i1R2i2v23=R2i2R3i3v31=R3i3R1i1

が成り立つ。これらの4式を用いてi1,i2,i3について解くと、

i1=R3R1R2+R2R3+R3R1v12R2R1R2+R2R3+R3R1v31i2=R1R1R2+R2R3+R3R1v23R3R1R2+R2R3+R3R1v12i3=R2R1R2+R2R3+R3R1v31R1R1R2+R2R3+R3R1v23  (2)

となる。

ここまでに求めた(1)と(2)を比較すれば、2つの回路が等価であるためには

Ra=R1R2+R2R3+R3R1R2Rb=R1R2+R2R3+R3R1R3Rc=R1R2+R2R3+R3R1R1  (3)

であればよい。Y形回路が与えられている場合には、各抵抗の値を用いて、等価なΔ形回路をこの式によって求めることができる。

(3)式をR1,R2,R3について解いた形も求めよう。まず(3)式のうち2式ずつをとって辺々かけることにより、

RaRb=(R1R2+R2R3+R3R1)2R2R3RbRc=(R1R2+R2R3+R3R1)2R3R1RcRa=(R1R2+R2R3+R3R1)2R1R2

となり、この3式の逆数を加えれば、

1RaRb+1RbRc+1RcRa=R1R2+R2R3+R3R1(R1R2+R2R3+R3R1)2Ra+Rb+RcRaRbRc=1R1R2+R2R3+R3R1

となる。これと(3)式より、

R1=RaRbRa+Rb+RcR2=RbRcRa+Rb+RcR3=RcRaRa+Rb+Rc  (4)

となる。この(3)式や(4)式がΔ-Y変換の公式である。