大学受験物理/力学/解答解説

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「問題」の解説は指針を示すことにより、何を求めればよいかを明らかにした。

速度・加速度

  • 例題 1 - 1

(1) 小学校の算数でやった通り、1 km は 1000 m であり、1 h は 3600 s である。したがって、

72[km/h]=72000[m]3600[s]=20[m/s]

(2) 減速している時間は時刻 126 s から時刻 150 s の間である。さらに速度は 20 m/s(問1より)から 0 m/s になっているので、

a=0[m/s]20[m/s]150[s]126[s]=0.833...[m/s]0.83[m/s2]

(3) 公式を用いてもよいが、vt グラフが与えられているので、面積で解いたほうが速い。

x=(106[s]+150[s])2×20[m/s]=2560[m]2.6×103[m]

(4) 速度の傾向の変化がある区間で分けて考える。ここでは、[1]0 s~20 s(加速部分)、[2]20 s~126 s(等速部分)、[3]126 s~150s(減速部分)の3つに分ける。
 [1] 左側の三角形の部分の面積を考えることにより、この区間の距離は0 m→200 mである。加速度1.0 m/s2で加速しているので、下に凸なグラフを描くことがわかる。
 [2] 同様に、200 m→2320 mであり、等速なので傾き20の直線グラフを描くことがわかる。
 [3] 同様に右側の三角形の部分の面積を考えると、(2)より加速度は-0.83 m/s2なので、上に凸なグラフを描くことがわかる。

xtグラフ

したがって、xtグラフは左図のようになる。

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  • 例題 1 - 2

 犬が 50 m を完走する時間 t

t=50[m]10[m/s]=5.0[s] であり、犬に対する猫の相対速度 vv=10[m/s]6.0[m/s]=4.0[m/s] である。ここで、求めるものは相対距離なので相対速度を用いることができる。したがって、
4.0[m/s]×5.0[s]=20[m]

  • 例題 1 - 3

〔1〕 問題文の「静かに落とした」は「物体を(初速を与えずに)自由落下させる」という意味である。自由落下の時、初速度 0 m/s で加速度 9.8 m/s2 の等加速度運動である。

 (1) 等加速度運動の公式を用いると、

19.6[m]=(0[m/s])t+12×(9.8[m/s2])×t2 と置けるので、これを満たす tは、t=2.0[s]

 (2) (1)で落下時間が求められたので、速度と時刻の公式より、

v=(9.8[m/s2])×(2.0[s])=19.6[m/s]20[m/s]

〔1〕 鉛直投げ上げの運動である。鉛直下向きを正としているので、初速度は −19.6 m/sである。なお、(1)と(3)は〔1〕の(1)、(2)と同じ問題である。

 (1) 等加速度運動の公式を用いると、

19.6=(14.7)t+12×9.8×t2と置けるので、これを満たすtは、t=1,4t0より、t=4.0 s

 (2) 最高点に達するとき、小球の速さは0 m/sになる。よって、速度と変位の公式より、

0(14.7)2=2×9.8xなので、x=-11.025 m

言うまでもなく x の値が負になったのは、鉛直下向きを正としたからである。よって、求める高さは地面からなので、

11.025+19.6=30.62531 m

 (3) (1)で求めた答えより、

v=14.7+9.8×425 m/s

  • 例題 1 - 4

 水平右向き・鉛直上向きを正にとる。初速度v0は分解できるので、v0=9.82=(v0x,v0y)=(9.8,9.8)となる。

(1) ア:着地した点の変位は0であるから、

0=9.8t12×9.8×t2
t=0,2.0 s

  0 sは発射時の時刻なので、2.0 s

  イ:時刻tにおける速度vを分解すると、v=(vx,vy)=(9.8,9.89.8t)である。t=2.0 sのときの速度を代入して求めると、(9.8,-9.8)となる。したがって、三平方の定理より、

9.8214 m/s

  ウ:水平方向は等速直線運動なので、

9.8×2.0=19.620 m

(2) エ:鉛直方向の速度が0になるときが最高点なので、

09.82=2×9.8×y y=4.9 m

  オ:この問いには注意したい。最高点では鉛直方向の速度のみが0 m/sであるからだ。よって、9.8 m/s

  カ:設問エと同様に、

0=9.89.8t t=1.0 s

  • 例題 1 - 5

初速度を v0=(v0cosθ,v0sinθ)、重力加速度を gとおく。まず、水平方向の変位xは時刻tを用いて、

x=v0cosθtt=xv0cosθ

ここで、水平方向の変位yは、

y=v0sinθt12gt2=v0sinθxv0cosθ12gx2(v0cosθ)2=g2(v0cosθ)2x2+tanθt

gv0θは一定であり、この式は二次関数を示している。よって、斜方投射の軌道は放物線を描く。


  • 問題 1
指針

まず、正の方向を決める。

(1) 初速度 v0 を水平方向・鉛直方向に分解する。

(2) A の速度vAと B の速度 vB を用いて、相対速度を各座標で表しピタゴラスの定理を用いる。

(3) 位置を A, B それぞれ出して方程式を立てる。

(4) (3)の答えを用いる。

(5) 小球同士が衝突する時刻 t のとき、B は地面からの高さが 0 以上でなければならない。

まず、水平方向右向き・鉛直方向上向きを正にとる。

(1) 水平方向・鉛直方向に、v0=(v0cosθ,v0sinθ) と分解できる。

 次にAは斜方投射、B は自由落下であることから変位は次のようになる。

 A:(x,y)=(v0cosθt,v0sinθt12gt2)

 B:(x,y)=(0,12gt2)

(2) A の速度を vA、Bの速度を vB とする。二方向に分解して考えると、

{vA=(v0cosθ,v0sinθgt)vB=(0,gt)

となるから、B に対する A の相対速度 vr は、

vr=vAvB=(v0cosθ,v0sinθgt)(0,gt)=v0(cosθ,sinθ)

またその大きさは

|vr|=(v0cosθ)2+(v0sinθ)2=v0

(3) 時刻 t のときの位置は、

 A:(x,y)=(v0cosθt,v0sinθt12gt2)

 B:(x,y)=(l,h12gt2)

ここで注意。位置と変位は異なる。この場合の位置の意味は「x座標、y座標」のことであり、変位は「x座標の変化量、y座標の変化量」のことである。

これがx座標、y座標とも一致すれば良いので、

{v0cosθt=lv0sinθt12gt2=h12gt2v0sinθt=h

2式より変形して、

t=lv0cosθ,hv0sinθ

(4) (3)の答えを用いて2つの解は同値であることから、

(v0sinθ)l=(v0cosθ)h
sinθcosθ=tanθ=hl

またこれより、

「AをBに衝突させるためにはAをBへめがけて投げる必要がある」ことがわかる。

(5) 時刻tになる前にBが地面に到達してしまえばAはBの上を通ることになり、AとBは衝突しない。(3)の解の1つである t=lv0cosθ 及びBのy座標の位置を用いて、

h12gt2=h12g(lv0cosθ)2

これが0以上になれば良いから、変形して求めると、

h12g(lv0cosθ)2

  • 例題2-1
糸で繋がれた2物体。

(1) まず、問題を解くために必要な力(すなわち、運動方向にはたらく力である)を図示すると左図のようになる。質量mMの物体についてそれぞれ運動方程式を立てると、物体は繋がっていることにより加速度は2つとも等しいので、

{ma=TMa=FT

各辺を足して邪魔なTを消去して整理すると、

a=Fm+M

(2) ma=Tに(1)の答えを代入すると、

T=Fm+Mm

  • 例題2-2
糸で繋がれた2物体。

(1) 物体には地球からの重力及び斜面からの垂直抗力、糸からの張力が働いている。

(2) 斜面方向に対して水平・鉛直に力を分解する。

 {mg=(mgsin30,mgcos30)=(12mg,32mg)N=(0,N)T=(Tcos30,Tsin30)=(32T,12T)

これらが釣り合えば良いので釣り合いの式を立てると、

 {12mg=32T(1)32mg=N+12T(2)

2式より、T=mg3N=mg3

(3) 糸を静かに切ると張力はなくなり釣り合いも成り立たなくなるので、斜面水平方向の運動方程式より加速度の大きさをaとすると、

ma=12mga=12g

したがって、初速度0、下向きに加速度a=12gの等加速度直線運動になる。また、下につくまでの物体の距離は図形の相似性を考えると2hとなるので、

2h=0+12(12g)t2
t=22hg

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  • 例題2-3

 この手の問題を考えるときには、「1本のばねがいくらだけ伸びればよいか」を考えれば良い。

(1) [誤答] 1本のばねなので、単純に10×20=200 N

[誤答である理由] ばね定数の単位は〔N/m〕である。これの意味するところは、「1本のばねを1 m伸ばすためには(ばね定数) Nだけの力が必要」ということである。つまり、20 cm伸ばすということは0.2 mだけ伸ばせば良い。常に単位に注意せよ。

[正答] 10×0.2=2.0 N

(2) 全体で20 cm伸ばすためには1本のばねは何cm伸びればよいだろうか。答えは10 cmである。したがって、

10×0.1=1.0 N

(3) [正答1] ばねを1つだと見なすと、バネ定数は10+10=20 N/mとなる。したがって全体で20 cm伸ばせば良いので、

20×0.2=4.0 N

[正答2] 

並列ばねの弾性力の図示。

弾性力を図示してみると(左図)、引っ張る力は2kxだけ必要である。

したがって、2×10×0.2=4.0 N

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  • 例題2-4

(1) まず、物体の質量を考えると、ρ1l3〔kg〕となる(単位に注目)。水に少しも沈むことなく浮いているということは、物体の重力と浮力が釣り合っていることに他ならない。

したがって、

F0=ρ1l3g

(2) 水の中に入った立方体の体積V〔m3〕は、

V=l2h〔m3〕であるため、
F1=ρ0l2hg

(3) 水に全部沈んでいるということは、物体の重力と押す力が浮力に勝っているということである。すなわち全て沈んだ時の浮力F2とすると、

F2=ρ0l3g

となる。したがって、

F+ρ1l3g=ρ0l3g
F=(ρ0ρ1)l3g

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  • 例題2-5

(1) 「等速になった」などという記述を見たらまず力の釣り合いを考えること。これは大抵の標準問題に対して有効な思考である。さて力を図示すると左図のようになる。

抵抗力と重力の図示。

よって力の釣り合いより、

mgsinθ=kv

となるので、

v=mgsinθk

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(2) ではv-tグラフを考えてみよう。運動方程式より、斜面下向きを正とし終端速度でない時の速度をvとすると、

ma=mgsinθkv
a=gsinθkmv

さて、この加速度の式から、キックボードがだんだん速くなるにつれて加速度が落ちているのが見えるだろうか。そして当然、その加速度の大きさの符号が負になることはありえない。ということは、速度vの増加率は時間とともに減っていくはずである。したがって、グラフの下のようになる。

v-tグラフ。
v-tグラフ。

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  • 例題2-6

 次のことを覚えていてほしい。「慣性力は実際の力とみなして計算する」。考え方がとてもシンプルになるからだ(後述の"等速円運動"でこの考え方はとても役に立つ)。

重力はいつでも60×10=600 Nだけの大きさを持つ。また、体重計が示すのは垂直抗力の大きさを重力加速度で割った値である。静止している場合は、作用反作用の法則より、物体が体重計を押す力の大きさと体重計が押し返す垂直抗力の大きさが等しいことは理解されるだろう。エレベーターが加速度運動しているならば力の釣り合いを考えよう。以下、垂直抗力の大きさをNとする。

(1) 下向きにエレベーターが加速するならば上向きに慣性力がかかる。その大きさは、60×5.0=300 Nである。したがって、力の釣り合いより、

N+300=600 N=300 N

これを重力加速度で割れば良いから、

30 kg

(2) (1)とは逆のシチュエーションである。同様に慣性力の大きさは60×4.0=240 Nである。したがって、力の釣り合いより、

N=600+240 N=840 N

したがって、

84 kg

(3) 慣性力の大きさをMとする。無重量状態になるためには体重計の示す値が0になればよい、つまりN=0となればよいので、

0+M=600 M=600=60×a N

したがって、

a=10 m/s2

  • 問題2
指針

(1) A,B,C3つの地面に対する加速度の大きさを符号に注意しながら求める。また、糸は2本あることに注意する。

(2) (1)を用いる。

(3) 運動しないためには加速度がなければ良い。