初等整数論/多項式と数列

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与えられた多項式 f(x) に対し、多項式の値 (f(0),)f(1),f(2), は数列をなす。 たとえば等差数列は1次式によってあらわされる数列といえる。また、与えられた整数 m について m角数 を順に並べた数列は、

an=(m2)n2(m4)n2

と多項式によりあらわされる。

数列の総和

多項式で表される数列の総和について、次の基本的な定理が成り立つ。

定理 an=P(n)d 次多項式によって表される数列であるとき、総和 Sn=P(1)++P(n)d+1 次の多項式によってあらわされる。

証明
P(x)=adxd++a1x+a0 とおく。 P(x) の次数 d に関する帰納法で証明する。

P(x)=c が0次多項式、つまり定数である場合 P(1)+P(2)++P(n)=cn は一次式であらわされる。

k より低い次数について証明されたとして、k次の多項式 P(x) について証明する。二項定理より

xk+1(x1)k+1=xk+1i=0k+1(1)i(k+1i)xk+1

となるが、この係数を書き出すと

xk+1(xk+1(k+1)xk+k(k+1)2xk1+)=(k+1)xkk(k+1)2xk1+

となり、これは最高次の係数が k+1k 次多項式であるから

Q(x)=akxk+1k+1ak(x1)k+1k+1

は最高次の係数が ak+1k 次多項式である。 したがって R(x)=P(x)Q(x) は高々 k1 次の多項式である。よって U(n)=R(n)+R(n1)++R(1) は高々 k 次の多項式であらわされる。 ここで

Q(n)+Q(n1)++Q(1)=akk+1m=1n(mk+1(m1)k+1)=amnk+1k+1

より

P(n)+P(n1)++P(1)=aknk+1k+1+U(n)

k+1 次の多項式で表される。

となる。


P(x)=x2 の和、つまり 12+22++n2 を求める。

n3(n1)33=3n23n+13=n2n+13

より

k=1nk2=n33+k=1n(k13)=n33+n(n+1)2n3=2n3+3n2+n6=n(n+1)(2n+1)6

が成り立つ。

また、特殊な例として、二項係数 (nm)m を一つに決めれば、n(m) の多項式で表される数列となる。ここで

fm(x)=(x+1)(x+2)(x+m)m!

とおくと、 各 fm(x)m 次多項式で、 n=0,1, に対し、その値は

fm(n)=(n+1)(n+1)(n+2)(n+m)m!=(n+mm)

に一致する。上の関係から

fm+1(n)=(n+m+1m+1)=k=0n(m+km)=k=0nfm(k)

が成り立つ。

図形数

m角数 について以前触れたが、より一般に高次元の図形と関係づけられる整数列が存在する。

最も単純な例として、立方体状に並べられた点の個数は

an=n3

で表される。立方体に関連付けられることから 立方数 という。

次に、正四面体状に並べられた点の個数はどうなるか。そこで次のように正四面体状に球を積んでいくことを考える。まず最上段に1個、それを囲む形で、その次の段に3個の球を三角形状に配置し、それを囲む形で、その次の段には 1+2+3=6個の球を三角形状に配置していく。

同じようにして k 段目には k(k+1)2 個の球を三角形状に配置すると、右図のような形となる。このようにして n 段積んだときの球の個数は、先程示した二項係数の関係式から、

k=1nk(k+1)2=k=1n(k+12)=(n+23)=n(n+1)(n+2)6

となる。そこでこの形の数を四面体数あるいは三角錐数という。三角錐数は小さい方から 1, 4, 10, 20, 35, 56, ... となる。

次に、四角錐(ピラミッド)状に並べられた点の個数を考える。

4段の四角錐数は 12+22+32+42=30

今度は右図のように最上段に1個、その次の段に22=4個、その次の段に32=9個、と何段かの正四角錐の形に積んだときの、球の総数を数えることになるが、n 段積んだ時の球の個数は 12+22+32++n2 個に一致するから、先程示したように

k=1nk2=n(n+1)(2n+1)6

に一致する。そこでこの形の数を四角錐数という。四角錐数は小さい方から 1, 5, 14, 30, 55, 91, ... となる。

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