初等数学記号集

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ここでは、小・中・高校までに扱われる数学の記号、また、高校では扱われないことが多いが高校程度の知識でも理解できる記号も紹介する。

関数

記号 意味 説明
f(x),g(x) 一変数関数の陽関数表示
F(x,y),f(x,y) 一変数関数の陰関数表示/ニ変数関数
|| 絶対値 |x|=x2
! 階乗 n!=n(n1)(n2)321
!! 二重階乗 n!!={n(n2)(n4)31nが 奇 数 の と きn(n2)(n4)42nが 偶 数 の と き
, 冪根 xnxn 乗根を表す。n が 2 であるときには x と書かれる。
sin サイン 高等学校数学II/三角関数参照
cos コサイン 高等学校数学II/三角関数参照
tan タンジェント 高等学校数学II/三角関数参照
sec セカント secθ=1cosθ
csc コセカント cscθ=1sinθ
cot コタンジェント cotθ=1tanθ
versin バーサイン versinθ=1cosθ
cvs コバーサイン cvsθ=1sinθ
vercos バーコサイン vercosθ=1+cosθ
cvc コバーコサイン cvcθ=1+sinθ
hav ハバーサイン havθ=12versinθ
hac ハコバーサイン hacθ=12cvsθ
havercos ハバーコサイン havercosθ=12vercosθ
hacovercos ハコバーコサイン hacovercosθ=12covercosθ
exsec エクスセカント exsecθ=secθ1
excsc エクスコセカント excscθ=cscθ1
crd コード 中心角に対する弦の長さ。crdθ=sin2θ+versin2θ=2sinθ2
arc アーク 中心角に対する弧長。弧度法では常にarcθ=θが成り立つ。
arcsin アークサイン y=arcsinxx=siny
arccos アークコサイン y=arccosxx=cosy
arctan アークタンジェント y=arctanxx=tany
arcsec アークセカント y=arcsecxx=secy
arccsc アークコセカント y=arccscxx=cscy
arcsin アークコタンジェント y=arccotxx=coty
sinh ハイパボリックサイン、シンシュ、シャイン sinhx=exex2
cosh ハイパボリックコサイン、コッシュ coshx=ex+ex2
tanh ハイパボリックタンジェント、タンチ tanhx=sinhxcoshx
sech ハイパボリックセカント sechθ=1coshx
sech ハイパボリックコセカント cschθ=1sinhx
sech ハイパボリックコタンジェント cothθ=1tanhx
arsinh アーシャイン y=arsinhxx=sinhy
arsinh アーコッシュ y=arcoshxx=coshy
arsinh アータンチ y=artanhxx=tanhy
exp 指数関数 expx=ex 高等学校数学II/指数関数・対数関数参照
log 対数関数
ln 対数関数 lnx=logex 高等学校数学II/指数関数・対数関数参照
[] ガウス記号 [x]はxを超えない最大の整数を表す。
,[] 床関数 xx 以下の最大の整数を表す。
天井関数 xx 以上の最小の整数を表す。
関数の合成 (fg)(x)=f(g(x))
1 逆関数 y=f(x)x=f1(y)

代数学

記号 意味 説明
= 等しい
等しくない
,, ほぼ等しい xyxy がほぼ等しいことを表す。日本では が使われることが多いが、 の方がよく使われる。化学ではもっぱらが使われる。
>,< 不等号 x>yy より x の方が大きいことを意味する。
,,, 等号付きの不等号 xyy より x の方が大きいか等しいことを意味する。高校までは下線が2本のものが広く使われる。
× 乗法 x×yxy の積を表す。xyxy とも表される。ベクトルの場合、は内積、×は外積である。
÷ 除法 x÷y=xy である。
±, プラスマイナス x±yx+yxy をまとめて表したり、また、(x±y)2=x2+y2±2xy のように、符号を変えても同じ形の式になる場合に2式をまとめて表すのに使用する。
総和
k=mnak=am+am+1++an1+an

で定義される。

命題 P(k) を満たすすべての k についての和を取ることを

P(k)ak

と書く。

総乗
k=1nak=a1×a2××an
nPr 順列 nPr=n!(nr)!
nΠr 重複順列 nΠr=nr
(nk),nCk, 二項係数、組合わせ (nk)=n!(nk!)k!
nHr 重複組合せ nHr=n+r1Cr
ベクトル xはベクトルxを表す。ベクトルが有向線分を指さない場合、𝐱と書く方が一般的である。
ノルム ||x||x のノルムである。
Re, 複素数の実部 複素数 z に対し、Rez はその実部を、Imz はその虚部を表す。ちなみに、, はフラクトゥールである。
Im, 複素数の虚部
共役複素数 複素数 z に対し、z¯ はその共役複素数を表す。
zn,ζn 1のn乗根 ζnk=cos2kπn+isin2kπn(ただしk()についてk[0,n1])。複素数平面では単位円上に点1+0iを一つの頂点とする正n角形を描く。
deg 次数 多項式 f に対して、degf でその次数を表す。
det 行列式 detAは正方行列Aの行列式を表す。|A|とも書く。
tr trAは正方行列Aの跡を表す。
rank 階数 rankAは正方行列Aの階数を表す。
t 転置 tAは行列Aの転置行列を表す。
Diag(,,) 対角行列 Diag(x,y,)は対角成分がx,y,である対角行列を表す。

定数

記号 意味 説明
π 円周率 円周の直径に対する比。
τ 円周率 円周の半径に対する比。
e ネイピア数(自然対数の底) e=limx(1+1x)x
i 虚数単位 i2=1 となる数の一つ。
γ オイラーの定数 γ=limn(k=1n1klnn)=1(1x1x)dx

解析学

記号 意味 説明
{n} 数列 {xn}は第n項がxnである数列を表す。
Δ 微小、変化量 Δxは微小なxあるいはxの変化量を表す。

物理学では変化量の意味で使われることが多い。

非常に小さい abab と比べて非常に小さいことを意味する。
lim 極限 高等学校数学III/極限参照
導関数, 微分 高等学校数学II/微分・積分の考え参照

(n) は n 階微分を表す。

˙,¨ は主に物理学で時間微分を表す。

(n)
˙,¨
ddx
積分 高等学校数学II/微分・積分の考え参照

集合

記号 意味 説明
{ : }, {  }, { ; } 集合の内包的記法 {x|P(x)} で命題 P(x) を満たす x の全体の集合を示す。
,  集合に対する元の帰属関係 xS は、x が集合 S の元であることを意味する。xS は、 xS の元でないことを意味する。
= 集合の一致 S=T は集合 S と集合 T が等しいことを示す。
= の否定 ST は集合 S と集合 T が等しくないことを示す。
,,,⊄ 集合の包含 STST の部分集合であることを示す。STST の真部分集合であることを示す。
共通部分 ST は集合 S と集合 T の共通部分を表す。またλΛSλは、集合族{Sλ}λΛ の共通部分を表す。
和集合 STは集合 S と集合 T の和集合を表す。また、λΛSλ で。集合族 {Sλ}λΛ の和集合を表す。
,  差集合 ST は、集合 S から集合 T の要素を除いた集合を表す。
c,¯ 補集合 Sc は集合 S の補集合を表す。c は テンプレート:En の略である。
𝒫(),2 冪集合 𝒫(S)S の部分集合の全体の集合である。
(,) 開区間 (a,b)a<x<b を満たす x 全体の集合を示す。
[,] 閉区間 [a,b]axb を満たす x 全体の集合を示す。
(,],[,) 半開区間 (,[ を組み合わせたものである。例えば、(a,b]a<xb を満たす x 全体の集合を示す。
max 最大値 maxA で集合 A に属する最大の値を示す。
min 最小値 minA で集合 A に属する最小の値を示す。
空集合
𝐍,  自然数の全体
𝐙,  整数の全体
𝐐,  有理数の全体
𝐑,  実数の全体
𝐂,  複素数の全体

整数論

記号 意味 説明
(mod) 合同 ab(modm)a,bが法mのもとで合同、つまりa,bm で割った余りが等しいことを示す。
gcd(,) 最大公約数 gcd は greatest common divisor の略である。
lcm(,) 最小公倍数 lcm は least common multiplier の略である。
| 割り切る x|yxy を割り切る、つまり xy の約数(yxの倍数)であることを表す。
| | の否定 x|y でない(y≢0(modx))ことを示す。

確率・統計

記号 意味 説明
¯,<> 平均 x¯{xn}の平均値。<x>は大学以上の物理で使う。
Q 四分位数 Q1は第一四分位数、Q2は中央値、Q3は第三四分位数。
P() 確率 P(E) は事象 E の起こる確率。
P() 条件付き確率 PA(B)は事象Aが起きたもとで事象Bの起こる条件付き確率。
E() 期待値 E(X) は確率変数 X の期待値。

確率分布に対して定義する場合は平均と呼ばれる。

V() 分散 V(X) は確率変数 X の分散。
σ() 標準偏差 σ(X)=V(X)
Cov(,) 共分散 Cov(X,Y) は確率変数 X,Y の共分散。
ρ 相関係数 ρ=Cov(X,Y)σ(X)σ(Y)
比例 yxyx が比例関係にあることを示す。つまり、yxy=ax となる a が存在する。
B(n,p) 二項分布 試行回数n、起こる確率pの反復試行における二項分布。
N(μ,σ2) 正規分布 平均 μ 分散 σ2 の正規分布。
分布に従う ZN(0,1)は、確率変数Zが標準正規分布N(0,1)に従うことを示す。

幾何学

記号 意味 説明
三角形 ABCで三角形ABCを表す。Δ(デルタ)で代用されることもある。
合同 ABCDEFABCDEF が合同であることを示す。合同な図形は平行移動や反転で一致させることができる。
∽, 相似 ABCDEFABCDEF が相似であることを意味する。日本の中学・高校では ∽ が使われることが多い。
(,,) 座標 座標を示すのに使われる。
ABCにおいてABCBB における角を表す。
垂直 ABCD で直線 AB と直線 CD が垂直であることを示す。
,// 平行 ABCD で直線 AB と直線 CD が並行であることを示す。日本では斜めに倒して使われることが多い。
ABAB を結ぶ弧を表す。
= 面積が等しい ABC=DEFABCDEF の面積が等しいことを示す
辺の長さ ABは辺ABの長さを表す。
arg 偏角 argzは複素数zの偏角を表す。ただし、左回転を正として角の向きを考える。
{u,v} 離散グラフの辺 {u,v}は離散グラフの2頂点u,vを結ぶ辺を表す。

命題

記号 意味 説明
論理包含、含意 PQ は、 P が真なら Q も真という命題を示す。
同値 PQPQ の真偽が一致することを意味する。
¬,¯ 否定 ¬P は「命題 P が偽」という命題を表す。高校ではP¯と書くことが多い。
なぜならば AB は 「B なので、 A が成り立つ」ということを示す。
ゆえに AB は 「A なので、B である」ということを示す。
論理積 PQ は「PQ がともに真」という命題を示す。
論理和 PQ は「命題 P と命題 Q のどちらかは真」という命題を示す。
全称 xS,P(x) は、集合 S の任意の元 x に対して命題 P(x) が成立することを示す。
存在 xS,P(x) は、命題 P(x) が成り立つ、集合 S の元 x が存在することを示す。
:=, : 定義 A:=BAB で定義することを明示的に表す。
{ 連立 {x=ay=bx=ay=b

条件を表すだけでなく、連立方程式や媒介変数表示などでも用いられる。