位相空間論/位相空間

位相空間の定義を述べる。

定義 1.1

集合 $X$ 及び $𝒪⫅𝒫(X)$ について、以下の3つの条件を満たすとき、$(X,𝒪)$ を位相空間と言う。

1. $\varnothing ,X\in 𝒪$
2. $\mathrm{\forall }U,V\in 𝒪(U\cap V\in 𝒪)$
3. $𝒪$ の任意の集合族 $\{U_{\lambda }{\}}_{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}$ について、$\bigcup _{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}{U}_{\lambda }\in 𝒪$

このときの $X,𝒪$ をそれぞれ台集合、位相ということがあり、位相が文脈から明らかなときは単に $X$ は位相空間である、とも言われる。

$𝒪$ の元を開集合という。また、位相を開集合系ということもある。

定義 1.2

$(X,𝒪)$ を位相空間として、開集合の補集合を閉集合という。この位相空間の閉集合を全て集めた集合を、開集合系に対して、閉集合系という。閉集合系を式で書くと、

$ℱ=\{U^c|U\in 𝒪\}.$

ド・モルガンの法則より、以下が成り立つ。

命題 1.3

$(X,𝒪)$ を位相空間とし、その閉集合系を $ℱ$ とする。このとき、閉集合系は以下の3つの条件を満たす。

1. $\varnothing ,X\in ℱ$
2. $\mathrm{\forall }U,V\in ℱ(U\cup V\in ℱ)$
3. $ℱ$ の任意の集合族 $\{F_{\lambda }{\}}_{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}$ について、$\bigcap _{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}{F}_{\lambda }\in ℱ$

証明

1 について

$\{\begin{array}{c}{\varnothing }^c=X\\ X^c=\varnothing \end{array}$ であるから、$\varnothing ,X\in ℱ.$

2 について

$U,V\in ℱ$ とすると、閉集合は開集合の補集合であるから、閉集合の補集合は開集合である。すなわち、$U^c,V^c\in 𝒪.$

定義 1.1 の 2 より、$U^c\cap V^c\in 𝒪$ 、ゆえに $U\cup V=(U^c\cap V^c{)}^c\in ℱ.$

3 について

$\{U_{\lambda }{\}}_{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}$ を $ℱ$ の集合族とする。先ほどと同様に、各 $F_{\lambda }^c$ は開集合。

定義 1.1 の 3 より、$\bigcup _{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}{F}_{\lambda }^c\in 𝒪.$ ゆえに $\bigcap _{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}{F}_{\lambda }=(\bigcup _{\lambda \in \mathrm{\Lambda }}{F}_{\lambda }^c{)}^c\in ℱ.$