一般相対性理論

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リーマン幾何学

ここでは、ミンコフスキー空間の計量を ημν=diag(1,1,1,1) とする。

g を計量テンソルの行列式とする。計量テンソルの (μ,ν) 小行列式を g~μν とすると、

ggμν=g~μν=ggμν

となるから、

dg=ggμνdgμν

を得る。

dg=12gdg=12gggμνdgμν

は、

gxλ=12ggμνxλ

となるから、

Γλμμ=12gμνgμνxλ=1ggxλ

を得る。

また、ベクトル Aμ に対して、

Aμ;μ=Aμ,μ+ΓλμμAλ=Aμ,μ+1ggxλAλ=1g(gAλ)xλ

となる。

ついでに、ラプラシアンの極座標における表式を求めてみよう。

f;μ;μ=(gμνfxν);μ=1gμ(ggμνfxν)

極座標では、 gμν=diag(1,r2,r2sin2θ) であるから、その逆行列は gμν=diag(1,1r2,1r2sin2θ) となる。また、g=r2sinθ [1]である。これらを代入することで、ラプラシアンが簡単に計算できる:

f=f;μ;μ=1r2r(r2fr)+1r2sinθθ(sinθfθ)+1r2sin2θ2fφ2.

弱い重力場の計量テンソル

速度 vc で、重力ポテンシャル ϕ の場の中にある質量 m の粒子の作用は

S=(mc2+12mv2mϕ)dt

で与えられる。一方、

S=mcds

であるから、

ds=(cv22c+ϕc)dt

を得る。両辺を二乗して、vc となるから、

ds2=(c2+2ϕv2)dt2=(c2+2ϕ)dt2d𝒓2

ここで、v2dt2=d𝒓2 を使った。また、計量テンソルは

ds2=c2g00dt2+g11dx2+

で定義されるものだから、

gμν=diag(1+2ϕc2,1,1,1)

を得る。

アインシュタイン方程式

電磁場との類推から、重力場のラグランジアンは、計量テンソルの一回微分 gμν,λ に関する二次の量 G であろう。しかし、 gμν,λ は任意の一点ですべて0とすることができる。このことは、局所慣性系で Γβγα をすべて0となることから明らかである。したがって、 G はスカラーではない。ところで、リッチスカラー R

Rg=Gg+μDμ

の形に変形することができ、作用は

Rgd4x=Ggd4x+μDμd4x

のようになる。第二項の積分はガウスの定理よって、四次元の面積分に変換され、境界で δgμν,λ=0 という条件を課せば変分で第二項は消えることになる。

重力場のラグランジアンは κ を定数として

g=12κR

で与えられることが分かる。物質場のラグランジアンを m とすれば、全系の作用は

S=1c(12κG+m)gd4x

となる。変分は、

δS=δ1c(12κG+m)gd4x=12κc((Gg)gμνxλ(Gg)gμν,λ)δgμνd4x+1c(mg)gμνδgμνd4x=1c(12κGμν+12Tμν)δgμνgd4x

である。ただし、Gμν,Tμν はそれぞれアインシュタインテンソルとエネルギー・運動量テンソルで、

Gμν=1g((Gg)gμνxλ(Gg)gμν,λ)

Tμν=2g(𝓂g)gμν

で定義される。

δS=0 という条件から、アインシュタイン方程式

Gμν=κTμν

を得る。

しかし、まだアインシュタインテンソルの具体的な表式を得ていない。これを G から計算することは大変だから、直接変分することによって求める。

δgμνRμνgd4x=(δgμν(Rμν12gμνR)+gμνδRμν)gd4x

ここで、ある一点で Γβγα=0 となる局所慣性系を使うと、リッチテンソルは

Rμν=Γμν,λλΓμλ,νλ

となり、その変分は、

δRμν=δΓμν,λλδΓμλ,νλ

で与えられる。

また、 δΓβγα はテンソルだから、任意の座標系で

δRμν=δΓμν;λλδΓμλ;νλ

となることがわかる。

よって、

ggμνδRμν=g(gμνδΓμνλ);λg(gμνδΓμλλ);ν=g(gμνδΓμνλ);λg(gμλδΓμνν);λ=λ(ggμνδΓμνλggμλδΓμνν)

となるから、これは積分して0となる。

最終的に、

δRgd4x=δGgd4x=Gμνδgμνgd4x=(Rμν12gμνR)δgμνgd4x

となるから、アインシュタインテンソルは、

Gμν=Rμν12gμνR

である。

したがって、アインシュタイン方程式は、

Rμν12gμνR=κTμν

となる。添字を上げて、

Rνμ12δνμR=κTνμ

縮約を取ると、

R=κT

となる。よって、アインシュタイン方程式は、T=Tμμ と置いて、

Rμν=κ(Tμν12gμνT)

とも変形することが出来る。

エネルギー運動量テンソルの表式を求める。電磁場のラグランジアン

m=14μ0FμνFμν

について、公式

ggμν=12gggμν

を使ってテンソルの微分を実行すれば

Tμν=2g(𝓂g)gμν=2mgμνgμνm

となる。ここで、

m=14μ0gμαgνβFαβFμν=14μ0gμνgαβFνβFμα

となるから、

mgμν=14μ0×2gαβFμαFνβ=12μ0FμαFνα

となる。すなわち、

Tμν=1μ0(FμαFνα+14FαβFαβgμν)

を得る。これは、ミンコフスキー空間では、特殊相対性理論での電磁場のエネルギー運動量テンソルに一致する。

最後に、アインシュタイン定数 κ の値を求める。アインシュタイン方程式が、弱い重力場

gμν=diag(1+2ϕc2,1,1,1)

の極限で、さらに、静的な場合に、ニュートンの重力理論

ϕ=4πGρ

に一致することを示し、定数を決定する。

エネルギー・運動量テンソルは、

Tμν=(ρc2000000000000000)

T=g00ρc2

となる。アインシュタイン方程式の00成分は

R00=κc22ρ

となる。クリストッフェル記号は

Γμνα=12gαβ(νgμβ+μgνββgμν)12ηαβ(νgμβ+μgνββgμν)

と近似することができる。

また、リッチテンソルの ΓΓ の項は、二次の微小量となるから無視すると、

RμναΓμνανΓμαα

と近似できる。

さらに、静的な場合だから、 t に関する微分が0となることに注意すると、

R00=αΓ00α0Γ0ααiΓ00i=12i(0g0i+0g0iig00)12iig00ϕc2

となる。従って、

ϕ=κc42ρ

となる。この係数は 4πG であるから、

κ=8πGc4

を得る。最終的に、アインシュタイン方程式は、

Rμν12gμνR=8πGc4Tμν

となる。

シュヴァルツシルト解

重力波

重力の効果が弱いとき、hμν を十分微小な量として、

gμν=ημν+hμν

と書くことができる。アインシュタイン方程式

Rμν=κ(Tμν12gμνT)

は真空中では、

Rμν=0

となる。クリストッフェル記号は、

Γμνα=12gαβ(νgμβ+μgνββgμν)12ηαβ(νhμβ+μhνββhμν)

となる。リッチテンソルは hμν に対する二次の項を無視すれば、

RμναΓμνανΓμαα=12(ηαβhμν,αβ+hαν,αμ+hαμ,ανh,μν)

となる。h=hαα である。ここで、ξμ を微小量として、座標変換 x'μ=xμ+ξμ をすることによって、ゲージ条件

hαβ,α=12δβαh,α

を課す事が出来る。ゲージ条件により、最後の三項は打ち消し合い、

Rμν=12ηαβhμν,αβ=12hμν

となるから、アインシュタイン方程式は、

hμν=0

と変形できる。これは波動方程式である。

参考文献

  • エリ・デ・ランダウ、イェ・エム・リフシッツ著、恒藤敏彦、広重徹訳『場の古典論(原著第6版)』東京図書(1978)
  • 中嶋慧、松尾衛『一般ゲージ理論と共変解析力学』現代数学社(2020)
  1. g は根号の中身を正とするために導入したものである。今回の場合は、 g は正だから g としていい。