制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/Laplace 変換/指数位の関数
さて一般に, が存在するための十分条件は,導入章にも言及しておいたように, が次の関係を満たすことである.すなわち が十分大きいところで, テンプレート:制御と振動の数学/equation となることである.このとき を指数 位の関数ということは前にも述べた. を特に意識する必要のないときは, を省略して呼ぶことにする.
例93
が指数位の関数であるとき, も も指数位の関数であることを示せ.
解答例
と は実数を定義域とした実数値関数とすると,
この式が成立するためには と の両方が有限の値に収束しなければならない.
すなわち, と の両方が指数位である必要がある.
が指数位 の関数であるとき, に対して,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
が存在することは明らかである.事実,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
で, のとき,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
であるから,複素数値関数の基本的性質Ⅴから の存在が保証されるのである.
例94
は任意の に対して指数位の関数である.
事実, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから, のとき[1], テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation したがって の Laplace 変換が存在する. テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから, ならば, のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation これを逐次繰り返すことによって, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.
補題 4.2 が指数位の関数ならば もそうである.
証明
複素数値積分の基本的性質Ⅳと式 (4.10) により, のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation ここに, である.