線型代数学/内積

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内積

実ベクトル𝐚=(a1a2an),𝐛=(b1b2bn)に対し、内積(𝐚,𝐛)=i=1naibiと定義する。 (記号が変わっただけで、高校で習った内積𝐚𝐛と同じである。)
内積については、以下の性質が成り立つ。

  1. (𝐚,𝐛)=(𝐛,𝐚)
  2. (𝐚+𝐛,𝐜)=(𝐚,𝐜)+(𝐛,𝐜),(𝐚,𝐛+𝐜)=(𝐚,𝐛)+(𝐚,𝐜)
  3. (c𝐚,𝐛)=c(𝐚,𝐛)=(𝐚,c𝐛)
  4. (𝐚,𝐚)0
ただし、𝐚,𝐛,𝐜を実ベクトル、cを実数とする。

証明

  1. (𝐚,𝐛)=i=1naibi=i=1nbiai=(𝐛,𝐚)
  2. (𝐚+𝐛,𝐜)=i=1n(ai+bi)ci=i=1n(aici+bici)=i=1naici+i=1nbici=(𝐚,𝐛)+(𝐚,𝐜)
  3. (c𝐚,𝐛)=i=1ncaibi=ci=1naibi=c(𝐚,𝐛)
    i=1ncaibi=i=1nai(cbi)=(𝐚,c𝐛)
  4. (𝐚,𝐚)=i=1naiai=i=1nai2
    aiは実数なので、ai20よって(𝐚,𝐚)0
    等号成立は、a1=a2==an=0つまり𝐚=𝟎のとき

ノルム

𝐚=(𝐚,𝐚)𝐚ノルムという。

ノルムについては以下の性質が成り立つ。

  1. 𝐚0
  2. c𝐚=|c|𝐚
  3. |(𝐚,𝐛)|𝐚𝐛(シュワルツの不等式)
  4. 𝐚+𝐛𝐚+𝐛(三角不等式)
    ただし𝐚,𝐛を実ベクトル、cを実数とする。

証明

  1. (𝐚,𝐚)0なので𝐚0
    等号成立は(𝐚,𝐚)=0つまり、𝐚=𝟎のとき
  2. c𝐚=(c𝐚,c𝐚)=c(𝐚,c𝐚)=c2(𝐚,𝐚)=c(𝐚,𝐚)=c𝐚
  3. (t𝐚+𝐛,t𝐚+𝐛)について考える。内積の性質を使うと、(t𝐚+𝐛,t𝐚+𝐛)=(t𝐚,t𝐚+𝐛)+(𝐛,t𝐚+𝐛)=t2(𝐚,𝐚)+t(𝐚,𝐛)+t(𝐛,𝐚)+(𝐛,𝐛)=𝐚2t2+2(𝐚,𝐛)t+𝐛2
    (t𝐚+𝐛,t𝐚+𝐛)0であるので、𝐚2t2+2(𝐚,𝐛)t+𝐛20である。
    tを変数、𝐚,𝐛を定数とし、2次方程式を考える。この二次方程式は常に0以上で下に凸であるので、2次方程式の判別式は0以下である。
    なので、判別式D=4(𝐚,𝐛)24𝐚2𝐛20整理すれば、(𝐚,𝐛)2𝐚2𝐛2
    よって|(𝐚,𝐛)|𝐚𝐛
  4. 𝐚+𝐛2=(𝐚+𝐛,𝐚+𝐛)=𝐚2+2(𝐚,𝐛)+𝐛2である。
    (𝐚,𝐛)|(𝐚,𝐛)|であることと、3.より(𝐚,𝐛)|(𝐚,𝐛)|𝐚𝐛なので、
    𝐚+𝐛2=𝐚2+2(𝐚,𝐛)+𝐛2|𝐚2+2𝐚𝐛+𝐛2=(𝐚+𝐛)2
    よって𝐚+𝐛𝐚+𝐛