制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形定常性

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テンプレート:制御と振動の数学/equationai が定数であるため,系の特性は時が経過しても不変である.したがってその解も時間軸を移動させても変わらないことが当然予想される. このことを用いて t00 で初期値が与えられている時の解法を見出すことができる.

定常性の原理 Ⅰ

φ(t)p(D)x=0 の解ならば,φ(t+α) も同じく解となる.ここに α は定数である.


証明

テンプレート:制御と振動の数学/equation において tt+α に置き換えると, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.ここで, テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立するので所要の結果が得られる.事実 k=1 の場合は,τ:=t+α[1] とおくと, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.k2 の場合も同様である[2]

つまり微分演算子が不変,すなわち Dt=Dt+α であるので,一般に ai が定数であるから pt+α(D)=pt(D) が成立するということである.ここで添え字で微分する変数を示した.


例68

x(t)=cosβtテンプレート:制御と振動の数学/equationx(0)=1,x(0)=0 の解である.定常性の原理 Ⅰによって, テンプレート:制御と振動の数学/equation も上の微分方程式の解である[3].しかも テンプレート:制御と振動の数学/equation を満足する.


また非同次式の場合は, テンプレート:制御と振動の数学/equation において,tt+α とおくと, テンプレート:制御と振動の数学/equation 前と同様の議論により, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.よって,


定常性の原理 Ⅱ

x(t)p(D)x=f(t) の解とすると,x(t+α) は, テンプレート:制御と振動の数学/equation の解となる[4]


  1. dτ=dt
  2. d2φ(t+α)dt2=ddtdφ(t+α)dt=ddτdφ(τ)dτ(dτ=dt)
    =d2φ(t+α)d(t+α)2
  3. cos(tt0)=costcost0+sintsint0…①
    すなわち Acost+Bsint の形であり,①は与微分方程式の一般解に含まれる.
    また,微分方程式 (D+α)x=0…② について特殊解 x=et が得られたとき,
    e(t+t0)=et0et よりこれも②の一般解 x=Cet に含まれる.
  4. p(D)x=f(x) で考える t軸 および値域軸からなる平面を t 軸方向に α 平行移動したものとして捉える.
    p(D)x=f(x+α) の右辺は平行移動の量 α が変われば解 x も変わる.