制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/二階線形微分方程式の解法
§1
このあたりで,2階の線形微分方程式の解き方をまとめておこう.
テンプレート:制御と振動の数学/equation ここに, は実定数とする.
この式を Laplace 変換すると, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.これを について解くと, テンプレート:制御と振動の数学/equation ここに, テンプレート:制御と振動の数学/equation いま, テンプレート:制御と振動の数学/equation とすれば,式(2.24) の解は, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.したがってあとは,2次の分数式 テンプレート:制御と振動の数学/equation の原像[1]を求めることだけが残っている.そこで分母の多項式を, テンプレート:制御と振動の数学/equation とおき,次の三つの場合に分けて考える.
(i) が異なる 2 実根 を持つとき,
(ii) が重根 を持つとき,
(iii) が虚根 を持つとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.
初期値が定まれば は決まる[2].しかしこのまま未定のまま放置しておいても,与えられた微分方程式の解である.
例48
の原像は,同次微分方程式[3], テンプレート:制御と振動の数学/equation の解であることを,直接,式(2.25) に代入して確かめよ.
解答例
(i) 上記 が二実根を持つ場合.
の二根を とすると,解と係数の関係より
- .
よって対応する微分方程式は,
この解が であることを、この方程式に直接代入して確かめる.
- .
(i) 上記 が重根を持つ場合.
重根を とするとき, 対応する微分方程式は,
この解が であることを直接代入して確認する.
(i) 上記 が虚根を持つ場合.
二虚根を とするとき,これを根とする方程式は,
対応する微分方程式は
がこの方程式の解であることを実際に代入して確認する.
を未定のまま,放置しておいた解を一般解という. 一般解は, の分母,すなわち, テンプレート:制御と振動の数学/equation だけによって決まる.この式は式 (2.25) から直ちに書き下すことができる. これを,微分方程式 (2.25) の特性多項式という[4].
§2
非同次の方程式[5], テンプレート:制御と振動の数学/equation の解の一つ, テンプレート:制御と振動の数学/equation ここに, テンプレート:制御と振動の数学/equation [6]が,確かに式 (2.26) を満たすことを確認しておこう. その前に次の補題を準備する.
補題 2.2
テンプレート:制御と振動の数学/equation 証明 テンプレート:制御と振動の数学/equation とすると, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.この原像が求める公式である.というのは, テンプレート:制御と振動の数学/equation だから[7]である.
このように Laplace 変換を使えば簡単に証明できるが,これを使わない別証を与えておく. その理由は,「Laplace 変換によって求めた解が正しい解であること」を確認するという目的であるのに, そのために Laplace 変換を使うのはまずいからである.
別証 テンプレート:制御と振動の数学/equation に テンプレート:制御と振動の数学/equation を代入した式, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation において,右辺の第 1 項の積分順序を変更する. 合成積 の Laplace 変換を計算したときと同様に考えればよい.積分範囲は三角領域, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation すなわち テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.これを で微分すればよい.
さて,この合成積の微分をもう一度実行すると,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
となる.以下帰納的に,公式
テンプレート:制御と振動の数学/equation
を得る[8].ただし とする.もちろん は必要なだけ微分可能としている.
さて,これだけ準備しておいて,本題に入ろう. は
テンプレート:制御と振動の数学/equation
テンプレート:制御と振動の数学/equation
の解である[9]から,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
テンプレート:制御と振動の数学/equation
となる.よって,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
となって証明が完了する.
例49
例にならって テンプレート:制御と振動の数学/equation が テンプレート:制御と振動の数学/equation の解であることを証明してみよ.
解答例