初等整数論/べき剰余

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平方剰余

p を奇素数、ap で割り切れない数、x2a(modp) としたときに解を持つ、持たないにしたがって ap平方剰余平方非剰余 という。

a≢0 のとき a が平方剰余、非剰余にしたがって

(ap)=1,1 とする。また、便宜上 (kpp)=0 とする。これをルジャンドル記号と呼ぶ。

したがって (ap)a の属する剰余類にのみ依存する。そして (ap)=1 ならば kp+a の形の平方数は存在しない。

(23)=(34)=(35)=1,(45)=1 である。

補題 1 rp の原始根とする。定理 2.3.4 から x2a(modp) が解を持つのと Indra(2,p1)=2 で割り切れるというのは同値である。したがって

(ap)=(1)Indra.

定理 2.10

aa(modp) ならば (ap)=(ap)

証明
合同の推移性、または補題 1 によって明白。

定理 2.11

(abcp)=(ap)(bp)(cp)

証明
補題 1 より (abcp)=(1)Indrabc

定理 2.3.4 より 、これは

(1)Indra +Indr b +Indrc +(1)Indra (1)Indrb =(1)Indrc

に等しい。ここで再び補題 1 より、これは

=(ap)(bp)(cp)

に等しい。

定理 2.12 (オイラーの規準)

(ap)ap12(modp)

証明 1
定理 2.3.4 から x2a(modp) が解を持つ、つまり (ap)=1 のとき、

f=p1(2,p1),  af1(modp).

ここで、(2,p1)=2 より、ap121(modp)

したがって (ap)1(modp).

逆に (ap)=1 、つまり x2a(modp) が解を持たないとき、再び定理 2.3.4 から

ap12≢1(modp). このときフェルマーの小定理より

(ap12)2=ap11(modp).

よって ap121(ap)(modp).

以上より定理は証明される。

証明 2
定理 1.8 より、A={0,a,2a,,(p1)a} は剰余系をなすので、この中の任意の数 r について rsa(modp) となる sA がただ一つ存在する。これを r配偶と呼ぶことにする。

ここで (ap)=1 のとき rx2a(modp) の解とすれば、r の配偶はそれ自身である。また、

(pr)2=p22pr+r2r2(modp) より pr も方程式の解である。このとき r=pr とすると p=2r となり、奇素数であるという仮定に反する。したがって rpr.

合同方程式の基本定理から、上の方程式の解を満たすもの、すなわち配偶が自身であるものは r,pr の2つであり、他の p3 個の数は2個ずつ配偶があって、それらの積は

ap32(modp)

であるから、

(p1)!r(pr)ap32r2ap32aap32=ap12(modp).

以上より (ap)=1(p1)!ap12(modp)

次に (ap)=1 のときは上の r,pr のような数はないので配偶が p12 ペアできて

(p1)!ap12(modp)

a=1 は自明に前に属すので (p1)!1(modp)(すなわちウィルソンの定理)。したがって、

  • (ap)=1ap121(modp)
  • (ap)=1ap121(modp)

これがオイラーの規準である。

平方剰余の相互法則

p,q を相異なる奇素数としたときに

  1. (pq)(qp)=(1)p12q12
  2. (1p)=(1)p12
  3. (2p)=(1)p218

2, 3 をそれぞれ第一補充法則第二補充法則という。まずはそれぞれの意味を説明する。

1 は、p,q のどちらかが 4n+1 の形のとき (pq)=(qp) で、どちらとも 4n+3 の形のときに限り (pq)=(qp) である、という意味である。

2 は、x21(modp) に解がある p1(mod4)

3 は、p=8n+1,8n+7 のとき (pq)=1 で、p=8n+3,8n+5 のとき (pq)=1 である。つまり x22(modp) に解がある p1,7(mod8).

証明
2 から証明する。

オイラーの規準より、(1p)(1)p12(modp).

どちらも ±1 の値を取り、p は奇素数なので (1p)=(1)p12.

さて、3 であるが、これにはガウスの補題を用いる。

ガウスの補題

gcd(a,p)=1 のとき、A={a,2a,3a,,p12a} をそれぞれ p で割ったときの余りが p2 より大きい数が n 個あったとき、

(ap)=(1)n.

証明
ある数を p で割った余りが p2 よりも大きいならば、それから p を引くと p2 よりも大きい負の余りを得る。つまり、絶対最小剰余である。上の n というのは負の絶対最小剰余の個数である。

A の任意の2つの数 ax,ay (xy) について、

(a,p)=1, 1p2x±yp+12 であり、x±y0 より、A の中には絶対最小剰余として等しいもの、また絶対最小剰余として符号が逆なものも存在しない。すなわち全体として符号を無視すれば

{1,2,3,,p12} に合同で、そのうち負の数の個数が n である。したがって

a2a3ap12a(1)n123p12

だが、 1, 2, ..., p12 はいずれも p と互いに素なので

ap12(1)n

を得る。オイラーの規準によって

(ap)(1)n(modp).

どちらも ±1 に等しく、p は奇素数なので

(ap)=(1)n.

さて 3 の証明だが、

2,4,6,,p1

の中で p2 より多いものの個数が n である。


(i) p=8n+1 のとき

p2=4n+12, p1=8n なので、この間にある偶数の数は 8n4n2=2n であり、(2p)=(1)2n=1

また p218=8n2+2n より、(1)p218=1 で、

(2p)=(1)p218.


(ii) p=8n+3 のとき

p2=4n+32, p1=8n+2 なので、この間にある偶数の数は (8n+2)(4n+2)2+1=2n+1 であり、(2p)=(1)2n+1=1.

また p212=8n2+6n+1 より、(1)p218=1 で、

(2p)=(1)p218.


(iii) p=8n+5 のとき

p2=4n+52, p1=8n+4 なので、この間にある偶数の数は (8n+4)(4n+2)2=2n+1 であり、(2p)=(1)2n+1=1.

また p212=8n2+10n+3 より、(1)p218=1 で、

(2p)=(1)p218.


(iv) p=8n+7 のとき

p2=4n+72, p1=8n+6 なので、この間にある偶数の数は (8n+4)(4n+4)2=2n であり、(2p)=(1)2n=1.

また p212=8n2+14n+3 より、(1)p218=1 で、

(2p)=(1)p218.


以上により 3 が証明される。


最後に相互法則であるが、初等整数論/平方剰余の相互法則の証明に譲る。

例 1 (31103) を求めよ。

相互法則より

(31103)=(1)1551(10331)=(1031)=(231)(531)

となる。ここで、第二補充法則と相互法則を用いて

(231)=1,(531)=(315)=(15)=1

を得るから

(31103)=1

とわかる。

例 2 p が奇素数のとき

(5p)=(p5)={1(p1,4(mod5)),1(p2,3(mod5))

が成り立つ。

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