初等数学公式集/初等幾何/体積

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このページでは体積の公式の解説をします。

直方体の体積

V = abh

立方体の体積

V = a3

柱体の体積

V = Sh

錐体の体積

V=13Sh

錐体

錐体の頂点から底面S(右図ではAb)に垂線を下して、頂点からx(0xh)の距離で底面と平行に錐体を切り取ったことで得られる図形をAxとする。

この時、錐体の定義から、SAxは相似である。

相似な図形の面積比は、相似比の2乗に等しいことから、

S:Ax=h2:x2

従って、

Ax=x2Sh2

錐体の体積は、平面図形Axに関して、0xhの区間で変化させ累積したものであるから、Axを区間[0,h]で積分することにより得られる。

V=0hAxdx =0hx2Sh2dx =Sh20hx2dx =Sh2[x33]0h =Sh2(h33)=13Sh

錐台の体積

錐台

上底の面積 s(右図ではA2)、下底の面積 S(右図ではA1)、高さ h の錐台の体積 V

錐台は、別名「切頭錐体」のとおり、Sを底とする錐体:P1から、sを底とする相似な錐体:P2を除いたものとされる。

錐体:P1の高さを Hとすると、錐体:P2の高さは Hhとなり、各々の体積は、

V1=13SH, V2=13s(Hh) となるので、求める体積V=13(SHs(Hh))=13(H(Ss)+hs))(※)となる。

相似比と面積比の関係から、

S:s=H2:(Hh)2

従って、

S:s=H:(Hh)
Hs=(Hh)S
H(Ss)=hS
H=hSSs=hS(S+s)Ss=h(S+sS)Ss

これを、※に代入すると、以下の式を得る。

V=h3(s+sS+S)

くさび形の体積

くさび形
  • 下底が 縦のながさ a、横のながさ bの長方形、縦と平行である上辺のながさ c、高さ hくさび形の体積 V
    V=bh(a3+c6)

くさび形の上辺から底面に垂線を下して、頂点からx(0xh)の距離で底面と平行にくさび形を切り取ったことで得られる図形(長方形)をSxとする。

この長方形の縦横は比例の関係から以下のとおりとなる。

  • 縦:(ac)xh+c, 横:bxh
  • Sx=((ac)xh+c)(bxh)=(ac)bx2h2+bcxh

くさび形の体積は、平面図形Sxに関して、0xhの区間で変化させ累積したものであるから、Sxを区間[0,h]で積分することにより得られる。

V=0hSxdx =0h((ac)bx2h2+bcxh)dx =bh20h((ac)x2+chx)dx =bh2[(ac)x33+chx22]0h =bh2((ac)h33+ch32)=bh(a3+c6)

正多面体の体積

正四面体の体積

V=212a3

ファイル:正四面体の体積.png
まず底面から計算します。
正四面体の頂上の頂点は、底面を形成する3点から等しい位置にあるので、
そこから真下へ線を伸ばしたとき、その線と底面との交点は、3点から等しい位置、即ち中心(外心、内心、重心、垂心)に位置することになります。
さらに底面の図形は正三角形なので、それぞれの点から中心をとおり、対辺に繋がる線分を引くと、3線全てが、対辺を垂直に2等分します。
このとき、この線分の長さ(右図上の赤線の長さ)は、三平方の定理によって、
a2(12a)2=a214a2=34a2=32a
次に青線2本と緑線1本で形成される二等辺三角形に、緑線を対象の軸とした線対称な二等辺三角形を作図します。
この二等辺三角形は、底角が30゚(正三角形の角の2等分線であるため)なので、2つ繋げると60゚になります。
2辺が等しく、その間の角が60゚である二等辺三角形は正三角形なので、
右図上の黒線全体の長さは、青線の長さに等しく、二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺を垂直に2等分するため、
この黒線のうち正三角形の内側に入る黒線の長さは、青線の長さの半分、つまり、赤線の長さの13となります。
逆に青線の長さは赤線の長さの23なので、
32a×23=3×2/2/×3a=33a
続いて高さ。高さはこれまでに調べた長さと三平方の定理を利用すれば、
a2(33a)2=a213a2=23a2=a23
底面積、高さが出たので、
V=a×32a×12×a23×13=a×a3/×a22×2×3×3/=212a3

立方体から考える

ファイル:正四面体の体積2.png 正四面体の体積は、立方体との関係からも導出することができます。
立方体と頂点を共有した正四面体は、全ての辺が立方体の面の対角線になっています。
よって、立方体から余った体積を引けば、正四面体の体積を導き出すことができます。

正四面体の1辺の長さをaとします。
余った部分は全部で4つありますが、辺の長さは全てそれぞれ等しいので、これらは合同になります。

立方体の1辺の長さは、正方形の辺と対角線の長さの比「1:2」から、

a×12=22a

余った部分は三角錐とみなすことができるので、角錐の体積から、

13×12×22a×22a×22a
=16×(22a)3
=16×24a3
=224a3

最後に立方体から角錐4つを引きます。

(22a)34(224a3)
=24a326a3
=3212a32212a3
=212a3


正八面体の体積

V=23a3

ファイル:正八面体の体積.png
高さは底面の対角線の交点から求めることができます。

正八面体は、体積の等しい正四角錐が2つあると見ることができます。
それらの角錐の高さは、角錐の底面の対角線の交点から求めることができます。
底面に対し、頂上の頂点と底面の対角線の交点を結ぶ直線は垂直になるので、
高さは、角錐の母線と対角線から、三平方の定理で導出できます。

対角線の長さは、

a2+a2=a2

対角線は互いの中点で交わるので、

a22

高さは、母線と対角線の半分から、

a2(a22)2
=a2a22
=a22
=a22

実は、正八面体はどこで正四角錐2つに分離しても、高さは同一であるため、対角線の半分が既に高さになっています。
最後に、錐体の体積の公式から、

V=2×13×a2×a22
=13×2a3
=23a3

正十二面体の体積

V=15+754a3

正二十面体の体積

V=5(3+5)12a3

球・冠形・球台の体積

球の体積

V=43πr3

x2+y2+z2=r2である球を考える。
x=tでこの球を切断すると、半径r2t2である円;Cを得るが、この円;Cの面積はπ(r2t2)である。
球の体積は、この円;Cに関して、rtrの区間で変化させ累積したものであるから、π(r2t2)を区間[r,r]で積分することにより得られる。
V=rrπ(r2t2)dt = πrr(r2t2)dt = πrr(r2t2)dt = π[tr2t33]rr = π{(r3r33)(r3+r33)} = 43πr3

冠形の体積

球冠
  • 関係する諸数値を以下のものとする(右図参照)。
    • 球の半径 r
    • 球冠の底の半径 a
    • 球冠の高さ h
    • 球の中心から球冠の頂点(極)までの線と球冠の底を形作る円板の端との間の極角 θ
     
  1. rh が与えられている場合
    x2+y2+z2=r2である球を考える。
    x=tでこの球を切断して得た円;Crhtrの区間(または、rtrh)で変化させ累積したものが冠形の体積であるから、x=tにおける、円の面積π(r2t2)を区間[rh,r]で積分することにより得られる。
     
    V=rhrπ(r2t2)dt = πrhr(r2t2)dt=πrhr(r2t2)dt=π[tr2t33]rhr=π{(r3r33)((rh)r2(rh)33)}=π(2r33r3+hr2+r33hr2+h2rh33)=π(h2rh33)=πh23(3rh)(※1)
  2. ah が与えられている場合
    r2=a2+(rh)2から、r=a2+h22h
    ※1に代入して、V=πh23(3rh)=πh23(3(a2+h2)2hh)=πh23(3a2+3h22h22h)=16πh(3a2+h2)(※2)
  3. r極角 θが与えられている場合
    cosθ=rhrであるから、h=r(1cosθ)
    ※1に代入して、V=πh23(3rh)=πr2(1cosθ)23(3rr+rcosθ)=π3r3(2+cosθ)(1cosθ)2

球台の体積

球台
  • 関係する諸数値を以下のものとする(右図参照)。
    • 球台の底の半径 r1,r2、底の中心を各々A,Bとする。
    • 球台の高さ(2つの平行な底面間の距離) h
    • もとの球の半径 R
  1. 解法1
    x2+y2+z2=R2である球を考える。
    x=tでこの球を切断して得た円;Cxについて、A(t1,0,0):B(t1+h,0,0)の区間で変化させ累積したものが球台の体積であるから、x=tにおける、円の面積π(R2t2)を区間[t1,t1+h]で積分することにより得られる。
     
    V=t1t1+hπ(R2t2)dt = πt1t1+h(R2t2)dt=πt1t1+h(r2t2)dt=π[tR2t33]t1t1+h=π3(3(t1+h)R2(t1+h)33t1R2+t13)=πh3(3R2(t1+h)2t1(t1+h)t12)=πh3(3R2t122ht1h2t12ht1t12)=πh3(3R23t123ht1h2)
    R2=t12+r12であるから、与式=πh3(3(t12+r12)3t123ht1h2)=πh3(3r123ht1h2)
     
    また、R2=(t1+h)2+r22であるから、
    t12+r12=(t1+h)2+r22=t12+2ht1+h2+r22
    r12=2ht1+h2+r22
    これを、t1について解くと、t1=r12r22h22h
    これを与式に代入して、与式=πh3(3r123h(r12r22h22h)h2)=πh6(3r12+3r22+h2).

円環体(トーラス)の体積

テンプレート:Wikipedia

円環体・トーラス

半径rの円;Cを、円の中心からの距離R(但し、r ≦ Rとする)の直線を軸として回転させた円環体(トーラス、ドーナツ型)

(参考)
  • この時、 半径rを「小半径」、半径Rを「大半径」と呼ぶこともある。
  • 円環体の内縁部の円の半径aと外縁部の円の半径bが与えられることもある。この時は、以下の関係を利用し考察。
    r=a+b2, R=a+b2
円環体の切断図形

(解法)

円;Cの中心から距離t(0≦tr)の位置で、円環体の回転軸に垂直に切り取ると、半径;Rr2t2の円を内側の円;C1とし、半径;R+r2t2の円;C2を外側の円とする図形が得られる。
この図形の面積をSとすると、
S=π(R+r2t2)2π(Rr2t2)2=4πRr2t2
これを、0trの区間で変化させ累積すると、円環体の1/2の体積;Vhが得られる。
Vh=0r4πRr2t2dt=4πR0rr2t2dt
0rr2t2dt を解く。(置換積分法を利用)
  • t=rsinθと置く。
tθで微分すると、dtdθ=rcosθ dt=rcosθdθ
  • t=0の時、θ=0
  • t=rの時、θ=π2
0rr2t2dt=0π2r2r2sin2θ(rcosθ)dθ=r20π21sin2θ(cosθ)dθ
=r20π2cos2θdθ ( 1sin2θ=cos2θ=|cosθ|0θπ2であるので、=cosθ)
=r20π21+cos2θ2dθ ( cos2θ=1+cos2θ2)
=r2[θ2+sin2θ4]0π2=r2π4
Vh=4πRr2π4=π2r2R
  V=2π2r2R=(πr2)(2πR)
後式は、「平面上にある図形Fの面積をSとし、Fと同じ平面上にありFを通らない軸lの周りでFを一回転させた回転体の体積をVとする。回転させる図形Fの重心Gから回転軸lまでの距離をRとしたとき、
V=2πRS
が成り立つ」というパップス=ギュルダンの定理第二定理と一致している。