初等数学公式集/初等代数/交代式・例題1

提供: testwiki
2023年6月21日 (水) 02:26時点におけるimported>Tomzoによる版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

x+1x=1であるときの、xn+1xnの性質。

 
設問例
x+1x=1であるとき※1x2023+1x2023の値を求めよ※2

解法
 
x+1x=1ならば、
x2+1x2=(x+1x)22=1
x3+1x3=(x2+1x2)(x+1x)(x+1x)=11=2
x4+1x4=(x3+1x3)(x+1x)(x2+1x2)=2(1)=1
x5+1x5=(x4+1x4)(x+1x)(x3+1x3)=1(2)=1
x6+1x6=(x5+1x5)(x+1x)(x4+1x4)=1(1)=2
x7+1x7=(x6+1x6)(x+1x)(x5+1x5)=2(1)=1
x8+1x8=(x7+1x7)(x+1x)(x6+1x6)=1(2)=1
x9+1x9=(x8+1x8)(x+1x)(x7+1x7)=1(1)=2
x10+1x10=(x8+1x9)(x+1x)(x8+1x8)=2(1)=1
となり、11211211216を循環節として循環していることがわかる(予想される(厳密な解答は後述))。
 
xn+1xn=anとして、6を循環節とする循環は以下により証明される。
 
an=xn+1xn=(xn1+1xn1)(x+1x)(xn2+1xn2)=an1an2
 
an=an1an2=an2an3an2=an3=an4+an5=an5+an6+an5=an6
 
n6の剰余で場合分けする(n=6k+m)と以下のとおりとなる。
a6k+1=a1=1
a6k+2=a2=1
a6k+3=a3=2
a6k+4=a4=1
a6k+5=a5=1
a6k=a6(=a0)=2
この性質を用いて、設問を解くと、2023=3376+1であるので、x2023+1x2023=1となる※3
 
厳密な解法
条件式;x+1x=1は、x2x+1=0と変形できる。(x+1)をかけるとx3+1=0という式が得られる (ただし、(x+1)は、便宜的に導入した式なのでx1となる)※1
すなわち、x3=1(x1)となるが、ここで、累乗した値の絶対値が1である性質※3に注目し、x=cosθ+isinθ(πθπ)とおいて、ド・モアブルの定理を利用すると、
x3=(cosθ+isinθ)3=cos3θ+isin3θ=1となる。
 
{cos3θ=1sin3θ=0 (πθπ)を解いて、θ=π3,π3を得る。
 
x=cosπ3+isinπ3,cos(π3)+isin(π3)となる。
 
一方、1x=x1=cos(π3)+isin(π3),cosπ3+isinπ3
 
xn+1xn=(cosπ3+isinπ3)n+(cos(π3)+isin(π3))n,(cos(π3)+isin(π3))n+(cosπ3+isinπ3)n: 同値となる。
 
=cosnπ3+isinnπ3+cos(nπ3)+isin(nπ3)
 
=cosnπ3+isinnπ3+cosnπ3isinnπ3=2cosnπ3
 
cosnπ3は、n6で割った余りが{0,1,2,3,4,5}であるとき、{1,12,12,1,12,12}となるため、xn+1xnは、n6で割った余りが{0,1,2,3,4,5}であるとき、{2,1,1,2,1,1}となる※3

脚注

  1. 惑わせるため、以下のような条件式で提示されることもある。
    x3+1=0 (ただし、x1とする)
  2. 入試問題などでこのような大きな数を計算させることはないので、「多分、剰余を使った問題に帰結させるんだな」と予想を立てて解く。
  3. と、しかつめらしく解説したが、よく考えれば、x+1x=1より、x3+1=0、すなわちx3=1、負号を消すため2乗してx6=1が得られるので、指数を6で割った余りで判定すれば足りる問題であった。
  4. 条件式が、x+1x=1、即ち、x3=1 (ただし、x1とする)である類似問題も作れる。とは言え、これもx3=1となるので、指数を3で割った余りで判定すれば足りる問題。