高等学校 生物/生命の起源
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地球は約46億年前に誕生しました。太陽系の形成初期、多くの微惑星が衝突・合体を繰り返すことで地球が形成されました。当初、地球の表面は非常に熱いマグマで覆われており、生命が誕生する環境は整っていませんでした。しかし、その後、隕石の衝突が少なくなるにつれ、地球の表面が冷却され、大気中の水蒸気が雨となって降り注ぎ、海が形成されました。この海こそが、生命の誕生に重要な役割を果たしたと考えられています。
生命は、地球の環境が安定し、海が形成された約40億年前に誕生したと考えられています。有力な説として、紫外線が降り注ぐ陸地ではなく、深海で生命が誕生したとするものがあります。
当時の地球の環境は、現在の地球とは大きく異なっていました。次に、生命がどのように誕生したかについて述べます。
現代では、生命は生命からしか誕生しませんが、約40億年から38億年前の地球では、少なくとも一度、無生物から生命が発生したと考えられています。
生物は、タンパク質や核酸など、多くの有機物から構成されています。しかし、生命が誕生した当時の地球にはこれらの有機物は存在していませんでした。無機物や簡単な有機物から新たな有機物が合成され、その過程で生命が誕生したとされています。この仕組みの解明に大きな貢献をしたのが、ユーリー-ミラーの実験です。
化学進化

隕石や彗星には、宇宙で生成された有機物が含まれています。彗星が地球に接近したり、隕石が地球に衝突することによって、宇宙から有機物が地球にもたらされた可能性があります。地球の海底には、硫化水素、メタン、水素などを含む350度以上の熱水が噴出する熱水噴出孔(ハイドロサーマルベント)があります。これらの極限環境において、有機物が生成された可能性があります。
熱水噴出孔の周辺では、高い水圧がかかっており、簡単な有機物が生成されることが確認されています。また、この過程で、タンパク質や核酸など、生命を構成するために必要な複雑な有機分子が作られたとも考えられています。このようにして生命の材料となる物質が徐々に形成されていった過程を化学進化と呼びます。
熱水噴出孔は、地球の深海に存在する極端な環境の一つであり、生命の誕生に関する「深海熱水起源説」の根拠となる重要な場所です。これらの熱水噴出孔では、地球内部から供給される化学エネルギーを利用する「化学合成細菌」が存在し、光エネルギーに依存しない生命活動が確認されています。このことは、生命がどのようにエネルギーを得て進化し始めたのかを考える際のヒントとなっています。