制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/解の漸近的挙動(安定論)/Hurwitzの定理

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特性多項式の係数から,直ちに微分方程式 (4.13) の解の安定性を判別する方法がいくつかある. 次のものは有名である.

定理 4.2 Hurwitz の定理

実係数の代数方程式, テンプレート:制御と振動の数学/equation のすべての根が,s 平面の左半平面に位置するための必要十分条件は, テンプレート:制御と振動の数学/equation の首座の小行列式がすべて正となることである.すなわち, テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立することである.

この定理は,1895 年にある技術者の依頼によって,Hurwitz が解いたものであるが, それ以前に Routh によって解かれていたので, Routh-Hurwitz の定理とも呼ばれる.証明は付録に譲る.

例96

p1(s)=s+a1,(a0=1>0) のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation


例97

p2(s)=s2+a1s+a2 のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから,H1=a1>0,H2=a1a2>0,それゆえ, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.これは,2 根の和が負,積が正ということで,解と係数の関係から得られるものと一致する.



例98

p3(s)=s3+a1s2+a2s+a3 のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation したがって テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.これから当然 a2>0



例99

a0>0,Hi>0(i=1,2,,n) より, ai>0(i=1,2,,n) を導け.

よく他書に Hurwitz の条件として,

(1) a0>0,a1>0,,an>0

(2) H1>0,,Hn>0

の両方満足するべきことが述べられているが,(1) の a0>0 以外は不要である. もし (1) が満たされれば,(2) の条件のうち幾つかは不要となる[1]



  1. 高木貞治:代数学講義(共立出版)第10章.