解析学基礎/数列の極限

提供: testwiki
2024年2月6日 (火) 06:10時点におけるimported>MathXploreによる版 (added Category:極限 (数学) using HotCat)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

定義

数列{an}が、実数αに収束する、正の無限大に発散する、負の無限大に発散する、ということをそれぞれlimnan=α,limnan=,limnan=と書き、それぞれの定義を次のようにする。

  • limnan=αϵ>0 N  n>N|anα|<ϵ
  • limnan=K N  n>Nan>K
  • limnan=K N  n>Nan<K

数列an=np(p)について、
limnan={,p11,p=00,p1

[1]p1のとき

任意のK>0に対して、アルキメデスの原理より、Kp<Nを満たすNが存在する。n>Nならば、p1よりnp>K。よって、anは正の無限大に発散する。

[2]p=0のとき

任意のε>0に対して、|an1|=0<ϵ。よってanは1に収束する。

[3]p<0のとき

任意のε>0に対し、アルキメデスの原理から、ϵp<Nを満たす自然数Nが存在する。n>Nならば、p<0に注意すると、0<|np|<ϵ。よって、anは0に収束する。

性質

数列の和差積商の極限

limnan=α,limnbn=βのとき、次の等式が成立する。

  • limn(an+bn)=α+β
  • limnanbn=αβ
  • limncan=cα (c)
  • limnanbn=αβ (β0)

証明は関数の極限の証明と同じであるので省略する。

その他の基本的性質

  • limnan=α,limnan=βならば、α = β

証明
任意のε>0に対して、あるNが存在してn>Nならば|anα|<ϵ2,|anβ|<ϵ2なので、
|αβ||αan|+|anβ|ϵ
εは任意より、α=β


  • anbn,limnan=α,limnbn=βならばαβ

証明
任意の ε>0に対して、あるNが存在してn>Nならばαϵ<an<α+ϵ,βϵ<bn<β+ϵなので、
αϵ<anbn<β+ϵ αβ<2ϵ
εは任意の正の数なので、α≤β


  • anbncn,limnan=α,limncn=αならば、limnbn=α

証明は関数の極限と同じなので省略する。

実数の連続性に関わる性質

  • 有界な単調数列は収束する。

証明
{an}が有界な単調増加列とし、supan=αとおく。上限の定義より、任意のεに対し、αϵ<aNを満たす自然数Nが存在し、n>Nのとき、単調増加性より、αϵ<aN<anα。つまり、数列anは収束する。

  • an,bnをそれぞれ、単調増加数列、単調減少数列としてすべての自然数iについてai<biかつ、limn(bnan)=0ならば、実数cが存在して、limnan=limnbn=c(区間縮小法の原理)

証明
a1an<bnb1より、二つの数列は有界かつ単調で、収束する。それぞれの極限値をα , βとおくと、条件よりβ-α=0 ∴ α = β

  • 有界な数列は収束部分列を持つ。(ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理)

証明
数列{an}を有界とする。m1<an<M1,I1=[m1,M1]とおく。[m1,m1+M12],[m1+M12,M1]のうち、有限個の{an}の項しか含んでいない方でない方をI2=[m2,M2]とおく。 このようにして数列mn,Mnを作ると、この二つの数列は、前性質の条件を満たしているので、ともに収束する。 また、すべての自然数kに対して、mk<ank<Mkを満たす自然数nkが存在し、はさみうちの原理から部分列{ank}は収束する。

  • ϵ>0 N  n>Nm>N|anam|<ϵ(これを満たす数列をコーシー列という)なら、数列{an}は収束する。

証明
ε1を固定して、ε =ε1のときのNN1とおくと、n>N1のとき、aN1ϵ1<an<aN1+ϵ1より、数列は有界で、前性質より収束する部分列{ank}を持つ。この収束値をαとおくと、ある自然数Nが存在して、nk,n>N|ankα|<ϵ2|anank|<ϵ2が成り立つので、三角不等式より、|anα|<|anank|+|ankα|<ϵ