「初等数学公式集/初等幾何/平面図形」の版間の差分

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2025年3月4日 (火) 18:46時点における最新版

このページでは平面図形の面積の公式の解説をする。なお、ここでは説明の都合上公式集と順番を入れ替えた箇所があることを承知していただきたい。

そもそも面積とは平面あるいは曲面の広さ、大きさを表すものである。これの基準となるものは1辺が1の正方形である。1辺が1の正方形の面積を1と定義することで、あらゆる図形の面積が定義される。

長方形の面積

S=ab

与えられた長方形の中に面積1の正方形をいくつ敷き詰められるかを考えればよい。その正方形の個数がすなわち面積となるからだ。例えば縦が3、横が4の長方形を考えると、この中には12枚の、基準となる正方形が入る。縦が3ということは、縦に3列並べることができ、かつ横が4なのでそれを横方向に4行並べることができるからだ。そのため、これは3×4という計算で導くことができる。これはすなわち、各辺の長さと一致するから、縦の長さと横の長さを掛け合わせることで、面積が求められる。

正方形の面積

S=a2

正方形は「縦と横の長さが等しい長方形」と言い換えることができる。長方形の面積S=ab は前述の通りだが、ここで、縦と横が等しいので a=b ということができる。これを長方形の面積の公式に代入すると S=a2 が得られる。

平行四辺形の面積

S=ah

与えられた平行四辺形を、図のように分割し、並べ替えると長方形と見ることができる。この長方形の横の長さは平行四辺形の底辺と、縦は平行四辺形の高さと一致するので、面積は底辺と高さを掛け合わせることで得られることが導かれる。

台形の面積

S=12(B+b)h

三角形の場合と同様の考えで導き出される。与えられた台形と合同な台形を作る。2つの台形のうち片方を180°回転し、長さが等しい辺で結合すると、平行四辺形が得られる。なぜならば、合同な台形は対応する角が等しいため、1組の対辺について錯角が等しくなるからである。そのため、台形の面積はこの平行四辺形の面積を出した後に2で割ることで得られることがわかる。この平行四辺形の底辺は台形の上底と下底との和と、平行四辺形の高さは台形の高さと一致するので、これらを掛け合わせて2で割ることで面積が得られる。

三角形の面積

S=12ah

与えられた三角形と合同な三角形を作る。2つの三角形のうち片方を180°回転し、長さが等しい辺で結合すると、平行四辺形が得られる。なぜならば、合同な三角形は対応する角が等しいため、2組の対辺それぞれについて錯角が等しくなるからである。そのため、三角形の面積はこの平行四辺形の面積を出した後に2で割ることで得られることがわかる。この平行四辺形の底辺は三角形の底辺と、平行四辺形の高さは三角形の高さと一致するので、これらを掛け合わせて2で割ることで面積が得られる。

三角形の合同条件から面積を求める公式

三角形の合同条件は、

  1. 三辺が等しい。
  2. 二辺とその間の角が等しい。
  3. 二角とその間の辺が等しい。

のいずれかが成立することであるが、この合同条件をみたす値がわかっていれば、一意にその三角形の面積が得られることとなる。

三辺の長さから面積を求める場合

ヘロンの公式
S=s(sa)(sb)(sc)……①
s=a+b+c2……②

二辺とその間の角から面積を求める場合

正弦の定義から

S=12absinθ

二角とその間の辺から面積を求める場合

ABC において、BC=a,B=δ,C=θとわかっている場合、CA=bと置くと、この三角形の面積は、上記から、

S=12absinθ……A

正弦定理から、

bsinB=asinA

即ち、

bsinδ=asin(π(θ+δ))=asin(θ+δ)

bについて解くと、

b=asinδsin(θ+δ)

Aに代入すると、

S=a2sinθsinδ2sin(θ+δ)

を得る。

円が内接する三角形の面積

S=12r(a+b+c)

ファイル:三角形の面積 内接.png
内接円とその外接三角形の関係

三角形に円が内接しているということは、円に接する辺はすべて接線ということです。
接線と半径は垂直に交わるので、辺に対する半径は高さとなり、
それぞれの辺に対して(半径)÷2を掛ければ値が求まります。

よって、

S=12ar+12br+12cr

=12r(a+b+c)

テンプレート:-

円が外接する三角形の面積

外接円とその内接三角形の関係

S=abc4R

この三角形の面積S は、S=absinC2 と表せる。
 
正弦定理から、csinC=2R であって、すなわち、sinC=c2R
 
面積の式に代入して、S=abc4R となる。

正三角形の面積

S=34a2

正三角形の面積 解説図
正三角形の面積 解説図
正三角形の高さは、ある1つの角から対辺に引いた垂線の長さです。
この垂線(青線)は、左右を合同な直角三角形に2等分する線でもあるので、右図緑線の長さは赤線の半分です。
よって右図青線の長さは、三平方の定理によって求めることができます。
a2(12a)2=a214a2=34a2=32a
底辺と高さが出たので、
S=12×a×32a=34a2

ひし形の面積

S=12ab

正多角形の面積

一辺のながさ a の正n角形の面積
一辺のながさ a の正n角形は、中心角をn等分した角を頂点とする、底辺 a の二等辺三角形An個集合したものと考えることができる。
 
二等辺三角形Aの頂点の角は 2πn、残りの2角(底角)は等しいので各々、12(π2πn)=π2πn
 
二等辺三角形Aの底辺は a、高さは a2tan(π2πn)=a2tanπn余角の公式(還元公式)参照 ※1
 
二等辺三角形Aの面積SA=12aa2tanπn=a24tanπn, したがって、S=nSA=na24tanπn
 
中心から各角までのながさ r である正n角形の面積
上記同様、等辺が r の二等辺三角形An個集合したものと考える。
 
上記のとおり、二等辺三角形Aの底角θは、π2πn
 
二等辺三角形Aの底辺は 2rcosθ=2rcos(π2πn)=2rsinπn、高さは rsinθ=rsin(π2πn)=rcosπn余角の公式(還元公式)参照)
 
二等辺三角形Aの面積SA=122rsinπnrcosπn=r2sinπncosπn=r22sin2πn(※2), したがって、S=nr22sin2πn
 
少し進んで
ここで、n を無限に大きくすること、すなわち、limnSn=limnnr22sin2πn を考えてみよう。
 
limnSn=limnnr22sin2πn=r22limnnsin2πn である。
 
2πn=t とおくと、n=2πt であり、また、n の極限は t0 に対応する。
 
与式 =r22limt02πtsint=r222πlimt0sintt、ここで limx0sinxx=1 であるので(関数の極限の基本定理参照)、与式 =πr2 と半径rの円の面積の式となり、正n角形の n を無限に大きくすると円になるであろうという予想に一致する(もう少し厳密な取り扱いは後述)。

円の面積

S=πr2

 

円の面積の導出はいくつか方法がある。

円をいくつかの合同な扇形に分割し足し合わせて導出する方法
中心角をn等分した角を頂点とする扇形の面積を Sn とすると、円の面積は nSn である。
この扇形は、同じ頂点の角を持ち円の半径rを等辺とする二等辺三角形 A よりは大きく、円の半径rを高さとする二等辺三角形 B よりは小さい。この2種の三角形は相似であり、底角はπ2πn である。
A の面積:SA=r22sin2πn※2参照)
B の底辺を b とすると、tan(π2πn)=rb2=2rb であるから、b=2rtan(π2πn)tan(π2πn)=1tanπn であるので(※1参照)、b=2rtanπn
SB=122rtanπnr=r2tanπn
 
ここで、SA<Sn<SB であり、nSA<nSn<nSB となる。
 
limnnSA=limnnr22sin2πn=πr2※3参照)
 
limnnSB=limnnr2tanπn※3同様、πn=t とおくと、n=πt であり、また、n の極限は t0 に対応し、与式=limt0πr2ttant=πr2limt0tantt
ここで limx0tanxx=1 であるので(関数の極限の基本定理参照)、limnnSB=πr2
 
nSA<nSn<nSB について、limnnSA=limnnSB=πr2 となるので「はさみうちの原理」より、limnnSn=πr2 となる。
 
積分による導出
座標平面上で原点を円の中心とする、半径r の円O を考える。円の面積は同一の点を中心とする円の周を総合したものと考えることができるため、半径x の円周を0からr まで積分することで面積が得られる。半径r の円の円周は、2πr(これは円周率の定義である)であるので、次のように計算して得られる。
S=0r2πxdx=2π0rxdx=2π[12x2]0r=2π×12r2=πr2