「制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/特性多項式の構造と解の性質」の版間の差分
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2022年11月23日 (水) 15:28時点における最新版
を二つの多項式とし,それらに対応する微分作用素を とする. このとき任意の微分可能な に対して, テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立するとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation と約束する.この相等の定義は,多項式の相等の定義, テンプレート:制御と振動の数学/equation と一致する.
例65
これを証明せよ.
解答例
とおく.任意の関数 で, テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立するとき, として特定の形を①に代入して の満たすべき必要条件をあぶり出す.
のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation 等の定数に対する微分は となるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation が必要.
のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation のとき .よって, テンプレート:制御と振動の数学/equation ②③より テンプレート:制御と振動の数学/equation
のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation のとき .よって, テンプレート:制御と振動の数学/equation ②④⑤より テンプレート:制御と振動の数学/equation
のとき,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
のとき ,
のとき ,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
の場合から がすでにいえており、これと⑦から が必要.
以上から は任意の関数であるとき, が必要条件.
逆に のとき, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation ⑧は が任意の の関数であってもその値は常に . すなわち, テンプレート:制御と振動の数学/equation これにより十分性を示せた.
さらに微分作用素の和と差を,任意の微分可能な に対して,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
と,また積を,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
が成立することと定義する.これらの定義と前に述べた の定義と抵触しないことは明らかであろう.
このように微分作用素間の加減乗の 3 演算を定義すると,これらは多項式の加減乗の定義と一致するから,
これら 3 演算から導かれる多項式に関する公式は,そのまま微分作用素に対しても成立する[1].
例えば,
[補題 3.1]
を多項式とすると テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立する.つまり微分作用素の積は交換可能である.
証明
テンプレート:制御と振動の数学/equation とおく.まず, テンプレート:制御と振動の数学/equation を示す.
テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation この結果を用いて, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation よって, テンプレート:制御と振動の数学/equation が示された.
[補題 3.2]
が で割り切れるならば, テンプレート:制御と振動の数学/equation の解は, テンプレート:制御と振動の数学/equation の解となる.
証明
テンプレート:制御と振動の数学/equation と書けるから, ならば, テンプレート:制御と振動の数学/equation
[系]
テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation ならば, テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立する.ここに は定数である.
証明
補題(3.2)より, テンプレート:制御と振動の数学/equation これと重ねあわせの原理Ⅰより明らか[2].
例66
テンプレート:制御と振動の数学/equation は の[3],また は の解[4]である.よって上記系より, テンプレート:制御と振動の数学/equation は の解である.
[補題 3.3]
テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation
証明
(i) テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation より明らか[5].
(ii)
テンプレート:制御と振動の数学/equation
テンプレート:制御と振動の数学/equation
またこの結果を 2 度用いると,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
一般に,
テンプレート:制御と振動の数学/equation
となるから,求める結果を得る[6].
[系]
例67
テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation 一般に を高々 次の多項式とすると, テンプレート:制御と振動の数学/equation
[補題 3.4]
(i) が の解となるための必要十分条件は, が を因数として持つことである. (ii) テンプレート:制御と振動の数学/equation が の解であるための必要十分条件は が を因数として持つことである.ただし .
証明
十分性は 補題3.2 で示されている.(ii) の必要性だけ証明する. (i) も (ii) も証明は同じであるから難しい方を示しておく[7]. テンプレート:制御と振動の数学/equation とおき, を示せばよい.[8] テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから[9], テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation これより, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation が成立しなければならない[10]. であるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る[11][12].
- ↑ 例65 は, である可能性はあっても, はありえないことをいっている.この事実よりこれがいえる.
- ↑
- ↑
を変数分離法で解く.
,
.または解関数として .両辺を で積分して,
これは解 も含む表現である.(, また と置きなおしている.)
- ↑
を変数分離法で解く.
,
.または解関数として .両辺を で積分して,
これは解 も含む表現である.(, また と置きなおしている.)
- ↑
すなわち,
とおけば,
よって,.
- ↑
すなわち,
だから,
- ↑
(i) の必要性を証明する.
とあらわされるとき, ならば, であることを示す.
補題3.3)
.
今 のとき,
より
よって, だから すなわち, であり, は を因数として持つことを示せた.
- ↑
証明の方針を整理する.
どのような多項式 も,予め定めておいた を含む二次式 で割れば,余りを許せば,
に書き換えることが可能である.係数 を調整すれば,
…①
の形にすることも当然可能である. 今,①の形のもとで,予めさだめておいた に対して を入力条件としたとき,これから を結論とできるか、を証明するべき問題とする. - ↑ の解の一つが であることは例48 ですでに証明している.ただし他の形の解が存在するかどうかはここでは触れないでおく.
- ↑
三角関数の合成より, とすると,
この値が全ての で であるためには, かつ が必要. - ↑
すなわち,
かつ
- ↑
より,
の形に表すことができ,すなわち, が を因数として持つことを示せた.