「制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/f(t) の積分および微分の Laplace 変換」の版間の差分

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(相違点なし)

2022年11月23日 (水) 15:24時点における最新版

§1

f(t) の不定積分は,次のように合成積 テンプレート:制御と振動の数学/equation と書けることに注意しよう.すなわち,積分するということは,合成積の意味で 1 を掛けることを意味する. Laplace 変換の基本性質の(1)(3)を用いると, テンプレート:制御と振動の数学/equation よって テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.すなわち t 領域での積分は s 領域[1]では s で割ることに対応する.

さて, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation 以下同様にして,帰納的に, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.この左辺の Laplace 変換は,基本性質のLaplace 変換の基本性質の(1)(3)を用いれば, テンプレート:制御と振動の数学/equation であるから, テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.


例20

(2.8) を Laplace 変換の定義式から直接導け.

解答例

テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation すなわち テンプレート:制御と振動の数学/equation これと,基本性質(1)すなわち テンプレート:制御と振動の数学/equation および基本性質(2)とを再帰的に適用して式(2.8)を得られる.実際、 テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation すなわち テンプレート:制御と振動の数学/equation これに基本性質(2)を適用すれば, テンプレート:制御と振動の数学/equation この導出方法は基本性質(1)(2)を使ってしまっているし,あと,こういうのは数学的帰納法で記述するべきであるが,基本性質(1)(2)は容易な積分なこともありこれで勘弁してほしい.

これらの結果を用いて、次の Cauchey の公式と呼ばれるものを示そう. テンプレート:制御と振動の数学/equation

証明

合成積の記号を用いて表せば一目瞭然である.すなわち, テンプレート:制御と振動の数学/equation となるが,この式の正しいことは式(2.7)から明らかである.


なお Cauchy の公式を Laplace 変換すれば,その像は,左辺右辺ともに, テンプレート:制御と振動の数学/equation になることを注意しておこう.

§2

f(t) の導関数を f(t) とする.微分積分法の基本公式, テンプレート:制御と振動の数学/equation の両辺を Laplace 変換すると テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.s を払えば, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.f(0)=0 ならば, テンプレート:制御と振動の数学/equation となり,t 領域での微分は,s 領域で s を掛けることに対応し,微分と積分が逆演算であることが鮮明となる.

(2.10) を 2 度繰り返すと テンプレート:制御と振動の数学/equation よって テンプレート:制御と振動の数学/equation 以下同様にして,[2] 帰納的に テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.初期値がすべて 0 の場合,この公式は, テンプレート:制御と振動の数学/equation とみなしてよいことを示している.なお f(n)f の第 n 階導関数である. 式(2.11)Taylor の公式を示す.事実,[f] について解くと, テンプレート:制御と振動の数学/equation となるが,式(2.8)および Cauchey の公式 (2.9) を用いて,この原像を求めれば, テンプレート:制御と振動の数学/equation

例21

テンプレート:制御と振動の数学/equation を解け.

解答例

(2.11a)f(0)=a0,f(0)=a1,f(n1)(0)=an1 を代入すればよい.

テンプレート:制御と振動の数学/equation

  1. Laplace 変換した領域をこのように略称する.
  2. [f(3)]=s3[f]s2f(0)sf(1)(0)f(2)(0)
    [f(4)]=s4[f]s3f(0)s2f(1)(0)sf(2)(0)f(3)(0)
    [f(5)]=s5[f]s4f(0)s3f(1)(0)s2f(2)(0)sf(3)(0)f(4)(0)