「制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/Laplace 変換の定義とその基本的性質/合成積の Laplace 変換」の版間の差分

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(相違点なし)

2022年11月23日 (水) 15:24時点における最新版

テンプレート:制御と振動の数学/equationf(t)g(t)合成積といい, テンプレート:制御と振動の数学/equation と略記する[1]. 次の性質は重要である. テンプレート:制御と振動の数学/equation

証明

定義により, テンプレート:制御と振動の数学/equation 右辺の積分の範囲は 0<τ<t< であるから,図に示した三角形領域である.

積分順序を交換すると, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.ここで est=es(tτ)esτ と変形し,v:=tτ によって、積分変数を t から v に変えると, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation


別証

上の積分順序の変更は,図のような説明によらなくても,形式的に次のように考えてもよい.f(t)=0(t<0) に注意すると テンプレート:制御と振動の数学/equation と積分の上限を にとることができる[2]. このようにしておいてから積分順序を交換すると, テンプレート:制御と振動の数学/equation となる.ここで再び f(t)=0(t<0) を想起すると,内側の積分の下限は τ でよく[3]テンプレート:制御と振動の数学/equation を得る.[4]


例18 上の(最初の)証明から分かるように,積分順序の交換式は f(t)=0(t<0) は必要でない.別証のアイディアは、この仮定をはずしてもいかすことができる. どう考えたらよいか.


解答例

定積分の上限を T とする. S1=0Tdt0tdτf(tτ)g(τ)estS2=0TdττTdt f(tτ)g(τ)est にて,S1=S2 であることを示す.

定義域 (t,τ)0<t<τ<T の領域で重積分することを考えれば テンプレート:制御と振動の数学/equation(2.4a)の左辺と S1 を加えたものは, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation また,式(2.4a)の右辺と S2 を加えたものは, テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation 今,積分順序の交換が可能である仮定のもとで,0Tdt0Tdτf(tτ)g(τ)est=0Tdτ0Tdt f(tτ)g(τ)est より, テンプレート:制御と振動の数学/equation よって,式(2.4a)より,S1=S2,すなわち, テンプレート:制御と振動の数学/equation T で両辺とも極限値を持てば,同じくこの等式は成立する.


例19

(i) f*g=g*f

(ii) (kf)*g=k(f*g)

(iii) f*(g*h)=(f*g)*h

(iv) f*(g+h)=f*g+f*h

を示せ.


解答例

(i)

f*g=0tf(tτ)g(τ)dτ

にて,v=tτ とおいて積分変数を τ から v に換えるとき,dv=dτ,また τ0t と変化するとき vt0 と変化するから,

f*g=t0f(v)g(tv)dv=0tg(tv)f(v)dv=g*f


(ii)

(kf)*g=0t{kf(tτ)}g(τ)dτ
=0tkf(tτ)g(τ)dτ
=k0tf(tτ)g(τ)dτ=k(f*g)


(iii) これはとても難しい…いつか分かる日が来るのだろうか?

(iv) テンプレート:制御と振動の数学/equation テンプレート:制御と振動の数学/equation




  1. この積分形に近い型としては,いわゆる「複数桁×複数桁の筆算」.積の一つの桁に着目すると f(tτ)g(τ) 形の総和をとる.
  2. なぜならば,内側の積分変数 τ による積分で,τ>t ならば tτ<0 よって f(tτ)=0
    tf(tτ)g(τ)dτ=t0g(τ)dτ=0
    0tdτ=0tdτ+tdτ=0dτ
  3. 積分変数t0<t<τ の範囲のとき tτ<0f(tτ)=0
  4. この続きは上記のとおり est=es(tτ)esτ と変形し,v:=tτdv=dt として積分変数を t から v に変える.