「一般力学/ベクトルの乗法」の版間の差分

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2024年5月2日 (木) 21:54時点における最新版

テンプレート:Sakujo §3 ベクトルの乗法

二つのベクトル 𝐀,𝐁 の積を定義するのに,加え算の場合から類推される AxBx,AxBy というような単なる成分の積は,座標系の取り方によりその値を異にし,一定の幾何学的意味を有するものとならない.そこで,これらを組み合わせて x,y,zcijAiBj の形のもので,定まった幾何学的意味を有するものを作り,かつこれに対して数の掛け算に関する諸法則がなるべく満足させられるようなものを求める.この条件に適うものは次の二つである[1]

(i) スカラー積 二つのベクトル 𝐀,𝐁 から一つのスカラーを積として作り出す算法をスカラー積といい, 積を 𝐀𝐁,𝐀𝐁,(𝐀,𝐁) などと記す.その定義は 𝐀,𝐁の間の角を θ として, テンプレート:一般力学/equation 即ち一方のベクトルの大きさに他方のベクトルのその上への射影を掛けたものである. この定義からスカラー乗法に対して数の掛け算と類似な関係 テンプレート:一般力学/equation が成り立つことがわかる.(最後のものの左辺は |𝐀|𝐁+𝐂 の上への射影を掛けたもので,これが右辺に等しいことは作図すれば明瞭である). 数の場合と違うのは 𝐀𝐁=0 なるときは 𝐀=0,𝐁=0 のほかに 𝐀𝐁 でもよいこと,除法が一義的に可能でないことなどである. 𝐀=𝐁 なるときには,𝐀𝐀=𝐀2A2,即ちベクトルの大きさの二乗に等しい.

基本ベクトル大きさ1 で,かつ互いに垂直であるから,その間に次の関係がある: テンプレート:一般力学/equation よって 𝐀𝐁=(Ax𝐢+Ay𝐣+Az𝐤)(Bx𝐢+By𝐣+Bz𝐤)(3.2)(3.3)の関係を用いてほぐせば, テンプレート:一般力学/equation 特に 𝐀,𝐁 がどちらも単位ベクトルであるときには 𝐀𝐁=cosθ であるから, テンプレート:一般力学/equation ただし λ,μ,ν;λ,μ,ν はそれぞれ 𝐀,𝐁 の成分,即ちその方向余弦である. また或るベクトル 𝐀単位ベクトル 𝐞(λ,μ,ν)方向への射影は,𝐀𝐞 との間の角を θ とすれば, テンプレート:一般力学/equation で与えられる.

(ii) ベクトル積 二つのベクトル 𝐀=OA,𝐁=OB により定められる平行四辺形 OABC代表ベクトル 𝐂𝐀,𝐁ベクトル積と呼び,𝐀×𝐁,𝐀𝐁,[𝐀,𝐁] などと記す.従ってその大きさテンプレート:一般力学/equation方向𝐀,𝐁 に垂直,向きは 𝐀𝐁 へ(π> より小さい角で)まわしたとき,右ネジの進む向きである.この定義から次の関係が証明される.


(iii)三つのベクトルの積

  1. ここでは結果だけを示したが,上のようなベクトル成分双一次形式で一定の幾何学的意味(座標系の取り方に無関係な意味)を有する量を求めることは三次元回転群の表現論を用いれば最も簡単に解決される.