「測度論的確率論/準備/集合/集合」の版間の差分
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2022年11月30日 (水) 17:09時点における最新版
集合
集合とは,「数学的に明確に定義された対象の集まり」をいう. 「数学的に明確に定義された」ということは,一つの対象を持ってきたときに,その集合に属しているか,それとも属していないかが明確に示されることをいう. 例えば「実数空間上に定義された滑らかな関数全体」は集合でない. なぜなら,どのような関数を「滑らか」というかがはっきりしていないからである. しかし「実数空間上に定義された各点で微分可能な関数全体」は集合である. 集合を構成する対象を要素または元という.
以下 等の記号は集合を表すものとする.
定義1. が集合 に属する元であることを と記す.
定義2. が集合 に属する元でないことを と記す.
定義3. 集合 が集合 に含まれるとは
- に属する任意の元が に属すること
をいい, または と記す.
定義4. 集合 と集合 が一致するとは
- かつ なること
をいい, と記す.
定義5. 集合 と集合 の和集合 とは
- または に属する元全体の集合
をいう.
定義6. 集合 と集合 の共通集合 とは
- と の両方に属する元全体の集合
をいう.
定義7. 同様に集合列 に対して,どれかの に属する元全体の集合を と表す.
定義8. 集合列 に対して,すべての に属する元全体の集合を と表す.
定義9. また「元を持たない集合」を空集合 といい で表す. 任意の集合 について である.
定理1. を集合とするとき
(1)
(2)
証明
(1) を に属する任意の元とする. かつ . すなわち または かつ . これは または となり, すなわち .…①
逆に , より ,. ( かつ ならば だから) .…②
①②より .
(2)(1)に対して定理3を先取りして適用する. . . .(証明終)
定理2. を集合とするとき
(1)
(2)
証明
(1)の証明. とすると, かつ , したがって,ある(少なくとも一つの) について かつ . すなわち であり, これにより .…①
逆に任意の について であるから となり ( ならば と同じ理由で,) .[1]…②
①②より(1)は証明された.
(2)の証明.(1) に定理3を先取りではあるが適用する。
(1)より . . . (証明終)
定義9. ある集合 の部分集合全体をなす集合を と記す.したがって は を意味している. 特に である.
定義10. また 1 点 だけからなる の部分集合を ,あるいは簡単のため とも書く.
定義11. に対して
を の補集合という.明らかに である.
定義12. に対して
を集合 と集合 の差,また
を集合 と集合 の対称差という.
演習1. とするとき, を図示せよ.
(解答) 略
定理3. とするとき,次の命題が成り立つ.
(1)
(2)
証明
(1)を証明する. とすると すなわち かつ である. ゆえに したがって が示された.
逆に であれば かつ したがって となり が示された.
(2)を証明する. (1)に を適用する. (1) より すなわち . だから . をあらためて , を と書き直せば .(証明終)
定理3 はつぎのように一般化される.
定理4. とするとき,次の命題が成り立つ.
(1)
(2)
証明
(1)
(2)
(証明終)
- ↑
さらにパラフレーズする.
任意の について
すなわち,
…①
…②
…③
各式の左辺の変化している部分に着目する.それは であり,今,左辺の和集合を考えると であるが,
①②③…,により はある集合 に対して だといっている.
同様に だといっている. したがって といえることになるであろう.