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高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸
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== 軸要素 == === 軸 === [[Image:FeatherKeyUnMounted.png|thumb|200px|キーを溝にはめ込む]] 機械工学でいう'''軸'''(shaftあるいはaxis)とは、機械の回転物の中心となり支える棒状の部品である。 用途としては、原動機からのトルクや力を伝達する用途の伝動軸と、車輪などをつけて車両の車軸(axle)にする用途がある。また、このような軸を伝動軸(transmission shaft)と言ったりトランスミッションと言ったりする。 軸には、軸に歯車や車輪などの部品を取り付けるための締結部品として、'''キー'''(key)という、「くさび」のような差し込み部分が必要。このキーによって、歯車などを軸に固定する。軸および固定物にキーを差し込むためのキー溝(keyway)をあらかじめ掘り、その溝にキーを入れることで固定する。キーの入れ方はたとえば、ハンマなどでキーを叩き、打ち込んで圧入する方法がある。このような、圧入するキーのはめ方を、'''圧力ばめ'''(press fit)という。 キーの詳細は、キーの節で後述する。 このような用途から、軸には様々な荷重や応力がかかるので、設計者は、その荷重や応力に耐えうる設計をしなければならない。 軸に掛かる応力には様々なものがあり、材料力学で習うような全ての応力(曲げ応力、ねじり応力、引張り応力、圧縮応力など)がかかると思っても、とくに問題はない。 トルク伝達用の伝動軸には、用途から当然に、ねじり応力がかかる。車軸には、車両は一般に重量物を運搬するために用いるのだから、重量物の重さによる曲げ応力が当然にかかるだろう。 また、機械の軸は、一般に、回転を何回も繰り返して使うことが多いので、疲労や摩耗に対しても考慮が必要である。 キーをつけてることから、応力集中が、その部分にかかる。それに耐えうる強度が必要である。 また、軸のたわみを考慮する必要がある。通常は、軸は、けっして容易にたわんではいけない。軸は長いことから、たわみをしやすい。また、回転物の遠心力が加わるので、それによってもたわみをしやすくなる。だから、そのようなたわみを防がなければならない。 このように、設計者は、軸にかかる応力を考察する必要がある。 * 回転速度 機械工学では、軸の回転速度の単位には、1分間あたりの回転数を意味する'''rpm'''で表すことが多い。rpmは“round per minute”の略。なお、1秒間あたりの回転数は'''rps'''(round per second)で表す。 * 危険速度 回転軸の回転数がある速度になったとき、遠心力などと共振状態になり、共振のため大きな、たわみや振幅を発生する。この共振状態の時の回転数を'''危険速度'''(critical speed)という。この大きな振動により装置を破壊することがある。なので、安全のため、使用時には、危険速度の付近の回転数での使用を避けなければならない。 ==== 軸の標準寸法 ==== 軸の直径は互換性のためにJIS B 0901で規格化がされており、なるべく標準化のために、このJIS規格の数値に従うのが望ましい。 ==== 形状 ==== * 真直軸 真直軸は一般的に使われる、軸心が真っ直ぐな軸。 * クランク軸 クランク軸crank shaftは往復運動を回転運動に変換したり、あるいは回転運動を往復運動に変換する変換用の軸。 * たわみ軸 たわみ軸(flexible shaft)は、伝動軸にたわみ性を持たせ、用途としては、軸の方向を少し変えたり、または衝撃を緩和させる軸である。 コイル形たわみ軸は、鋼線などの金属製の芯線を,コイル状に巻き、その上に反対向きに2層目を巻き、同様に三層目を二層目と逆向きに巻き、・・・というように、順次、逆巻きに巻いていった、たわみ軸である。 ==== キーの種類や規格 ==== [[Image:FeatherKeyMounted.png|thumb|200px|キーがキー溝に、はめこまれた状態]] [[File:Passfedernut.jpg|200px|right|thumb|キー溝]] キーの種類には,沈みキー・接線キー・半月キーなどがある。沈みキーには、こう配キー・平行キーがある。 * こう配キー(taper key) 勾配(こうばい)は1/100(百分の一)が一般的である。細い側を締結部品に差し込み打ち込む。 * 平行キー(paraleel key) 勾配のついていないキー。 * 半月キー(woodruff key) テーパ軸によく用いられるキーであり、半円の形をしている。軸には、半円型のキー溝を彫る。短所として、軸のキー溝が深いので、軸強度が低下する。 * キーにかかる応力 キーは、伝達トルクによって、せん断力や圧縮応力を受ける。だから、このせん断応力などに耐える強度がキーには必要である。しかし、キーだけを大きくすれば、けっして製品全体が安全というわけでは無く、キーを大きして強くすると、その分だけ軸溝が大きくなるので、軸が弱くなる。キーの大きさと軸の大きさとの間には、強度のジレンマがあるので、一般には、次に解説するJISの規格値を、寸法値として採用することが多い。 * キーの規格 キーの寸法値が、軸寸法ごとに規格化されてるので、実務でキー寸法を決定する際では、規格値を採用することが多い。キーなども強度を考慮した設計が必要である。 JIS規格では、キーとキー溝の寸法がJIS B 1301で規格化されている。規格では、キーの強度と軸の強度との両方の強度を考慮した寸法値が採用されている。キーと軸との強度のジレンマがあるので、一般にJISの規格値を採用することが多い。 JIS規格により、キーの引張り強度は、600N/mm<sup>2</sup>以上でなければならない。 (キー材にはS45CやS55Cなどが用いられることが多い。) * キーのはめ方 ** 圧力ばめ 圧力ばめ(press fit)とは、穴径よりも軸径を少し大きくし、軸を圧入する. ** 焼きばめ 焼きばめ(shrink fit)とは、穴部を加熱し、加熱膨張により穴を膨張させ、その穴に部品を挿入する。冷めて常温に戻れば、穴が収縮して、締結する方法。 ==== キーの強度計算 ==== キーの寸法を以下のようにした場合、 * 軸径 d[mm] * キー幅 b[mm] * 軸方向のキー長さ L[mm] * キーの高さ h[mm] キー溝にかかるせん断応力は、せん断応力をτ[MPa]とすると、せん断荷重W<sub>s</sub>[N] との関係は :<math>W_s = \tau b L</math> [N] となる。軸のトルクTは :<math> T = W_s \frac{d}{2}</math> [N・mm] したがって、せん断応力τとトルクTとは、次の関係がある。 :<math> \tau = \frac{W_s}{b L} = \frac{2 T}{bLd} </math> [MPa] となる。 * キー溝にかかる面圧 キーの軸に埋まってる深さは、キーが半分だけ埋まってると近似する。つまり、溝の深さは h/2であると仮定する。 なので、圧縮応力は、この埋まってる部分にかかると考える。 * 圧縮荷重 ** <math> W_p = \sigma(h/2)L </math> [N] ** <math> \sigma =\frac{W_p}{(h/2)L } = \frac{4T}{dhL} </math> [MPa] ==== 軸の強度計算 ==== * ねじりだけかかる場合 ** 中実軸の場合 中実の円柱の極断面係数Z<sub>p</sub>は、 :<math> Z_p = \frac{\pi d^3}{16} </math> であり、またトルクTとせん断応力\tauと極断面係数Z<sub>p</sub>との関係式が :<math> T=\tau Z_p </math> であることから、代入すれば、せん断応力τは :<math> \tau= \frac{16T}{\pi d^3} </math> ** 中空軸の場合 中空軸の場合の極断面係数Z<sub>p</sub> は、外径をd<sub>2</sub>[mm]とし、内径をd<sub>1</sub>[mm]とした場合に、極断面係数Z<sub>p</sub>[mm<sup>3</sup>]は、 :<math> Z_p = \frac{\pi}{16} \frac{d_2{}^4 - d_1{}^4}{d_2} </math> なので、τについて移項して、式T=τ*Z<sub>p</sub>に、先ほど求めたZ<sub>p</sub>を代入すれば、 :<math> \tau =\frac{16 T}{\pi} \frac{d_2}{d_2{}^4 - d_1{}^4} </math> * 伝達動力 伝達動力P[W]は、回転数をn[rpm]とし、トルクをT[N・mm]とすると、伝達動力Pと回転数mとトルクTとの関係式は次のようになる。 :<math> P = (T/1000) (2\pi n/60) = 1.047\times10^{-4} nT </math> あるいは移項して、トルクTについて式をまとめれば、 :<math> T = 1000/(60\times2 \pi n) = (9.55\times10^3)\times(P/n) </math> * 曲げだけかかる場合 ** 中実軸の場合 円柱の断面2次係数Z[mm<sup>3</sup>]は、直径をd[mm]とすれば、 :<math> Z = \frac{\pi d^3}{32} </math> また、曲げモーメントM[N・mm]と、曲げによる応力σ[MPa]と断面2次係数Zとの関係式は、 :<math> M = \sigma Z </math> これより応力σは :<math> \sigma =\frac{32 M}{\pi d^3}</math> ** 中空軸の場合 中空軸の場合の 断面係数Z は、外径をd<sub>2</sub>[mm]とし、内径をd<sub>1</sub>[mm]とした場合に、断面係数Z[mm<sup>3</sup>]は、 :<math> Z = \frac{\pi}{32} \frac{ d_2{}^4-d_1{}^4 } {d_2} </math> なので、σについて移項して、式M = σZに、先ほど求めたZを代入すれば、 :<math> \sigma = \frac{32 M}{\pi} \frac{d_2}{d_2{}^4 - d_1{}^4} </math> === スプライン === [[File:Spline-shaft.png|thumb|スプライン]] '''スプライン'''(spline)は、軸の周りに、キーに相当する歯を、等間隔で、多数、軸を直接加工して削りだした軸である。多くの歯で荷重を受けるため、キーよりも大きな荷重に耐えられキー軸よりも伝達動力が大きい。スプライン軸(spline shaft)ともいう。 ハブの側に、はまり合う溝を切って作っておく。 スプラインの特徴として、軸方向に移動する事もできる。 スプラインには、'''角形スプライン'''と'''インボリュートスプライン'''とがある。 スプラインの歯の側面が平行な直線であるものを、角形スプライン(parallel Spline、あるいはstraight-sided spline)という。 スプラインの歯型が、インボリュート歯型であり、歯の側面の曲線がインボリュート曲線であるスプラインを、インボリュートスプライン (involute spline)という。インボリュート曲線とは、特に断りがない限り、機械工学では、一般に、固定された円柱に巻きついた糸を、円柱自体は回転させずに真っ直ぐに張って、ほどいた時の糸の端点が描く軌跡の曲線のことである。円の伸開線ともいう。 幾何学では、円や円柱以外に巻きつけた曲線をほどく場合の伸開線も考察する場合があり、その場合もインボリュートということがあるが、機械工学では特に断らない限り、円の伸開線に限定する。 円の伸開線の式を書けば、x-y直交座標系で、媒介変数表示で書くならば、 aを円柱の外径としてθを媒介変数とすれば、式は :<math> x = a(\cos \theta + \theta \sin \theta) </math> :<math> y = a(\sin \theta - \theta \cos \theta) </math> となる。 ==== 規格 ==== * JIS B 1601で、角形スプラインについて規定している。 * JIS B 1603で、インボリュートスプラインについて規定している。 === セレーション === 軸の周りに、山形の歯を等間隔に削りだしたものセレーション(serration)という。動力伝達用に用いるのが一般である。 一般に、セレーションの歯形は、スプラインよりも歯形が小さく、歯の高さが小さい。またセレーションはスプラインよりも歯数が多くなる。 歯の形の種類は、三角歯セレーションとインボリュートセレーション(involute serration)とがある。 セレーションは、一般に軸方向には活動させず固定位置で使われる事が多い。 [[カテゴリ:高等学校工業 機械設計]]
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