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<small> [[統計力学I]] > ミクロカノニカル集合</small> ==ミクロカノニカル集合== <math>W</math> を微視的状態数として、エントロピーを <math>S = \ln W</math> で定義する。 === 圧力 === 面積 <math>A</math> の円柱状の容器に気体を入れ、質量が <math>m</math> の滑らかに動くピストンを取り付ける。ピストンの高さを <math>z</math> とすると、全系のエネルギー <math>E = U + mgz</math> は保存される。系のエントロピーは <math>S(U,z) = S(E-mgz,z)</math> であり、平衡状態ではエントロピーが最大となるから、<math>\frac{dS}{dz} = 0</math> より、 <math>-mg \left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_z + \left(\frac{\partial S}{\partial z}\right)_U = 0</math> となる。よって、圧力 <math>p</math> は <math>p = \frac{mg}{A} = \frac 1 A \frac{\left(\frac{\partial S}{\partial z}\right)_U}{\left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_z} = \frac{\left(\frac{\partial S}{\partial V}\right)_U}{\left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_V} = -\left(\frac{\partial U}{\partial V}\right)_S </math> で与えられることが分かる。また、温度 <math>T</math> と呼ばれるものを <math>\frac 1 T = \left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_V</math> で定義する。 === 理想気体の計算 === <math>N</math> 個の単原子分子の理想気体の内部エネルギーは <math>U = \frac{1}{2m}\sum_{i=1}^{3N}p_i^2</math> で与えられる。ここで、 <math>\sum_{i=1}^{3N}p_i^2 \le 2mU</math> で与えられる。<math>p_i</math> についての <math>3N</math> 次元球の体積は、 <math>\frac{(2\pi mU)^{\frac{3}{2}N}}{\Gamma(\frac{3}{2}N + 1)}</math> である。<math>N</math> は通常アヴォガドロ数程度のオーダーだから、これは <math>U</math> について急激に増加する関数である。よって、状態数は、 <math>\Omega_0(U) = \frac{1}{N!}\left(\frac{V}{(\Delta x)^3}\right)^N \frac{1}{(\Delta p)^{3N}} \frac{(2\pi mU)^{\frac{3}{2}N}}{\Gamma(\frac{3}{2}N + 1)}</math> で与えられる。量子力学によれば、<math>\Delta x \Delta p = h</math> となるから、スターリングの近似 <math>\Gamma(x) \approx x! \approx \left(\frac{x}{e}\right)^x</math> によって、 <math>\Omega_0(U) \approx \left(\frac{V}{h^3}\left(2\pi m U\right)^{\frac 3 2} \left(\frac{e}{3N/2}\right)^{\frac 3 2} \left(\frac{e}{N}\right) \right)^N </math> と近似できる。エントロピーは <math>S = \ln \Omega_0(U) = N\ln \left(\frac{V}{Nh^3}\left(\frac{4\pi m U}{3N}\right)^{\frac 3 2} \right) + \frac 5 2 N</math> となる。 この表式によれば、 <math>\left(\frac{\partial S}{\partial V}\right)_U = \frac N V</math> となる。また、 <math>\left(\frac{\partial S}{\partial V}\right)_U = \left(\frac{\partial U}{\partial V}\right)_S\left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_V = \frac{p}{T}</math> と合わせれば、 <math>pV = NT</math> を得る。ここで、ボルツマン定数を <math>k</math> として、 <math>T^* = \frac T k</math> と定義すれば、 <math>pV = NkT^*</math> となる。これは、理想気体の状態方程式であるから、<math>T^*</math> は通常の熱力学温度と一致する。また、<math>\frac 1 T = \left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_V</math> で定義された温度 <math>T</math> は、定数倍を除いて通常の熱力学温度と同じものだということが分かる。<math>T</math> はエネルギーの次元を持ち、<math>T^*</math> の次元は熱力学温度である。ボルツマン定数 <math>k</math> というのは、統計力学で定義したエネルギーの次元を持つ <math>T</math> を、使い慣れたケルヴィンに換算するための換算定数でしかない。<math>T^*</math> を使うと公式に至る所にボルツマン定数が登場するが、<math>T</math> を使えばボルツマン定数が陽に現れなくなる。また、<math>S^* = kS = k \ln W</math> とすれば、 <math>\frac 1 {T^*} = \left(\frac{\partial S^*}{\partial U}\right)_V</math> となって、<math>T^*</math> との整合性が保たれる。 もし、熱力学温度 <math>T^*</math> の式が知りたい場合は、 <math>T \to kT, S \to \frac S k</math> と変換する。 === エントロピー === <math>dS = \left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_V dU + \left(\frac{\partial S}{\partial V}\right)_U dV</math> ここで、 <math>\left(\frac{\partial S}{\partial V}\right)_U = \left(\frac{\partial U}{\partial V}\right)_S\left(\frac{\partial S}{\partial U}\right)_V = \frac{p}{T}</math> となるから、 <math>dS = \frac 1 T dU + \frac p T dV = \frac{dQ}{T}</math> 両辺に <math>k</math> をかけると、 <math>kdS = \frac{dQ}{T^*}</math> となる。これは、熱力学でのエントロピーの定義と同じであるから、 <math>kS</math> は熱力学でのエントロピーと一致するものである。 ===ミクロカノニカル集合の定義=== ある物体系を取りだして、その物体全体としてある一定のエネルギー Eを取る状態だけを取りだしたとき、その状態の集まりをその物体系の ミクロカノニカル集合という。 例えば、N個の理想気体が集まったとき、そのうちの1つだけが :<math> E= \frac 1 2 m v^2 </math> となるようなvを満たし、他の物体が静止しているとき、この物体系は エネルギーEのミクロカノニカル集合に含まれる。 ミクロカノニカル集合は結局のところ物体系の内でエネルギーの合計値が 一定になる部分だけを取りだした部分である。 ===エントロピーの統計力学的な定義=== 熱力学ではエントロピーをある系に対してdQだけの熱が 流れ込んだとき、その系は :<math> dS = \frac {dQ} T </math> だけのエントロピーを受け取ったものと定義した。 このとき、エントロピーは系の乱雑さの指標となる。 つまり、物体系を放置して外界との接触を断ったとき、 系の中の状態の変化は、系内の乱雑さをより増やす方向に 進むのである。 例えば、コーヒーとミルクを混ぜたとき、2種の飲み物が混ざるのは、 お互いがより多くの場所を占めようとして動きまわった結果と取ることが出来る。 実際にはどちらの液体も何らかの分子からなっており、それらは熱を持っている以上 常に微小な運動を行なっており、最初にかたまっていたものは(ここでは コーヒーに注ぎこまれたミルク)は速やかにコーヒー全体にいきわたってしまい、 再び同じ位置に戻って来ることは出来なくなるのである。 (粒子の分子が行なう微細な運動を歴史的な事情からブラウン運動と呼ぶ。) このことは、熱力学の第2法則の説明と見ることが出来る。 つまり、ある物体系がある他の物体系と相互作用するとき、 それらを合わせた全系では、それらが取りうる状態が最も多くなるように 運動が行なわれるである。先ほどのコーヒーとミルクの例では、 ミルクの分子にしてみれば、 コーヒーの分子とミルクの分子の相互作用は、それらの距離が互いに分子半径 程度になるまでは無視できるほど弱いので、(このことは、コーヒーとミルクの分子が 互いに電気的に中正であることによる。(多分です。化学科の人がいたらコメントを お願いします。) )それらの運動は互いに無視することができ、結局 ミルクの運動は真空(?)に保たれた箱の中に 理想気体が放たれたときと同じ情况であると 考えることが出来る。このとき 理想気体は速やかに箱全体に広がるが、このことは理想気体全体が 取りうる状態の数を増やしている。つまり、理想気体内の ここの粒子に取って自分が占めうる場所が放たれる前と 比べて増えているわけであり、これは自分が取りうる状態が 増えたものと解釈できる。 つまり、運動は結局物体が取りうる状態数が増える方向に進むのであり、 これはエントロピーの定義と一致している。 つまり、エントロピー <math>\sim</math> 状態数 のように考えることが出来る。 しかし、これらの状態数の数は非常に多くのものになりうる。 このことは、ある1molの理想気体を取りだしたとき、その中には <math>10 ^{23}</math>個もの粒子が含まれていることから明白である。 これらの状態数を簡便に扱うために、エントロピーSは状態数wを用いて、 :<math> s = k _B \ln w </math> と定義することが一般的である。 ここで、<math>k _B</math>はボルツマン定数といい、次元は [J/K]である。 :<math> S = dQ /T </math> としたとき、次元が整合的になっていることに注意。 ===等重率の仮定=== ある物体系を取ったとき、それらの内でエネルギーが 等しいものは全て等しい確率で実現されるという仮定を 等重率の仮定と呼ぶ。これらはつまり、あるミクロカノニカル集合 を取ったとき、それらの全ての状態が等しい確率で 実現されるということを要求している。 これらは非常に数多くの物体系が互いに頻繁にお互いのエネルギーを 交換しているとき、うまく実現されうると考えられる。 ただし、ある1つの物体を除いて全ての物体が静止しているという極端な 情况もおこり得ることを予測してしまうように思える。 実際そのとおりなのだがこれらは等重率の仮定をおいてもやはり非常に 起こりづらくなっている。 例えば、ある100個の物体がそれぞれ100個のエネルギーが異なる 状態を占め得るとし、それぞれの物体が取り得る状態のもつエネルギーは 互いに同じであるものとし、エネルギーごとの間隔も同じであるものとする。 このとき、エネルギーを100単位これらの間で分けるとき、 ある1つが全てのエネルギーを受け取る場合の数は 100個の物体についてそれらが起こり得るので100通りであるが、 100個の物体が1個ずつ分けあう場合の数は、 最初の1単位を受け取る仕方が100通り、次が99通り、次が98通りというように 数えて行くと、100!だけあることが分かる。 つまり、等重率の仮定をおくと1つの粒子が全てのエネルギーを 1つの粒子が持って行くような極端な場合が排除されるので 合理的な仮定と呼ぶことが出来る。 また、エネルギーだけによって物体系の取り得る状態が決まるという 非常にわかりやすい描像が得られる。 ===ミクロカノニカル集合による温度の計算=== ====計算の準備==== 熱力学的な関係から、 温度は :<math> T = \frac{\partial{E}}{\partial{S}} </math> によって定められる。 ミクロカノニカル集合を用いて計算を行なう場合、 ある物体系を取ってその物体系の状態からあるエネルギーEに対応する ミクロカノニカル集合を取りだしたとき、 その状態数を数えることで物体のエントロピーが得られる。 つまり、あるEに対するエントロピーTが決まるので、それを用いて 温度を計算することが出来、ある物理系の状態を定めたときの エネルギーの値を計算することが出来るのである。 これらの計算ではしばしばスターリングの公式が用いられる。 この式は、 :<math> \ln n! = n\ln n - n </math> で与えられる。 この式はガンマ関数に複素関数の最急降下法を適用することで 得ることができるが、数値的には簡単に確認することが出来る。 確認するためのコードの例はこのようになる。 この例はpythonを用いた。 #stirling fomula number _of _ns =5 from math import log class stirling: def _ _init _ _(self): pass #will give n ln n - n. def n _ln _n _minus _n(self,n): return n *log(n) - n #will give ln n!. def ln _factorial(self,n): factorial=1 for i in range (1,n+1): factorial*= i return log(factorial) #Then try to print out the result. def output(self): for i in range(number _of _ns): n = 10**i print "%s for n" % n print "%s for nln-n" % self.n _ln _n _minus _n(n) print "%s for ln n!" % self.ln _factorial(n) #If not used by ''unittest'' module or PyUnit, please #try to use that. if _ _name _ _ == " _ _main _ _": stirling = stirling() stirling.output() (他の言語で書いた例もあるとおもしろいかも。) 結果としては、 10 for n 13.0258509299 for nln-n 15.1044125731 for ln n! 100 for n 360.517018599 for nln-n 363.739375556 for ln n! 1000 for n 5907.75527898 for nln-n 5912.12817849 for ln n! 10000 for n 82103.4037198 for nln-n 82108.9278368 for ln n! 特にnが大きくなるにつれてお互いの値が近づいて行く様子に 注目して欲しい。特にnが<math>10^{23}</math>程度なら この近似はきわめて良いと考えられる。 ====2準位系を用いた例==== 特に、ある粒子が2つの状態しか持たない例を考える。 これは古典的には粒子の状態はx,pのそれぞれについて連続的に なっているので起こり得ない状態だが、 量子系では、粒子の状態は離散的になっているのでいろいろな 情况で実現される。 例えば、水素原子のまわりに束縛された粒子は 1つの量子数で代表されるエネルギー準位を持っているが、 温度が十分低いときには、そのエネルギー準位のうちで一番 低い準位と2番目に低い準位だけに電子が入る可能性があり、 他の準位は無視できることがある。(それらは エネルギーが高すぎて到底外界からの熱エネルギーでは 励起されることが出来ない。) *(TODO 選択則はどうなる?) この場合にはほとんど2準位だけが重要となっているのである。 このとき、 エネルギーが低い方の状態のエネルギーを0,エネルギーが高い方の 状態のエネルギーを<math>\mu</math>とおく。 N個の粒子がこのような状態のどちらかだけを取り、 これらが互いにおおよそ独立であり、しかし、熱平衡にいたる程度には 相互作用しあうという情况があったなら、 これらの系のエントロピーはエネルギー :<math> E = \mu M </math> に対して、(M個の粒子だけが高いエネルギー状態にいることに対応。) :<math> S = k _B \ln \frac {N!} {M! (N-M)!} </math> で与えられる。 これらをスターリングの公式を用いて変形すると、 :<math> \begin{align} S &=k _B \{ N \ln N - N - (M \ln M - M ) - ((N-M) \ln (N-M) - (N-M) ) \\ &\sim k _B \{ N \ln N - N - (M \ln M - M ) - ((N-M) \ln (N-M) - (N-M) ) \\ &\sim k _B \{ N \ln N - (M \ln M - M ) - ((N-M) \ln (N-M) - (-M) ) \\ &\sim k _B \{ N \ln N - (M \ln M - M ) - ((N-M) (\ln N + M /N ) - (-M) ) \\ &\sim k _B \{ - (M \ln M - M ) - (-M \ln N + (N-M) ( + M /N ) - (-M) ) \\ &\sim k _B \{ - (M \ln M - M ) +M \ln N \} \end{align} </math> が得られる。 よって、 :<math> \begin{matrix} S &= k _B M (\ln N - \ln M +1 )\\ &= k _B \frac E \mu (\ln N - \ln \frac E \mu +1 )\\ \end{matrix} </math> が得られるが、この式から、 :<math> \begin{align} \frac 1 T &= \frac{\partial{{ S }}}{\partial{{ E}}} \\ &= k _B (\frac 1 \mu ) \{ \ln \frac {N \mu } {E} + 1) + \frac E \mu (- \frac 1 E ) \}\\ &= k _B (\frac 1 \mu ) \{ \ln \frac {N \mu } {E} ) \}\\ \end{align} </math> が得られる。これをEについて解くと、 :<math> \begin{align} \frac \mu {k _B T} &= \ln \frac {N \mu } {E} \\ e^{\frac \mu {k _B T}} &= \frac {N \mu } {E} \end{align} </math> よって、 :<math> E = N \mu e^{-\frac \mu {k _B T}} </math> が得られる。 これによって、ある温度Tが与えられたときのエネルギーが求められた。 この式ではTがきわめて大きいとき、 :<math> E = N \mu </math> が得られる。この式は、温度が高いときには 全ての粒子がエネルギーが高い状態にたたき上げられているように 見えるという物理的意味を持っている。 (?) ( *FIXME ここは間違い。後にカノニカル集合を用いて計算すると 全ての状態のうちで半分だけが叩き上げられるように見えることが分かる。 Tが大きくなる近似は :<math> \sim e^{-\beta E} \sim 1 </math> とする近似なので、この結果は当然である。 ) また、Tが0に近いときには、(Tは[K]で測っているので 0より小さくはなれないことに注意。) :<math> E = 0 </math> が得られるが、これは全ての状態がエネルギーの低い方の状態 (ここではエネルギー0としている。)に存在していることを 示している。 このことは、低温では外部から流れ込むエネルギーが 準位間の遷移を可能にするほど大きくないという解釈が出来る。 ( *こちらはok ) == ラグランジュの未定乗数法 == (未記述) [[カテゴリ:統計力学|とうけいりきかく1 みくろかのにかるしゆうこう]]
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