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== そもそも数論とは、素数とは == ゼータ関数論は数論の一分野である。しかし、突然そう言われてもどんな分野なのかいまいちピンとこない。そもそも、まず、数論とは何を扱う数学分野なのであろうか。数論は整数論とも言われ、群・環・体のような概念を扱う代数的数論も存在するが、基本的には整数に関する問題を扱う分野である。例えば、自然数<ref group="注">1から始まる正の整数は自然数と呼ばれる(1, 2, 3,...)。ただし、0を自然数に含めることもある。</ref>というものを学校で習ったかもしれない。自然数は[[w:ペアノの公理]]によって特徴づけられるものである<ref>大阪教育大(2011)『[http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~ybaba/suhron_nyumon.pdf 数論入門]』2ページ。</ref>。ペアノの公理が何かという説明はここではしないが、ペアノの公理によって、自然数に関する命題に対し、数学的帰納法という証明方法が可能になる。中学校で習う「自然数」とか「数学的帰納法」は数論のごく初等的な部分である。 このように基本的には整数に関する問題を扱うのが数論であるが、整数に関する問題で、長い間研究されているにもかかわらず、未だに謎の多いものがある。それは素数に関する問題である。素数とは1とその数自身以外では割り切れない2以上の自然数のことをいう。素数を要素とする数列に対して一般項を求めることはできるのか、自然数の中に素数がどのような間隔で分布しているのか、あるいは双子素数というものが無限に存在するのか、など、素数に関する謎はたくさんある。 この謎多き素数というものに深いかかわりを持つのがゼータ関数なのである。ゼータ関数にもやはり謎が多い。ゼータ関数に関する未解決問題として有名なものにリーマン予想がある。リーマン予想の証明にはたくさんの(歴史に名が残るレベルの)天才学者が挑んだが、現在のところ、未だにリーマンの予想の証明はされていない。リーマン予想証明に取り組んだジョン・ナッシュ博士は、リーマン予想証明のあまりの難しさに精神を病んでしまったと言われている。しかし、ジョン・ナッシュ博士は、その後、ゲーム理論の分野でノーベル経済学賞を受賞した。 == はじめに == 本書の読者に、次のような問いを考えていただきたい。 :<math>1+2+3+4+\cdots=?</math> この級数の総和はいくつであろうか。1+2+3+4+・・・と足していくだけの級数<ref group="注">級数とは数列の項の総和である。例えば2+4+6+8+...は偶数を無限に足し合わせる級数である。</ref>である。自然数を順番に足していけば、普通に考えれば最終的に無限大になるはずだ、と思うかもしれない。実は、その考えは正解で、この級数は発散する。<ref group="注">nを大きくしていったとき、級数の総和が一定の値に近付くなら、「収束する」という。収束しない級数は「発散する」という。</ref>級数の総和が発散するのであれば、通常の意味での和は存在しない。 しかし、中世ヨーロッパの数学者であるレオンハルト・オイラーはこの級数、つまり自然数の総和について次のような答えを出した。 :<math>1+2+3+4+\cdots=-\frac{1}{12}</math> 総和が無限大に発散するはずなのに、マイナスの値になっている。しかし、オイラーは間違った答えを出したわけではない。自然数の総和が発散するというのも正解であるが、オイラーの出した答えもある意味では正解なのである。つまり、このように発散する級数に数学的に意味のある有限な数値を割り当てる方法があり、得られた値は複素解析や物理学における[[w:場の量子論]]、特に[[w:弦理論]]などで利用されている<ref>日本語版Wikipedia「[https://ja.wikipedia.org/wiki/1%2B2%2B3%2B4%2B%E2%80%A6 1+2+3+4+...]」2014年12月23日閲覧。</ref>。この方法は[[w:解析接続]]と呼ばれるものである。 実は、自然数の総和がマイナスの値になる非直観的な結果は、本書の中心的な題であるゼータ関数について考察した結果である。ゼータ関数とはなんであろうか。有名なのはリーマンゼータ関数である。リーマンゼータ関数は、sを複素変数として、 :<math>\zeta(s) =\frac{1}{1^s}+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+\frac{1}{4^s}+\cdots = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}</math> と定義される。<ref>[http://www.jst.go.jp/crest/math/ja/caravan/20131117_Okayama/4)Nakasuji.pdf 上智大学スライド資料]</ref><ref group="注">なお、シグマ(Σ)の下に「n=1」、上に「無限大(∞)」と書かれているが、これは直観的には「n=1から1ずつ大きくしていき、n=無限大までの、数列の項をすべて足す(級数)」という意味だと思えばよい。シグマ(Σ)の下に「n=5」、上に「10」だとすれば、「n=5から1ずつ大きくしていき、n=10までの数列の項をすべて足す」という意味になることと同じように意味を定めた。</ref> ここで、s = -1 としよう。すると、ゼータ関数は次のようになる。 :<math>\zeta(-1) = 1+2+3+4+\cdots</math> この値が-1/12になる、というのが、冒頭でふれたオイラーによる「自然数の総和が -1/12 」という式である。 これ以外にも、ゼータ関数の具体的な数値として、以下のようなものが知られている。<ref name="riemann">日本語版Wikipedia「[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%83%BC%E3%82%BF%E9%96%A2%E6%95%B0 リーマンゼータ関数]」2014年12月23日閲覧。</ref> <div style="line-height: 70px;"> :<math>\zeta (0)=-\frac{1}{2}</math> :<math>\zeta (1)=\sum^{\infin}_{n=1} {1\over {n}} = \infty</math> :<math>\zeta (2)=\sum^{\infin}_{n=1} {1\over{n^2}}={\pi^2 \over 6} =1.6449\dots</math> :<math>\zeta (3)=\sum^{\infin}_{n=1} {1\over {n^3}} = 1.20205\dots</math> :<math>\zeta (4)=\sum^{\infin}_{n=1} {1\over{n^4}}={\pi^4 \over 90} =1.0823\dots</math> :<math>\zeta (5)=\sum^{\infin}_{n=1} {1\over {n^5}} = 1.03692\dots</math> :<math>\zeta (6)=\sum^{\infin}_{n=1} {1\over{n^6}}={\pi^6 \over 945} =1.0173\dots</math> </div> 円なんて関係ないのに、なぜ総和に円周率π(円の直径に対する円周長の比率)が出現するのか、またなぜ総和がマイナスになるのか、非常に奇妙であるという印象を受けるかもしれない。このように奇妙なゼータ関数であるが、ゼータ関数は素数とも深いかかわりを持っており、「素数はどれくらいたくさんあるか」という問題に対してもゼータ関数が用いられる<ref>中川仁(2010)『[http://www.juen.ac.jp/math/nakagawa/riemannzeta.pdf 代数学特論 リーマンのゼータ関数と素数分布について]』1ページ。</ref>。ゼータ関数は数論の分野では非常に重要な存在である。本書の目的は、このようなゼータ関数論の基礎を学ぶことである。 なお、日本語版Wikipediaによれば、リーマンゼータ関数以外にもゼータ関数として次のようなものがある。<ref>日本語版Wikipedia「[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%BC%E3%82%BF%E5%87%BD%E6%95%B0 ゼータ関数]」2014年12月23日閲覧。なお、表記を統一するため、「函数」を「関数」に変更した。</ref> * デデキントゼータ関数 * 数論的ゼータ関数 * ゼータ関数 (作用素) * ナクシサンドラム-プレイジェルゼータ関数 * 合同ゼータ関数(局所ゼータ関数とも言う) * セルバーグゼータ関数 * フルヴィッツのゼータ関数 * エプシュタインのゼータ関数 * ハッセ・ヴェイユのゼータ関数 しかし、本書ではリーマンゼータ関数や数論的ゼータ関数を中心に扱うことにする。 == 注釈 == <references group="注" /> == 参考文献 == [[カテゴリ:数論|ζかんすうろん はしめに]] [[カテゴリ:関数]]
数学/ゼータ関数論/はじめに
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