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大学受験物理/力学
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{{pathnav|frame=1|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校物理|大学受験物理}} ==速度・加速度== 例題・問題の解答解説は[[大学受験物理/力学/解答解説|解答解説]]を参照。 ===等速度運動=== [[w:等速度運動|等速度運動]]は、[[w:速度|速度]]または速度の大きさが[[w:時間|時間]]によらず一定な運動である。特に、運動の向きが常に一定である運動を[[w:等速直線運動|等速直線運動]]という。 例えば、自動車が 6 秒間だけ速度 10 m/s で走った場合、その間の自動車の[[w:変位|変位]] <math>x</math> は、 :<math>x = 10 \ \mathrm{m/s} \times 6 \ \mathrm{s} = 60 \ \mathrm{m}</math> である。 ===等加速度運動=== [[w:加速度|加速度]]とは、単位時間当たりの速度の時間変化率のことである。 例えば時刻 0 s で速度が 2 m/s であり時刻 2 s で速度が 12 m/s だったとすると、その間の加速度 <math>a</math> は、 :<math>a = \frac{12 \ \mathrm{m/s} - 2 \ \mathrm{m/s}}{2 \ \mathrm{s} - 0 \ \mathrm{s}} = 5 \ \mathrm{m/s}^2</math> である。 次に加速度が一定である場合の速度や変位を考えよう。物体の運動方向に向かって <math>x</math> 軸をとる。 [[File:V-t.png|left|thumb|等加速度運動の<math>\scriptstyle v - t</math> グラフ。<br /> 縦軸に速度、横軸に時刻をとる。]] まず、速度 <math>v</math> を求める。左のグラフの通り、時間当たりの速度の変化が加速度 <math>a</math> にあたるので、初速度を <math>v_0</math> とすれば、時刻 <math>t</math> における速度として :<math>v = v_0 + at</math> が得られる。 次に、変位 <math>x</math> を考える。変位は <math>v-t</math> グラフの面積に等しいので、 :<math>x = \frac{(v_0 + v)t}{2} = v_0 t + \frac{1}{2}at^2</math> である。最後に速度 <math>v</math> の式を :<math>t = \frac{v-v_0}{a}</math> と変形し、変位 <math>x</math> の式に代入すれば、 :<math>v^2-v_0^2 = 2ax</math> となる。 まとめると、次のようになる。 *等加速度運動する物体の速度と時刻の公式 :<math>v=v_0+at</math> *等加速度運動する物体の変位と時刻の公式 :<math>x=v_0t+\frac{1}{2}at^2</math> *等加速度運動する物体の速度と変位の公式 :<math>v^2 - v_0^2 = 2ax</math> 3 つ目の公式には時刻 <math>t</math> があらわには入らない。また、この関係は[[w:エネルギー保存の法則|エネルギー保存の法則]]から導出することができる。 <div class="NavFrame"> <div class="NavHead">[--Advanced--]</div> <div class="NavContent"> 以上の説明をもっと簡潔にするならば、[[w:微分|微分法]]と[[w:積分|積分法]]の考えが必要になる。変位を <math>x</math>、速度を <math>v</math>、加速度を <math>a</math> とする。まずは加速度 <math>a</math> から順を追って説明しよう。加速度 <math>a(t)</math> は次のように定義される。 :<math>a(t)=\frac{dv(t)}{dt}</math> これは速度 <math>v(t)</math> を変数 <math>t</math>(ここでは時刻のこと)について[[w:微分|微分]]した、という意味である。図形的な理解として、微分とは曲線の接線を引くこと、特に接線の傾きを求めることに対応している。物理学では小さな変化に対してどれだけ鋭敏な反応が起こるか確かめるために微分を使ったりする。 では反対に<ref>'''[[w:微分積分学の基本定理|微分積分学の基本定理]]が成り立つ限りにおいて'''、積分と微分は互いの逆変換となる。この限りにおいて、微分の「反対」は積分となる。よく知られているように、[[w:アイザック・ニュートン|アイザック・ニュートン]]と[[w:ゴットフリート・ライプニッツ|ゴットフリート・ライプニッツ]]は幾何学的な方法に頼まず、算術として基本定理が成り立つことを発見している。純粋に幾何学を用いた方法では、彼らに先立つ先駆者が数名いる。</ref>、<math>a</math> を[[w:積分|積分]]したらどうだろうか<ref>大雑把に言って積分とは合計を求めることである。たとえば時々刻々の時給を計算して月々の収入(ないし給与額)を算出しているとき、人は積分をしているのである。物理学に限らず有用な例として、[[w:確率|確率]]や[[w:期待値|期待値]]の計算もまた積分の考えを利用したものである。</ref>。ここで <math>a</math> は定数とする。 :<math>\int a \, dt=at+\mathrm{C}=v(t)</math>(<math>\mathrm{C}</math> は積分定数) すなわち、速度は加速度の積分で得られるということである。また、積分の最初の時刻を <math>t = 0</math> とすれば積分定数 <math>\mathrm{C}</math> は初速度 <math>v(0) = v_0</math> に化ける。ところで上記の関係を定義に従って、微分を用いて書いてみよう。 :<math>\int_0^t a(t')\,dt' = \int_0^t \frac{dv(t')}{dt'}\,dt'</math> 現在用いられている微分と積分の記法は微分積分学の建設者の一人である[[w:ゴットフリート・ライプニッツ|ライプニッツ]]に由来するが、ライプニッツは便利な記法を開発している。上記の式は積分変数を時刻 <math>t'</math> から速度 <math>v(t')</math> に乗り換えることができ :<math>\int_0^t \frac{dv(t')}{dt'}\,dt' = \int_{v(0)}^{v(t)} dv(t') = v(t) - v(0)</math> と計算できる。あたかも単なる数であるかのように <math>dt'</math> を消去することができ、あとは時間ごとの速度差 <math>dv(t')</math> を足し算していけば、結局中間の時刻における速度の寄与は相殺され、最初と最後の時刻における速度の差 <math>v(t) - v(0)</math> に書き換えられる。 さて、話を物理に戻そう。速度 <math>v</math> は微分の考えを適用すれば次のように定義できる。 :<math>v(t) = \frac{dx(t)}{dt}</math> 従って同様に、初速度 <math>v_0</math> があるものとして <math>v(t)</math> を積分すれば、 :<math>x(t) = \int v(t) \, dt=\int v_0+at \, dt=v_0t+\frac{1}{2}at^2</math> となる。このように微分法・積分法を用いればシンプルに公式を導出することができるのだが、頻繁に用いられるため上記3式は覚えるべきである。 </div> </div> ---- ;例題 1 - 1 :ある電車は加速度 1.0 m/s<sup>2</sup> で加速し、その最高速度は 72 km/h まで達する<ref>現実的には走行速度などによらず一定の加速度を得ることは難しい。特に最高速度が機械的な限界によって規定される場合には尚更である。しかし物理学において、このような非常に大雑把な線引きをしてみると役に立つことが多い。</ref>。線路中に速度制限はないものとする<ref>危険である。しかしながら物理的には可能であるし、これは物理の例題なので現実の法的問題には触れないこととする。</ref>。以下の問いについて[[w:有効数字|有効数字]] 2 桁で答えよ。 (1) 電車の最高速度を単位 m/s で表せ。 :A 駅を出発して B 駅で到着するとき、速度 <math>v</math> と時刻 <math>t</math> の関係は以下のようになった。このグラフを <math>v-t</math> グラフという。 [[File:Exercise1.png|left|thumb|<math>\scriptstyle v-t</math> グラフ]] (2) 減速時の加速度を求めよ。 (3) A 駅から B 駅への距離はいくらか。 (4) これまでの問いを参考にして、電車の A 駅からの変位 <math>x</math> と時刻の関係を表す <math>x-t</math> グラフを描け。 {{Clear}} ところで、有効数字 2 桁とはどういう意味だろうか。有効数字とはその数値のうち信頼できる桁の数を示す。 例えば 5.4270019 という値が測定されても、その測定値の有効数字が 2 桁であれば信頼できる値は初めの 2 桁だけ(つまりこの場合は 5.4 まで)である。同様に 5.3794306 という値が測定された場合、有効数字が 2 桁であればその測定値は 3 桁目を[[w:四捨五入|四捨五入]]して 5.4 と評価される。 このように有効数字は測定値のうち測定誤差の影響の比較的小さい部分を簡便に評価することに使われる。測定値の評価法として正統な方法は、有効数字ではなく測定値の[[w:不確かさ|不確かさ]]を評価することであるが、(傾向だけ分かれば済むような)大雑把な評価で間に合う場合には有効桁数だけに気を使えばよい。 有効数字の桁数は数字が何個あるかを考えれば良い。ただし、最初が 0 で始まる数値(例:0.52)などは小数点の後からを数える。 *'''例''' :1.3 → 有効数字 2 桁、0.2 → 有効数字 1 桁 :5.573 → 有効数字 4 桁、−0.84 → 有効数字 2 桁 有効数字を使った評価をする際、測定値を[[w:指数表記|指数表記]]、つまり :<math>x \times 10^n, \quad 0 \le x < 10,\, n=\ldots,-1,0,1,\ldots</math> のような形式に書き換えたほうが分かりやすい。たとえば :340.5 → 3.405 × 10<sup>2</sup> :0.00602 → 6.02 × 10<sup>−3</sup> :12000.0 → 1.20000 × 10<sup>4</sup> これは小数点の位置を固定した表記法の場合、有効桁数が正確に伝わらない可能性があるためである。ただし有効数字の桁を明示しておくほうが簡単かつ適切なことが多い。 ---- ====相対速度==== [[w:相対速度|相対速度]]は問題文などでは通常「B に対する A の速度」などと書かれるが、これを「B が見る A の見かけの速度」と読み替えても同義である<ref>厳密には「同義である」と仮定する。この仮定は[[w:ガリレイの相対性原理|ガリレイの相対性原理]]から導かれる。</ref>。 例えば同じ方向へ走行する自動車 A, B があり、A が 40 km/h、B が 70 km/h で走行しているとき、A の車内からは B が前方へ向けて 30 km/h で移動しているように見える。B から A を見た場合は、A が後方へ向けて 30 km/h で移動しているように見える。 一般的に「B に対する A の速度」は、次のように表せられる。A の速度を <math>v_\mathrm{A}</math>、B の速度を <math>v_\mathrm{B}</math>、相対速度を <math>v_\mathrm{r}</math> とすれば(添字の r は相対 relative の頭文字を表している)、 <math>v_\mathrm{r} = v_\mathrm{B} - v_\mathrm{A}</math> 言い換えると、「(相対速度)=(相手の速度)−(自分の速度)」である。それでは、例題 1 - 2 を解いてみよう。 ---- ;例題 1 - 2 :速さ 10 m/s の車と速さ 4.0 m/s の猫が平行して走っている。このとき、車で座っている犬に対する相対速度を求めよ。ただし犬と猫はお互いの存在に気づいていないものとする<ref>従って、相手を見て興奮したり威嚇したり、そうしたことによって相対速度が変化するようなことはない。</ref>。 ---- ====落下運動==== 落下運動は[[w:重力|重力]]の作用によって生じる物体の運動、平たく言えば物が落ちるときの動きのことである。基本的には鉛直上向きに正を取れば良い(ただし、問題文に指定がある場合はその指示に従うこと)。 したがって、上記の3つの公式を用いる。ただし、地球表面近傍で落下する物体の加速度は <math>g = 9.8 ~\mathrm{m/s^2}</math> である(出題されることは多くないが、月面での落下運動の問題では地球上の 1/6 程度の値が加速度の値として採用されることが多い)。重力によって生じる加速度は'''[[w:重力加速度|重力加速度]]'''と呼ばれる(なお、地球上での落下運動問題でよく使われる重力加速度の値は、[[w:標準重力加速度|標準重力加速度]]の近似値である)。 この重力加速度の大きさの導出については[[#万有引力|「万有引力」]]の項で触れる。それでは、それぞれのパターンについて考えていこう。 *'''自由落下'''[[File:Free-fall.gif|right|thumb|自由落下]] 初速度 0 で静かに物体を離した時の落下運動を'''自由落下'''という。 *'''鉛直投げ上げ・鉛直投げ下ろし''' 鉛直上向きに初速度を与えた落下運動を'''鉛直投げ上げ'''といい、鉛直下向きに初速度を与えた落下運動を'''鉛直投げ下ろし'''という。 ---- ;例題1 - 3 高さ 19.6 m <ref>数値計算の能力を問うような問題でない限り、計算が煩雑にならないような数値が用いられることが多い。たとえば 19.6 は 9.8 で割り切ることができる。</ref>の小ビルの屋上から小球を落とす<ref>この行動が如何に危険であるかについては説明を省く。物理学の素晴らしいことは実際に行動せずとも、紙面の上や思考の中でそれを確認できることである。</ref>。次の各問いに有効数字 2 桁で答えよ。ただし重力加速度を 9.8 m/s<sup>2</sup> とし、鉛直下向きを正とする。 〔1〕 まず、小球を静かに落とした。 :(1) 地面まで落ちるのにかかった時間はいくらか。 :(2) 地面に達する直前の速さはいくらか。 〔2〕 次に鉛直上向きに 14.7 m/s の速さで投げ上げて落とした。 :(1) 地面まで落ちるのにかかった時間はいくらか。 :(2) 小球が最高点に達した時の地面からの高さはいくらか。 :(3) 地面に達する直前の速さはいくらか。 *Tips ところで落下運動において最高点は <math>v = 0</math> となったときの高さであるが、このような問題は頻繁に問われるため公式の1つとして覚えておくと良い。では導いてみよう。 鉛直投げ上げを考えよう。鉛直上向きを正とする。速度と変位の公式 <math>v^2-{v_0}^2=2ax</math> を用いてみる。最高点 <math>y</math> ではその時の速さは 0 m/s なので、重力加速度を <math>g</math> とすると、<math>-{v_0}^2 = -2gy</math> となる。よって、<math>y=\frac{{v_0}^2}{2g}</math> が求まる。 次にそのときの時刻 <math>t</math> を求めてみよう。速度と時刻の公式 <math>v=v_0+at</math> より、<math>0=v_0-gt</math> なので、<math>t=\frac{v_0}{g}</math> が求まる。 この 2 つの式は、この後学習する斜方投射の問題で役に立つ。 ---- 次の 2 つは水平方向、鉛直方向の 2 方向に分けて考えると良い。ただし、水平方向は右向きを正に、鉛直方向は上向きを正に取ることが多い。 *'''水平投射''' :水平投射とは、水平方向に初速度を付けて落下させる運動のことである。 物体は何か力が加わらなければ、運動の状態を変える事はない。したがって水平投射のとき、受ける力は重力ただ一つであるから、鉛直方向だけ自由落下の運動となるのである。 *'''斜方投射'''[[File:Casting obliquely.gif|right|thumb|斜方投射]] :斜方投射とは、斜めに初速度を付けて落下させる運動のことである。 水平面とのなす角が <math>\theta</math> の向きに初速度 <math>v_0</math> で物体を投げ上げたとしよう。このとき、速度は分解できるから[[w:空間ベクトル|ベクトル]]で表すことができ、<math>\vec{v_0}=(v_0\cos\theta,v_0\sin\theta)</math> と表せられる。 この2つに分けて考えると、まず水平方向について、初速度 <math>v_0\cos\theta</math> で水平方向には力が何も働いていないので等速運動をしている。それに対して鉛直方向は、初速度 <math>v_0\sin\theta</math> で投げあげて加速度 <math>g</math> で落下している運動に等しい。 以上をまとめると、以下の表になる。 {| class="wikitable" |- ! 運動 !! 垂直方向 !! 鉛直方向 |- | '''水平投射''' || 自由落下 || 等速運動 |- | '''斜方投射''' || 鉛直投げ上げ/投げ下ろし || 等速運動 |} ---- ;例題 1 - 4 :次の文章の空所に適切な値を入れよ。 [[File:PoUE exercise3.svg|left|thumb]] :左図のように、大砲で初速度 <math>9.8\sqrt{2} \,\mathrm{m/s}</math> で上方 45°に弾を打ち上げた。大砲と弾は大きさを無視できるものとする。以下の空欄について、有効数字 2 桁で答えよ。 (1) 砲弾が着地した時刻は発射時刻から数えて [ ア ] s であり、その時の砲弾の速さは[ イ ] m/s である。さらに砲弾が着地した場所は発射位置から[ ウ ] m 先である。ただし、重力加速度を 9.8 m/s<sup>2</sup> とする。 (2) 砲弾が到達する最高点の高さは [ エ ] m であり、その時の砲弾の速さは[ オ ] m/s である。さらに砲弾が最高点に達する時刻は発射時刻から数えて [ カ ] s である。 {{Clear}} ---- ;例題 1 - 5 :斜方投射において、その軌道は放物線を描くのはなぜか。説明せよ。 ---- *'''問題1''' :2 つ小球 A, B ははじめ互いに距離 <math>l</math> だけ離れている。小球 A を初速度 <math>v_0</math>、水平面とのなす角度 <math>\theta</math> で水平面上から投げ、同時に小球 B を水平面から高さ <math>h</math> の位置から静かに落下させた。小球 A と小球 B は時刻 <math>t</math> のときに衝突したという。重力加速度を <math>g</math> として以下の問いに答えよ。水平方向右向き・鉛直方向上向きを正とする。<ref>ちなみに、このように自由落下した物体を斜方投射により衝突させるような状況を「モンキー・ハンティング」という(Aは弾丸、Bは猿である)。</ref> [[File:Exercise4.png|center|thumb]] (1) 時刻 <math>t' \,(t' < t)</math> のときの A, B の変位を水平方向と鉛直方向に分けてそれぞれ表せ。 (2) 時刻 <math>t'</math> のとき、B に対する A の相対速度の大きさを求めよ。 (3) 時刻 <math>t</math> を、はじめの時刻での AB 間の距離 <math>l</math>、B の落下する高さ <math>h</math>、A の投射角 <math>\theta</math>、A の初速度 <math>v_0</math> を用いて 2 通りに表せ。 (4) <math>\tan\theta</math> を求めよ。ただし、はじめの時刻での AB 間の距離 <math>l</math>、B の落下する高さ <math>h</math>、重力加速度 <math>g</math>、A の投射角 <math>\theta</math>、A の初速度 <math>v_0</math> の中から必要なものを用いよ。また、この結果からどのようなことが言えるか。簡潔に記せ。 (5) 問題文及び (1)~(4) の状況が成り立つような <math>h</math> の条件を求めよ。ただし、はじめの時刻での AB 間の距離 <math>l</math>、重力加速度 <math>g</math>、A の投射角 <math>\theta</math>、A の初速度 <math>v_0</math> を用いよ。 ---- ==力== [[w:力|力]]とは、物体の運動を変化させる原因となる作用のことである。日常的には力とはパワーであると言われるが、英語表記は "force" であって "power" ではない。物理学におけるパワーは単位時間当たりにどれだけ[[w:仕事 (物理学)|仕事]]ができるか、あるいは単位時間当たりに伝播される[[w:エネルギー|エネルギー]]を示す量であり、力学でいうところの力とは異なる量である。 一般的には力の大きさを表す単位として[[w:ニュートン|ニュートン]](単位記号:N)が用いられる。他にも[[w:重量キログラム|キログラム重]](単位記号:kgf)なども力の単位として用いられることがある。ニュートンは[[w:メートル|メートル]] (m)、[[w:秒|秒]] (s)、[[w:キログラム|キログラム]] (kg) の積によって組み立てられる。 :<math>\mathrm{N} = \mathrm{kg \cdot m / s^2}</math> つまり[[w:質量|質量]](この場合、単位は kg)と加速度(この場合、単位は m/s<sup>2</sup>)の積として構成される。 <ref>これは、「運動の第2法則」 <math>ma = F</math> により理解されるだろう。</ref> 高校物理において、力は物体に触れて初めて作用する力と、触れなくても作用する力の2つに分類される。前者は'''接触力'''、後者は'''非接触力'''と呼ばれる。接触力には押す力や糸の張力、ばねの弾性力などたくさんあるが、非接触力は[[w:万有引力|万有引力]]や[[w:静電気力|静電気力]]、[[w:磁気|磁気力]]の3つしかない。 ===運動の法則=== 運動の法則は、物体の運動に関して得られた経験則を[[w:アイザック・ニュートン|アイザック・ニュートン]]が整理し定式化したものであり<ref>とは言えニュートンの定式化は現在親しまれる形式とは幾分異なっている。現代的な形式の素地となっているのは数学的には[[w:レオンハルト・オイラー|レオンハルト・オイラー]]の仕事であり、物理的には[[w:ジャン・ル・ロン・ダランベール|ジャン・ル・ロン・ダランベール]]の仕事であるとされる。</ref>、力学における第一原理となっている重要な法則である。ニュートンによる定式化は以下の 3 つの法則としてまとめることができる。 [[File:Skaters showing newtons third law.svg|right|thumb|作用・反作用の法則]] *'''運動の第1法則''' :すべての[[w:物体|物体]]は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止し続け、運動している物体は運動を続ける。'''[[w:慣性の法則|慣性の法則]]'''とも呼ばれる。 *'''運動の第2法則''' :物体に[[w:力|力]]が働いているならば、物体に力が働いている方向へ加速度が生じ、物体の運動の加速度はその合力の大きさに[[w:比例|比例]]し、[[w:質量|質量]]に[[w:反比例|反比例]]する。すなわち、物体の質量を <math>m</math>、加速度を <math>a</math>、物体に働く力を <math>F</math> とすれば ::<math>ma = F</math> :である。[[w:運動の第2法則|運動の第2法則]]は単に'''運動の法則'''とも呼ばれる。運動の第2法則については後に詳しく解説する。 *'''運動の第3法則''' :一方が受ける力と他方が受ける力は向きが反対で大きさが等しい。この法則は後述の力の法則と混同しやすい。'''[[w:作用・反作用の法則|作用・反作用の法則]]'''とも呼ばれる。 :例えば、右図のようにスケートリンク上で左の人が相手を押すと右側の人には力 <math>\vec{F_1}</math> が加わる。作用・反作用の法則は、押された右の人から左の人に力 <math>\vec{F_2}</math> が加えられること、2 つの力の大きさは互いに等しく、力の向きは正反対であることを示す。つまり ::<math>F_1 = -F_2</math> :が成り立つ。 ===力の種類=== 物体には様々な力がかかる。例えば私たち人間でも、地球からの重力を受けたり大気からの圧力(圧力は力ではないが)を受けたりするだろう。また、物体に押したりするなどして力を加えると、その物体は動く。この項目では物体にかかる様々な力を見ていくことにする。 ;1. 重力 :これは物体が惑星に存在するならばどんなものでもかかる力である(正確に定義すると、地球の万有引力と地球の自転による遠心力の合力である)。この重力の大きさ <math>F_g</math> は、物体の質量を <math>m</math> とすると、 <math>F_g=mg</math> である。ただし <math>g</math> は重力加速度である。例えば60 kgの人間にかかる重力の大きさ <math>F_g</math> は、<math>F_g=60\times9.8=588</math> Nである。 ;2.'''張力 :張力とは、糸が物体を引っ張る力のことである。1本の繋がった糸において、その糸がピンと張っていれば(たるんでいない)、張力がはたらく。基本的に力を考える際に糸の質量は無視して良い。 [[File:張力.png|thumb|張力 <math>T</math> と重力 <math>mg</math>、糸は天井に固定されている。]] :右図を考える。これにおいて質量 <math>m</math> の小球は静止している。物体は静止しているので力の合力は 0 のはずである。したがって、<math>T=mg</math> となる。 また糸が繋がっているならば、その張力は両端で等しい。つまり天井が糸に引っ張られる力も <math>mg</math> となるのである。 {{Clear}} ;3. 弾性力 :バネを伸ばそうとするとバネは元の長さに戻ろうと縮まる方向へ力を与える。逆にバネを縮めようとするとバネは伸びる方向へ力を与える。これを弾性力という。また、バネに何も力が与えられていないときの長さを自然長という。 [[File:ばねの自然長 横.svg|thumb|固定されたバネ。<br />(上)何も力が与えられていないバネ。<br />(下)引っ張られたバネ。]] :右図において、上は長さが自然長のバネで、下は手に引っ張られることにより <math>x</math> だけ伸びたバネである。 :縮めた/伸ばした方向とは逆向きに弾性力ははたらくので、弾性力<math>F</math>は、 <math>F=-kx</math> と表される。ただし、 <math>k</math> をバネ定数という。またこれを[[w:フックの法則|フックの法則]]という。 これら以外にも力は様々あるが、これら以外は「力のまとめ」で列挙していく。 {{Clear}} ===力のつりあい=== 複数の力が物体に作用しているにもかかわらず物体が運動していない状態を「力がつりあっている」という。これは複数の力の合力が0になっているからである。すなわち、物体に複数の力がかかっているとすると、<math>\vec{F_1}+\vec{F_2}+\vec{F_3}+\cdots+\vec{F_n}=0</math>の状態が「力がつりあっている」という。これを考えるには垂直抗力の考えが必要になる。 [[File:Incline.svg|left|thumb|斜面における物体の垂直抗力<math>F_N</math>]] 垂直抗力とは、物体が接触している他の物体や地面等の固体の面を押しているとき、その力の面に垂直な成分に対し、同じ大きさで反対向きの、固体の面が物体を押し返す力のことである。 左図を考えてみよう。まず質量<math>m</math>の物体には重力<math>mg</math>がかかる。そして図が示すように、斜面垂直上向きには垂直抗力がかかる。斜面垂直方向に対して力はつりあっているから、重力を分解して、<math>F_N=mg\cos\theta</math>と垂直抗力が求まる。地面または垂直に物体が接しているならば垂直抗力ははたらく。言い換えると、垂直抗力の大きさが0になった時に物体が地面から離れるのである。 {{Clear}} ====力の図示==== 力学の基本は力を"正しく"図示することであり、正しく描けていれば問題はほぼ解けたものだと思って良い。なぜならば後述の運動方程式<math>ma=F</math>を用いることで、物体の運動が分かるからである。 力を図示する方法は次の手順で行う。 # 触れていない力を描く。これは重力(万有引力)、静電気力、磁力の3つしか存在せず、力学においては重力(万有引力)である。 # 触れている力を描く。人の手・糸の張力・弾性力・摩擦力など。 [[File:PoUE exercise6.png|thumb|right|糸で繋がれた2物体。]] この手順に従うと、例えば右図の力の図示が誤りなくできる。右図は、質量がそれぞれ<math>m</math>、<math>M</math>の物体が糸で繋がれていて、右端の糸を力<math>F</math>で引っ張っている(力<math>F</math>の矢印が糸と離れたところにあるが、少し離して描いたほうが力の図示が綺麗にできる)。重力加速度を<math>g</math>とすると、まず、手順1からそれぞれに<math>mg</math>、<math>Mg</math>の重力がかかる。次に糸はたるんでいないので糸の張力が、右端に<math>T_0</math>、2物体の間に右から<math>T_1</math>、<math>T_2</math>と掛かる。垂直抗力は重力とは反対向きに<math>N_1</math>、<math>N_2</math>かかる。これで、すべての力を図示できた。(下図) [[File:PoUE exercise6-1.png|thumb|center|糸で繋がれた2物体。図示後。]] {{Clear}} ====運動方程式==== 質量<math>m</math>の物体に全ての合力<math>\vec{F}</math>がかかっている時、 <math>ma=F</math> が成り立っている。この式の意味するところは、「力の大きさが分かればその物体の運動の様子もわかる」ということである。早速例題2-1を解いてみよう。 *摩擦力 運動の第1法則より、何も力がはたらいていなければ、物体は運動を続けるはずである。しかし現実では多くの場合いつかは静止してしまう(ボールを地面で転がしてみると理解できるだろう)。これは、運動している向きとは逆向きに力が作用するからである。このようにあらい表面上で物体の運動を妨げる向きに作用する力を摩擦力という。摩擦力には静止摩擦力と動摩擦力と2種類ある。 ※粘性摩擦力もあるが、高校では扱われない。 1.静止摩擦力 あらい面において、物体に多少の力を加えてもビクともしない。これは摩擦力がはたらいているからであり、この力を静止摩擦力という。押した力<math>F</math>と静止摩擦力<math>F_0</math>はつりあっているから、<math>F=-F_0</math>である。 しかし、ある摩擦力を大きくすると、物体は動き出す。その動き出す直前の摩擦力を最大静止摩擦力という。この大きさ<math>F_0</math>は、<math>F_0=\mu N</math>で表せられる。ただし、<math>\mu</math>は静止摩擦係数といい、地面や物体によって様々な値をとる。<math>N</math>は垂直抗力である。 2.動摩擦力 物体が運動している時にも、物体は摩擦力を受ける。だから物体は減速し静止するのである。この摩擦力を動摩擦力という。そしてこの大きさ <math>F_1</math>は、<math>F_1=\mu'N</math>で表せられる。<math>\mu'</math>は静止摩擦係数といい、<math>N</math>は垂直抗力である。 ====力のまとめ==== 様々な力を見てきたが、ここで一旦まとめてみよう。重力加速度を <math>g</math> とする。 *<math>ma=F</math> 力が分かれば運動の様子もわかる、ということを示している式である。<math>F</math> 〔N〕は合力の力の大きさということに注意せよ。 *重力<math>mg</math> 力学において、まず最初に考えるべき力である。質量がある限りは必ずかかる力である。「重さ」ともいう。 *糸の張力<math>T</math> 糸が持っている引っ張る力のこと。ぴんと張っていればはたらいており、力の釣り合いを考えられる。 ---- *'''例題2-1''' [[File:PoUE exercise6.png|thumb|left|糸で繋がれた2物体。]] 左図のようになめらかな床に質量がそれぞれ <math>m</math> 、 <math>M</math> の物体が糸で繋がれていて、右端の糸を力 <math>F</math> で引っ張る。重力加速度を <math>g</math> として次の問いに答えよ。 (1) 加速度<math>a</math>を求めよ。 (2) 2物体に繋がれている糸の張力<math>T</math>を求めよ。 {{Clear}} ---- *'''例題2-2''' [[File:Exercise5.png|left|thumb]] 滑らかな斜面の上に質量 <math>m</math> の物体が置かれている。斜面の角度は30°である。物体が天井に固定された糸で斜め上方に引っ張られ、糸が鉛直方向となす角も 30° である。物体の床からの高さを <math>h</math> とし、重力加速度を <math>g</math> とする。 (1) 物体にかかる力をすべて書きだせ。 (2) 糸の張力 <math>T</math> および、物体が斜面から受ける垂直抗力 <math>N</math> をそれぞれ求めよ。 次に糸を静かに着ると、物体は滑り降りていった。 (3) この物体が斜面を滑り降りて地面に到着する時間を求めよ。 {{Clear}} ---- *弾性力<math>-kx</math> ばねが自然長へと戻ろうとする力。<math>x</math>〔m〕はバネの長さではなく、自然長からの長さである。 ---- *'''例題2-3''' [[File:PoUE exercise7.png|thumb|left]] 左図のようにバネが1本(①)と2本接続されたバネが2種類(②、③)ある。どのバネも軽く丈夫で、バネ定数は10 N/mである。それぞれを全体で20 cm伸ばすには何Nの力が必要か。 {{Clear}} ---- *垂直抗力<math>N</math> 作用・反作用の法則で地面から押し返される力のこと。<math>N=mg</math>〔N〕とは限らない。 *静止摩擦力 作用させる力の大きさが一定値以下だと静止摩擦力により物体は動かない。静止摩擦力が"耐える"限界のとき、<math>F_0=-\mu N</math>〔N〕となるし、限界でなければ釣り合う。 *動摩擦力<math>\mu'N</math> こちらの摩擦力は動いているならば一定値<math>-\mu'N</math>〔N〕をとる。 *圧力<math>p</math>(力ではない) [[ファイル:Pressure force area.svg|サムネイル|右|圧力の概図。]] 力がある面全体に加わる時、面の単位面積当たりに加わる力の大きさを圧力という。圧力の単位はパスカル〔Pa〕である。面積<math>S</math>の面に力<math>F</math>〔N〕が加わったとすると、その圧力<math>p</math>〔Pa〕は、 :<math>p=\frac{F}{S}</math>〔Pa〕 である。 {{Clear}} *水圧<math>p'</math>(力ではない) [[File:Pressure distribution on an immersed cube.png|thumb|水圧の説明図。水深が深くなるほど、比例して水圧が強くなる。水圧の方向は、物体の面に垂直方向に働く。]] 水による圧力を水圧という。右図のように、水深<math>h</math>〔m〕の水中に上面の面積<math>S</math>〔m<sup>2</sup>〕をもつ物体があるとき、このうえには体積<math>hS</math>〔m<sup>3</sup>〕の水がある。水の密度を<math>\rho</math>〔kg/m<sup>3</sup>〕とすると、この水の質量<math>m</math>〔kg〕は、<math>m=\rho hS</math>〔kg〕となる。よって、水圧<math>p'</math>〔Pa〕は、 :<math>p'=\frac{mg}{S}=\rho hg</math>〔Pa〕 {{Clear}} *浮力<math>F_f</math> [[Image:Principio di Archimede galleggiamento.png|thumb|水に浮かぶ物体は、物体の重さと浮力とが釣り合うときに、物体は静止する。<br>また、浮力の大きさは、水面から下で物体が排除した重さによる力の大きさに等しい。]] 「水圧<math>p'</math>」と同じく、深さ<math>h</math>〔m〕のところに底面積<math>S</math>〔m<sup>2</sup>〕高さ<math>l</math>〔m〕の物体があるとする。物体の体積を<math>V=Sl</math>〔m<sup>3</sup>〕とおく。この物体の上面下面が受ける水圧を<math>p_1</math>〔Pa〕、<math>p_2</math>〔Pa〕とすると、<math>p_1=\rho hg</math>〔Pa〕、<math>p_2=\rho (h+l)g</math>〔Pa〕となるので、物体が水から受ける合力<math>F_f</math>〔N〕は、 :<math>F_f=p_2S-p_1S=\rho Slg=\rho Vg</math>〔N〕 {{Clear}} ---- *'''例題2-4''' [[File:PoUE exercise8.png|thumb|left|水の上に静かに物体を置くと沈むことなく浮いた。]] 各辺が<math>l</math>〔m〕の立方体を水に静かに浮かべると、立方体は沈むことなく静止した。水の密度を<math>\rho_0</math>〔kg/m<sup>3</sup>〕とし立方体の密度を<math>\rho_1</math>〔kg/m<sup>3</sup>〕、重力加速度を<math>g</math>〔m/s<sup>2</sup>〕とする。 (1) このときの浮力<math>F_0</math>〔N〕を求めよ。 次に、力<math>F</math>〔N〕で立方体を押すと、<math>h</math>〔m〕だけ沈んだ。 (2) このときの浮力<math>F_1</math>〔N〕を求めよ。 (3) 立方体を全て水の中に沈めるために最低限必要な力<math>F'</math>〔N〕を求めよ。 {{Clear}} ----- ====終端速度==== 十分に長い坂道でキックボードに乗って坂を下ってみたとする(危険なので、絶対にマネしないこと)。するとスビードは最初は上がるものの、加速度は減少していき、最終的に一定の速度になる。 さて、なぜ終端速度に達するのだろうか。それは、空気の抵抗力がはたらいているからであり、この力の大きさは<math>kv</math>で表せられる。<math>k</math>は空気の抵抗力の比例定数であり、<math>v</math>は物体の速さである。そしてこの向きは当然、運動方向に逆向きである。 終端速度の問題を解く際、”等速”というワードに注意すると<math>ma=F</math>より<math>a=0</math>から、<math>F=0</math>を考えれば良い。つまり、'''力のつりあい'''を考えてやれば良いのである。 ---- *'''例題2-5''' [[ファイル:PoUE exercise9.svg|thumb|right|キックボードと無限に長い坂。]] あなたの代わりにA君がキックボードに乗って角度<math>\theta</math>のなめらかな斜面の長さが十分に長い坂を下ると、十分に時間が経った後、速さ<math>v_\infty</math>で一定になった。A君とキックボードの質量を<math>m</math>、重力加速度の大きさを<math>g</math>とし、キックボードと地面の間に摩擦はないものとする。さらに、速さが<math>v</math>のとき、空気の抵抗力<math>kv</math>がはたらくものとする。 (1) <math>v_\infty</math>を求めよ。 (2) v-tグラフを描け。 {{Clear}} ---- ====慣性力==== 加速度<math>a</math>〔m/s<sup>2</sup>〕で運動している観測者から見ると質量<math>m</math>〔kg〕の物体には加速度と逆向きに力<math>ma</math>〔N〕が働いているようにみえる。この見かけの力を慣性力という。そして例えば右向きに加速度<math>a</math>〔m/s<sup>2</sup>〕で減速している電車の中から駅のホームで静止している質量<math>M</math>の駅員を見ると、駅員は左向きに加速度<math>a</math>〔m/s<sup>2</sup>〕で減速しているように見え、<math>ma=F</math>より駅員は<math>Ma</math>の力を受けているようにみえる。 ---- *'''例題 2 - 6''' エレベーターに体重計を置きその上に体重(質量)60 kgの人間が乗る。このとき、次の問いに答えよ。ただし、重力加速度を10 m/s<sup>2</sup>とする。 (1) エレベーターが一定の加速度5.0 m/s<sup>2</sup>で下降している。このときに体重計が示す値を求めよ。 (2) エレベーターが一定の加速度4.0 m/s<sup>2</sup>で上昇している。このときに体重計が示す値を求めよ。 (3) 人間が無重量状態になるためのエレベーターの下向きの加速度の大きさを求めよ。 ---- *'''問題 2''' [[ファイル:PoUE exercise11.svg|thumb|left|滑車。]] 図のように、質量<math>2M</math>と<math>M</math>の物体を糸につなぎ動滑車にかける。さらにその動滑車を質量<math>4M</math>の物体が繋がれた糸の他端につなぎ定滑車にかける。重力加速度を<math>g</math>として、以下の問いに答えよ。ただし、滑車の質量は無視できるものとし、空気抵抗は考えないものとする。 (1) 3つの物体の運動方程式を表せ。ただし、質量<math>4M</math>の物体の地面に対する加速度の大きさを<math>\alpha</math>、動滑車に対する質量<math>2M</math>、<math>M</math>の物体の地面に対する加速度の大きさを<math>\beta</math>とし、定滑車にかかる糸の張力を<math>T</math>とする。さらに、鉛直下向きを正の方向とする。 (2) <math>T</math>を<math>M</math>と<math>g</math>を用いて表せ。 (3) 全体で静止するためには、左と右の物体の質量をどのように変えたら良いか。 {{Clear}} ---- ===剛体の釣り合い=== 剛体とは思い切り力を加えても変形しないとても固い物体の固体である。 細長い木の棒を水平な机の上において一端に力を加えると棒は回転する。この様に、力には物体を回転させる性質がある。これを力のモーメントという。 力のモーメントの大きさ<math>M</math>〔N・m〕は回転させようとしている力の垂直成分の大きさを<math>F</math>〔N〕、ある1点から力の作用点への最短距離を<math>l</math>〔m〕とすると、 :<math>M=Fl</math> となる。「ある1点」の場所はどこでもよいが問題で指定されている場合、指示に従うこと。一般的に反時計回りの向きを正に取ることが多い。 次に力のモーメントは釣り合う。”力の回転させる要素”が釣り合っている…ということは、「回転しない」と言うことになる。釣り合いの式は、力の釣り合いと同様に、 :<math>M_1+M_2+M_3+\cdot\cdot\cdot+M_n=0</math> この公式を用いてもよい。しかしこの式では分かりにくいので次のように考えるのが良い。 :(反時計回りの力のモーメント)=(時計回りの力のモーメント) では、例題を通じてどのように適用すれば良いか確認しよう。 ---- *'''例題2-7''' A端が半径0.10 mでありB端が半径0.20 mである円錐台がある。2人がこの両端を持って時計回りに回してどちらが回そうとした方向に回るか競うゲームをする。B端を持った人が5.0 Nの力で回そうとするとき、A端を持った人が負けないためには何Nの力が必要か。 ---- *'''例題2-8''' [[ファイル:PoUE exercise12.svg|thumb|left|シーソーに乗る2人。]] 図のようにシーソーを考える。ただしシーソーは全長が5.0 mで質量が無視できる丈夫なものとする。A端に60 kg、B端に40 kgの人が乗る。シーソーが地面と水平になるためには支柱Oは左端から何mに置けば良いか。重力加速度を9.8 m/s<sup>2</sup>とする。 {{Clear}} ---- *'''問題3''' 角度を変えられる荒い斜面上に横<math>a</math>縦<math>b</math>の物体を置く。最初斜面の角度が<math>\theta</math>のとき、物体は静止した。このとき、角度<math>\theta</math>は直方体が静止できる最大角である。斜面と物体の静止摩擦係数を<math>\mu</math>とし、重力加速度を<math>g</math>とする。 (1) 直方体にはたらく垂直抗力と静止摩擦力の大きさを求めよ。 (2) <math>\tan \theta</math>を求めよ。 (3) 静止摩擦係数<math>\mu'</math>はいくら以上であると考えられるか。<math>a</math>、<math>b</math>を用いて表せ。 ---- ==力学的エネルギーと保存則== 今までは途中経過が分からなければ(速度や加速度が求められなければ)運動の様子が分からなかった。今項の保存則を使えば、最終結果であれば分かるようになるのである。 ===仕事=== 物理における「仕事」の量<math>W</math>は次のように定義される。 :<math>W=Fx</math> ここで注意。力<math>F</math>は一定の場合にしか用いることはできず、さらに移動するのに”役立つ”方向の大きさを用いなればならない。 仕事とは後の結果である。これに対して「これからやる」という前の可能性をエネルギーという。 ===エネルギー保存則=== :<math>\frac{1}{2}m_A{v_A}^2+\frac{1}{2}m_B{v_B}^2=\frac{1}{2}m_A{v_A'}^2+\frac{1}{2}m_B{v_B'}^2</math> ===運動量保存則=== :<math>m_Av_A+m_Bv_B=m_Av_A'+m_Bv_B'</math> 上式を運動方程式から導出する。 :<math> m\vec{a} = \vec{F} \rightarrow m\frac{d\vec{v}}{dt} = \vec{F} \rightarrow m\cdot d\vec{v} = \vec{F}\cdot dt \rightarrow \Delta mv = \int{\vec{F}}dt </math> よってF=0ならば運動量p(=mv)は変化しない。 ====物体の衝突==== 衝突の問題は、運動量保存則と衝突の式を並列して解く。 衝突の式 :<math>e=-\frac{v_B'-v_A'}{v_B-v_A}</math> ====物体の分裂==== ==円運動== ===円運動=== 円の中心に向かってx軸をとる。 物体の運動方向に向かってy軸をとる。 ====水平円運動==== ====鉛直円運動==== ===万有引力=== ==単振動== 物体がはじめに運動する方向に向かってx軸をとる。 :<math>\frac{1}{2}m_Av^2+\frac{1}{2}kx^2=\frac{1}{2}m_Av'^2+\frac{1}{2}kx'^2</math> ==まとめ== <!-- {{DEFAULTSORT:}} [[Category:]] 等は以下に追加 --> {{DEFAULTSORT:たいかくしゆけんふつり りきかく}} [[Category:大学受験物理|りきかく]]
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