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古典力学
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{{Pathnav|メインページ|自然科学|物理学|frame=1|small=1}} {{wikipedia}} {{wikiversity|Topic:古典力学|古典力学}} {{stub}} == イントロダクション == [[古典力学/イントロダクション]]{{進捗|75%|2023-11-05}} == 物体 == 古典物理学で扱われるような物体が持つ性質としては、質量・電荷・形状がある。このうち電荷については電磁気学で扱い、本項目の古典力学では'''質量'''と'''形状'''のみを扱う。 力学的な'''物体'''のうち質量のみを持ち、大きさを持たない物体を'''質点'''という。実際の物体は大きさを持つが、運動の大きさに対して物体の大きさが無視できるほど小さければ質点と見なせる。大きさを持つ物体であれば力を加えると変形したりするなどして、物体の運動に全ての力が使われない事も多いため、そのような要因を排除して位置の変化による運動のみを考えるために理想化された物体である。もちろん「質点」のような物体は現実にはないが、しかし単純化したモデルについてまず考えることは力学の本質の理解に役立つ。 <!-- 重心を質点とみなしてよい場合についての記述がどこかにほしい --> 複数の質点の集まりを'''質点系'''という。質点系の内、質点同士の相対的な位置関係が力を加えても変わらぬ物体を'''剛体'''という。実際の物体は力を加えると多少なりとも変形するが、力を加えても変形が無視できるほど硬ければ剛体と見なしてよい。 大きさを持ち、力を加えると変形するが、力を加えるのを止めると元の状態に戻る物体を弾性体という。弾性体を代表とした、各質点の相互作用によって運動を行う系については[[連続体の力学]]で扱う。 気体や液体のように決まった形を持たず、流れる物体を流体という。流体については古典力学ではなく[[流体力学]]で扱う。 == 記号 == 様々な量を表現するために、数学ではその量を記号を用いて表す。以下に代表的な量とその記号の例を以下に挙げる。これらは単なる例であり、本書に限らず全ての量がこの表に従って書き表されているわけではない。<math>t</math> や <math>m</math> のような記号を用いて量を表現するのは冗長な表現を短くまとめる目的で行われる。 {| class="wikitable" style="text-align:center" |+ | 物理量と記号 |- !| 物理量 || 記号 || 物理量 || 記号 |- || 位置 || <math>x, r, q</math> || 長さ || <math>L, l, \lambda</math> |- || 面積 || <math>S, A</math> || 体積 || <math>V, \Omega</math> |- || 半径 || <math>r, R, a</math> || 角度 || <math>\theta, \phi, \psi, \alpha, \beta</math> |- || 角速度 || <math>\omega</math> || 時刻および時間 || <math>t, \tau</math> |- || 速度 || <math>v, V, u</math> || 加速度 || <math>a, \alpha</math> |- || 躍度 || <math>j</math> || 質量 || <math>m, M, \mu</math> |- || 密度 || <math>\rho, \sigma</math> || 力 || <math>F, f</math> |- || 運動量 || <math>p, \pi</math> || 力積 || <math>I</math> |- || 仕事 || <math>W, w</math> || エネルギー || <math>E, \varepsilon</math> |- || 運動エネルギー || <math>K, T</math> || ポテンシャルエネルギー || <math>U, V, \phi, \Phi</math> |- || ばね定数 || <math>k</math> || 重力加速度 || <math>g</math> |} == 物理量 == 力学における'''[[w:系 (自然科学)|系]]''' (system)とは、最も一般的には運動する物体(の集まり)と物体が運動する空間のことだ。系には直接的ないし間接的な[[w:測定|測定]]を通じて原理的に決定可能な特徴量、'''[[w:物理量|物理量]]''' (physical quantity) が存在し、物体や物体の集団に付随する量であったり、空間に付随するものであったり、あるいは物体と空間の関係性を指し示すものであったり様々である。最も基本的な物理量としては、ある指標となる物体と空間上の一点を結ぶ'''距離'''が挙げられる。 物体が運動する場合、その物体が描く'''軌跡'''とその時々の'''時刻'''を結びつけて考えることができる。<ref>物体の運動に対する時刻としてどのようなものを選ぶかは全く明らかではないが、差し当たってごく単純な運動を基準にすることによって時刻が定められるということを認める。「単純な運動」はたとえば太陽が昇り沈む周期や月の満ち欠けだったり、季節の移り変わりや、あるいは時計の秒針の動きだったり様々である<!--これは運動の説明なのか???-->。このような時刻を知り時間を測るための装置ないし仕組みは、専ら「時計」と呼ばれる。我々が時計を見て時刻を知ることについては差し当たって何の制約も与えられない。従って、理想的な時計として任意の連続的な時刻を正確に示すものを考えることができる。このような仮想的な時計は唯一つに決まっているわけではなく時間の測り方によって無数の時計が存在するが、それぞれの時計が指す時刻についての対応関係がはっきりとしているならその内のどれか一つを使えばよいことになる。実際には、現実に存在する時計と同じ測り方のものを選ぶことになるだろう。このような理想的な時計によって特徴づけられる[[w:時間|時間]]そのものは、単に物体の運動を幾何学的な舞台に立たせるための道具立て以上の意味を持たない。</ref> 時間を測ることができれば、各時刻における物体の'''位置'''から物体の'''速度'''を定めることができる。速度は、[[古典力学/イントロダクション#平均の速度と瞬間の速度|前節]]で紹介したように、微小に経過した時間でその間での位置の変化量を割ったもの、すなわち物体の速度 <math>v(t)</math> は物体の位置 <math>x(t)</math> を時刻 <math>t</math> について微分したものとして定義される。物体の位置 <math>x(t)</math> および速度 <math>v(t)</math> の全体像は時刻 <math>t</math> の関数として定義される。 :<math> v(t) := \frac{dx(t)}{dt} = \lim_{h \to 0} \frac{x(t+h) - x(t)}{h}. </math> この定義は物体の位置および速度がベクトルであっても変わらない。ベクトルを太字で表せば次のようになる。 :<math> \boldsymbol{v}(t) := \frac{d\boldsymbol{x}(t)}{dt} = \lim_{h \to 0} \frac{\boldsymbol{x}(t+h) - \boldsymbol{x}(t)}{h}. </math> 同様にして、速度 <math>\boldsymbol{v}(t)</math> の変化の割合として加速度 <math>\boldsymbol{a}(t)</math> を、 :<math> \boldsymbol{a}(t) := \frac{d\boldsymbol{v}(t)}{dt} = \frac{d^2\boldsymbol{x}(t)}{dt^2} </math> 加速度 <math>\boldsymbol{a}(t)</math> の変化の割合として[[w:躍度|躍度]] (jerk) :<math> \boldsymbol{j}(t) := \frac{d\boldsymbol{a}(t)}{dt} = \frac{d^2\boldsymbol{v}(t)}{dt^2} = \frac{d^3\boldsymbol{x}(t)}{dt^3} </math> を定義できる。高階の時間微分によって定義される量を推定するためには、直接的には位置と時刻の測定を数多く行う必要がある。たとえば速度を測定するためには、直接的には 2 つの位置と時刻の組を定めることが必要となる。同様に加速度を測るためには 2 つの時刻における速度を知る必要があるから、位置と時刻の組を 3 点測定しなければならない。 力学においてどの程度まで高階の微分を求める必要があるだろうか。先走って言えば、ニュートン力学においてはある時刻における物体の位置と速度を決定することで、その物体の未来と過去における運動を完全に予測することができ、従って運動を記述するには物体の加速度が分かっていれば充分ということになる。このニュートン力学の性質は'''ニュートンの決定性原理'''と呼ばれる。多くの物体の運動について、ニュートン力学によって正確な予測が得られる事実は、それらの現象の背後にある決定性原理の存在を暗に示していると言えるだろう。 力学において基本となる量は、位置や時間、速度や加速度のような物体の運動として直接捉えられる量の他に、[[w:力|力]]や[[w:質量|質量]]、[[w:運動量|運動量]]や[[w:エネルギー|エネルギー]]といったものがある。これらについてはまた別の節を設けて詳しく述べることにするが、掻い摘んでこれらがどのような量であるかを述べよう。 質量は物体の二つの異なる性質を決定する。一つは物体の動かしにくさと止めにくさであり、もう一つは物体の重さである。質量が大きな物体ほど動かしづらくまた止めづらい。物体の重さは質量に比例し、質量が大きいほど物体は重くなる。感覚的には質量のいずれの性質も物体の「重さ」として感じとられる。 力は物体の運動を変化させる要因である。力の発生源は様々であり、力学において特に力の発生源を特定することはない。ニュートン力学では、すべての力は物体同士を結ぶ相互作用として記述される。最も直感的な例は物体同士を衝突させたりしたときに働く接触力だろう。物を持ち運ぶ際に感じる重みは、運ばれる荷物によって及ぼされる力を原因として生じる感覚であると理解できる。他に代表的なものは万有引力と静電気力、および磁力である。これらは物体が接触していなくても働くため、非接触力とか呼ばれる(遠隔力とか遠隔作用と呼ぶこともあるが、物理学では遠隔という言葉は特別の意味を持つので、これらの語を用いる際には混同されないよう注意すべきだろう)。 力そのものは如何にその振る舞いが直感的であろうとも概念的なものであり、直接的に力を知るすべはない。しかしながら、力が及ぼされたであろう物体は、その運動に変化が生じるため、物体の加速度と結びつけて考えることができる。ここで質量は物体に加えられた力に対してどれだけの加速度が生じるかの指標として用いられる。 運動量は物体の勢いを示す量である。物体の勢いは物体の止めにくさや物体の速さに結び付けられ、運動量は物体の質量と速度に関係する量として定義される。物体の速度が大きいほど、またその質量が大きいほど物体の運動量は大きくなる。エネルギーは物体を動かす際に物体とやり取りされる量であり、これもまた物体の運動の勢いを特徴付ける。運動量とエネルギーはまた、特定の条件の下でその総量が一定に保たれることが知られる。 {{節stub}} == 運動の三法則 == 運動の三法則とは次の3つの法則のことである。 #運動の第1法則(慣性の法則): #:物体に力が働かないとき、物体は静止状態か等速度運動を続ける。 #運動の第2法則(運動の法則): #:加速度の大きさは力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する。 #運動の第3法則(作用反作用の法則): #:ある物体が他の物体に力を与えるとき、ある物体は他の物体から大きさが等しく、逆向きの力を受ける。 第1法則は運動というものが物体と観測者の相対的な関係であるため必要となる。つまり物体がとまっていても、観測者が複雑な運動をしていれば物体は(観測者から見て)複雑な運動をする。このような見かけ上の運動まで含めると力学は不必要に複雑になる(少なくとも入門レベルでは)。これを除くには観測者にも制限をつけなければならない。第1法則がその制限となる。つまり、運動の第2第3法則が成り立つのは、第1法則が成り立つような観測者であることを前提にした場合に限ることになる。このような観測者が用いる座標系を'''慣性系'''とよぶ。慣性系は運動をもっとも簡単に(あるいは「素直」に)記述できる座標系と考えてよい。 この第1法則に述べられている内容は、物理法則は全ての慣性系において等しく、慣性系に対して等速直線運動をしている系は全て慣性系であるという'''ガリレイの相対性原理'''に基づいたものである。 運動の第2法則を式で表すと、'''運動方程式''' ''F''=''ma''となる。ここで、''F''は物体に加えられた力である。次元の高い運動であり、位置''r''がベクトルで書かれる場合、この式は :<math> \vec{F} = m\vec{a} = m\frac{d^2\vec{r}}{dt^2} </math> という形になる。質量''m''はスカラーであり、位置''r''と力''F''はベクトルである。 微分方程式論における初期値問題のよく知られた結果から、ある時点での<math>\vec{r}</math>と<math>\vec{v}</math>を与えれば、この微分方程式の解は一意に存在するということが分かるため、質点の位置と速度によりその後の質点の運動は全て決定される。 これはニュートンの決定性原理の主張するところと同じである。 数学的には、<math>\vec{r}</math>の三階以上の時間微分を含む方程式を考える事もできるが、ニュートンの決定性原理により古典力学の記述にはそのような高階の微分が不要であることが分かっているのである。 第3法則は、力の釣り合いに関するものではなく、2体間の力の及ぼし合いに関する法則である。我々が地面に立つとき、自らの重さによって地面を押していることになるが、逆に同じだけの力によって地面に押し返して貰っているために地面の上で静止できるのである。地面から離れて跳び上がろうと思えば、普段より強い力で地面を蹴ることにより、同じだけの力を地面から与えられ、跳び上がることができるようになる。ただこの場合は、反作用の力を受けるのは地面を蹴った時だけであるから、地面を離れた後は、引力と反対方向の力が得られず、再び地面に引き寄せられてしまうことになる。 == 運動の三法則をどう使うか == 力学の主要な目的は法則を使って物体の運動を定量的あるいは定性的に予測すること。「運動」は物体の位置ベクトル<math>\vec{r}</math>が時間とともにどう変化するか、言い換えると<math>\vec{r}</math>が時間のどのような関数<math>\vec{r}(t)</math>になるかで表される。それで作業は<math>\vec{r}(t)</math>が満たす「運動方程式」を求め、次にそれを解くという二段階に分けられる: 1.(運動方程式の導出)問題とする状況において物体が受ける力を求める。重力や電磁気力の法則を使うが、複数の物体がからむ問題では第3法則も重要な働きをする。物体が受ける力は一般にはその位置<math>\vec{r}</math>および時刻<math>t</math>に依存するので<math>\vec{F}=\vec{F}(t,\vec{r})</math>となるが、特に位置への依存性が重要な問題が多い。その結果を第2法則に代入すると :<math>m\frac{d^2\vec{r}}{dt^2}=\vec{F}(t,\vec{r})</math> となる。これが運動方程式。数学的には<math>\vec{r}</math>が満たす2階微分方程式に他ならない。 2.(運動方程式を解く)運動方程式を解いて運動を求める。原理的には適切な初期条件を与えた上でそれを解けばよい。二階なので初期条件は初期時刻''t''<sub>''i''</sub>での位置<math>\vec{r}(t=t_i)</math>と速度<math>d\vec{r}/dt(t=t_i)</math>が必要。物理的にはある時刻の位置と速度を決めると、それ以降の運動が完全に決まることを意味する(ボールを投げる場合を思いおこせばよい。ボールが手から離れる瞬間の位置と速度でその後のコースが決まるわけである)。 とはいえ、二階微分方程式は二次方程式のように一般的な解の公式があるわけではない。それどころか力が少々複雑になると、解が既知の関数の組合せで表せないことも普通。そこをどうするかが力学の問題となる。幸い"good news"がある: # 物理として重要な基本的な問題には、厳密に解けるものが多い。代表的な例は地球表面近く(つまり重力が一様一定)でのボールの運動、太陽の周りの惑星の問題、ばねにつながれた物の運動など。解けないものも、これら厳密に解けるものが「いくらか複雑化」したものとみなすことである程度理解できる。 # 厳密な解が得られなくても、重要な定性的性質が得られることもある。例えばいつまでも動きつづけるのか否か、有限な範囲を動き回るのか、どこまでも遠くに去ってしまうのか、など。 いずれの場合も、「保存量」がカギになる。保存量とは位置と速度をある形で組合せた式で、その値が運動の初めから終わりまで変わらぬ一定値をとるもの。力がある条件を満たす場合に存在する。これがあると運動の自由度が減るので解きやすくなる(保存量の個数が十分なら、2階の方程式を一階に直して積分で解くことが可能になる)し、また大きな制限となるので定性的性質も分かりやすくなる。代表的な保存量の候補はエネルギー、運動量、角運動量。 一方、保存量が存在しない運動、あるいは自由度に比べ保存量の数が少ない運動はたいてい複雑で、解くことも定性的性質を捉えることも難しい。そのような運動を調べるには計算機上の数値計算などが必要となる。実はこのような運動も独自の興味と重要性を持つことがある。代表的なのはカオス的な運動と呼ばれるもので、多くの研究がされてきている。 以上のような事情から、力学ではまず保存量のような基本的な概念と厳密に解ける基本的な運動を扱い、その中で多くの運動に通じる正しい直観を身に付ける。基本的な運動には等加速度運動、放物運動、円運動、楕円運動、単振動などがあり、多くの現象をこれらの運動が「複雑化」したものとして理解できる。その範疇から外れたカオス的な運動のようなものはこれらの基礎を十分身に付けた後で、いわば特論として取り組むのがよい。また運動の法則をより数学的に整理した解析力学といわれるものがある。これは保存量を系統的に求める方法や座標系を換える方法など各種の高級な技術を提供し、さらに量子力学などより進んだ物理に進むには必要不可欠なのであるが、抽象的でわかりづらい面もある。やはりある程度直観を身に付けてから学ぶのがよい。 == 運動の保存量の例:エネルギー == === エネルギーの発見 === 物理ではエネルギーや運動量などの保存量が重要な働きをする。力学においてもそれは同様であるが、特に自由度の小さい系での運動を扱う場合には、保存量の利用により運動がほとんど決定されてしまう。 もっとも簡単(でしかも重要)な例は直線上の粒子の運動で、エネルギーが保存される場合。粒子の座標を''x''とし、それが''x''だけに依存した力''F(x)''を受けるとする。例えばばねにつながれた粒子では、''F(x)=−kx''になる。このとき運動方程式は :<math>m \frac{d^2x}{dt^2}=F(x)</math> これを''x''についての微分方程式とみて初期条件 「t=t<sub>i</sub>で(x,dx/dt)=(x<sub>i</sub>,v<sub>i</sub>)」で解けばよい。しかし二階だと面倒なので、両辺にdx/dtを掛けてみる。すると :<math>m \frac{dx}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}=\frac{dx}{dt}F(x)</math> ここで合成関数の微分側を使うと、左辺は :<math>m \frac{dx}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}=\frac{d}{dt}\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2</math> となる。 ここで''F(x)''の原始関数を ''f(x)''とすると('''原始関数'''とは''df/dx=F(x)''を満たす関数''f(x)''。例えば''f(x)=(k/2)x<sup>2</sup>''は''F(x)=kx''の原始関数である。) :<math>\frac{d}{dt}f(x)=\frac{dx}{dt}F(x)</math> となるので :<math>\frac{d}{dt}\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2=\frac{d}{dt}f(x)</math> 左辺、右辺両方ともある関数の微分なので、右辺を左辺に移行してまとめると :<math>\frac{d}{dt}\left\{\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2-f(x)\right\}=0</math> ここで、{}の中身は時間に依存しない定数、即ち保存量になる。中身を足し算で書くため''U(x):=−f(x)''とすると :<math>\frac{d}{dt}\left\{\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+U(x)\right\}=0</math> となる。以上の結果をまとめよう。物体がその位置だけに依存する力''F(x)''だけを受けて直線運動をする場合に、''U(x)'' を ''dU/dx=−F(x)'' を満たす関数として定義し、さらに位置と速度を引数とする関数E(x,dx/dt)を次で定義する。 :<math>E\left(x, \frac{dx}{dt}\right):=\frac{m}{2}\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+U(x)</math> すると、''E'' の値は運動の間、値が変わらない定数になる。つまり''E(x,dx/dt)''は保存量である。これは'''エネルギー'''と呼ばれる。 エネルギーの値は初期条件で決まる。つまりt=t<sub>i</sub>の時の値と同じなので、 :<math>E\left(x(t),\frac{dx(t)}{dt}\right)=\frac{m}{2}v_i^2+U(x_i)</math> エネルギーは二つの項の和になっている。最初の項(m/2)v<sup>2</sup>は速度で決まるので'''運動エネルギー'''、 二番目の項''U''は位置で決まるので'''位置エネルギー'''または'''ポテンシャルエネルギー'''と呼ばれる。運動エネルギーと位置エネルギーは、それぞれ個別に見ると運動の間変化する。 しかしそれらの和は変化しない、定数になるのである。 === エネルギー保存に基づく定性的な解析 === エネルギーが保存されるという事実だけから、運動の様子がかなり分かる。エネルギーの値をE<sub>i</sub>とすると、運動の間、常に :<math>\frac{m}{2}v^2+U(x)=E_i</math> が成り立つ。書き換えると :<math>E_i-U(x)=\frac{m}{2}v^2\ge 0</math> 従って運動でxが動くのは <math>E_i\ge U(x)</math> が成り立つ範囲に限られる。つまり横軸にx、縦軸にy=U(x)のグラフを書いた場合、 水平線<math>y=E_i</math>の下に曲線<math>y=U(x)</math>がある領域が運動の範囲となる。この二つの線が離れている領域ほど運動の速度は速い。 運動の間、vとxの間には :<math>v=\pm \sqrt{\frac{2}{m}(E_i-U(x))}</math> が成り立つ。複号のどちらをとるかは初期条件と時刻で決まる。例えば<math>v_i>0</math>の場合、vは連続にしか変わらないのでいきなり符合が変わることはありえず、 しばらくはv>0のまま同じ方向(x増加の方向)に動く。符号が変わりうるのはv=0、即ち<math>y=E_i</math>と<math>y=U(x)</math>の 交点。大雑把には交点に達するまでは同じ方向に動きつづけ、交点に達すると一瞬v=0になり、それから速度の符号が変わって逆向きに動く。 但しこれは交点で交わる角度が0よりも大きいことが前提。角度が0、つまり<math>y=E_i</math>と<math>y=U(x)</math>が 接する場合にはより細かい解析が必要で、交点に永遠に達しない時もあるし、達したところで静止することもありうる。 この交点周囲の振る舞いを調べるには運動方程式に戻る。 以上のことを直観的に捉えるにはジェットコースターの軌道のように上下する軌道の上においたボールの運動をイメージすればよい。 === エネルギー保存から得られる厳密解 === エネルギー保存則から運動方程式の解を積分の形で得られる。簡単のため、初期時刻で<math>v_i=dx/dt>0</math>とし、上の式で右辺が正の間の運動を考える(負の場合も同様の考え方で分かる)。<math>v=dx/dt</math>を入れると <math>dx/dt=\sqrt{\frac{2}{m}(E_i-U(x))}</math> 右辺は正なのでxとtの対応は一対一となり、逆にtをxの関数とみなせる。すると <math>dt/dx=1/\sqrt{(2/m)(E_i-U(x))}</math> となるので、両辺をxで積分して初期条件(t=tiでx=xi)を使うと <math>t=t_i+\sqrt{\frac{m}{2}}\int_{x_i}^x \frac{dx'}{\sqrt{E_i-U(x')}}</math> これで一般解が得られた。力<math>F(x)</math>が与えられれば、そこからUを求め、上の右辺の積分を実行し、必要ならx=h(t)という形に直せば運動が得られる。積分が面倒そうとか、最初にx=h(t)ではなくt=g(x)という形になるのがいまいちと思うかも知れないが、それでも厳密解が定積分という閉じた形で得られることは大きな意味をもつ。 上の右辺の積分が初等的にできる特に重要な例は、ばねにつながれた物体(<math>f(x)=-kx, U(x)=kx^2/2</math>、すぐ下で詳しく扱う)。また太陽の周りの惑星の運動も後で述べる角運動量保存側を使うと1次元の問題に還元でき、太陽からの距離rとtの関係が上と同じ形の積分で表される(q,kを定数として<math>U(r)=\frac{q}{r^2}-\frac{k}{r}</math>。第一項が遠心力、次が重力を表す)。これも非常に幸いなことに、積分を初等関数で表すことができる。 なお、ルートがあるため<math>U(x)</math>の関数形が少し複雑になっただけで積分は難しくなる。それでも前節の定性的な解析は<math>U(x)</math>のグラフを睨むだけでできることに注意してほしい。例えばU(x)が三次関数のように山と谷を持つような場合には運動が山を越えるかそれとも谷に閉じ込められたまま振動するかが重要なポイントになるが、それは初期条件の<math>E_i</math>が山より高いかどうかを見れば分かるのである。まず定性的な性質をグラフで調べてから積分に取り組むことで、式をまとめる方針も見えてくる。 例としてばねにつながれた質点の運動を求めよう。力はF(x)=-kxで与えられるので、 <math>U(x)=\frac{k}{2}x^2</math> この場合エネルギーは0以上である(<math>E_i=mv_i^2/2+kx_i^2/2 \ge 0</math>)。厳密解の公式に代入すると <math>t=t_i+\sqrt{\frac{m}{2}}\int_{x_i}^x \frac{dx'}{\sqrt{E_i-\frac{k}{2}x'^2}}</math> あとは数学の問題として積分を計算すればよいのではあるが、計算も物理的な考察を加えながら行うことでよりきれいにできる。まず運動のスケールを特徴づける量を考える。定性的な解析から分かるように、運動の範囲は<math>E_i-\frac{k}{2}x'^2\ge0</math>を満たす領域、即ち <math>-\sqrt{2E_i/k}\le x \le \sqrt{2E_i/k}</math> よって<math>L:=\sqrt{2E_i/k}</math>とおくと、この<math>L</math>が運動の(長さの)スケールになる。座標xも、「このLの何倍か(何割か)」と表すのがよい。そこで <math>X=x/L</math> とおいて公式に代入し整理すると、一番面倒な積分の部分がきれいになる。被積分関数からkや<math>E_i</math>などのパラメータを取り除けるのである。 <math>t=t_i+\sqrt{\frac{m}{2}}\int_{X_i}^X \frac{LdX'}{\sqrt{E_i-\frac{k}{2}(\sqrt{2E_i/k}X')^2}}=t_i+\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L\int_{X_i}^X \frac{dX'}{\sqrt{1-X'^2}}=t_i+\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L(\sin^{-1}X-\sin^{-1}X_i)</math> 式の中に現れる<math>\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L</math>という係数は時間の単位を持つので、時間のスケールになっているはず。それを<math>\frac{T}{2\pi}</math>とおく(<math>2\pi</math>を入れたのは、sinの周期が<math>2\pi</math>であることを睨んで)。また<math>\sin^{-1}X_i</math>を<math>\phi_i</math>と書く: <math>\frac{T}{2\pi}:=\sqrt{\frac{m}{2E_i}}L=\sqrt{\frac{m}{2E_i}}\sqrt{2E_i/k}=\sqrt{\frac{m}{k}}, \phi_i:=\sin^{-1}X_i</math> すると<math>t=t_i+\frac{T}{2\pi}(\sin^{-1}X-\phi_i)</math>が得られ、それをX=の形に直すと <math>X=\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T}+\phi_i)</math> という簡単な式になる。つまり質点はsinの形の振動をするのである。さらにXをxに直してまとめると <math>x=L\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T}+\phi_i), T=2\pi\sqrt{\frac{m}{k}},L:=\sqrt\frac{2E_i}{k}=\sqrt\frac{mv_i^2+2kx_i^2}{k}, \phi_i:=\sin^{-1}X_i=\sin^{-1}\frac{x_i}{L}</math> この式は振動的な運動の基本であり、振幅<math>L</math>、周期<math>T</math>、初期位相<math>\phi_i</math>の単振動と呼ばれる。 なお基礎にした公式は元のもの(複号を持つ)の+の方のものだけなので、上の導出から得られる式は論理的にはdx/dt>0の範囲でしか保証されない。しかし結果的にはありがたいことにその制約をとっぱらった領域でも解になっている。そのことを手早く確かめるには上の解を運動方程式<math>d^2x/dt^2=-kx</math>に代入し、任意のtで 方程式が成り立っていることを確認すればよい。また初期条件に直接結び付けるには以下のように加法定理を使いsinを展開したほうがやりやすい。 <math>x=L\cos\phi_i\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T})+L\sin\phi_i\cos(2\pi\frac{t-t_i}{T}), v=\frac{dx}{dt}=2\pi\frac{L}{T}\cos\phi_i\cos(2\pi\frac{t-t_i}{T}i)-2\pi\frac{L}{T}\sin\phi_i\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T}i)</math> ここで<math>t=t_i</math>での初期条件<math>x=x_i,v=v_i</math>を使って上に出てくる<math>L,\phi_i</math>の組合せを表す。上の式に<math>t=t_i</math>を代入すると <math>x_i=L\sin\phi_i,v_i=2\pi\frac{L}{T}\cos\phi_i</math> これらから<math>L\sin\phi_i=x_i, L\cos\phi_i=\frac{v_i T}{2\pi}</math>となるので、これをxの式に入れると <math>x=\frac{v_i T}{2\pi}\sin(2\pi\frac{t-t_i}{T})+x_i\cos(2\pi\frac{t-t_i}{T})</math> これが、指定した初期値から決まる運動の式となる。ここまででばねにつながれた質点の運動は完全に解かれた、と言ってよい。 == 運動の保存量の例:運動量 == 運動量を :<math> \vec p = m \vec v </math> で定義する。ここでmは物体の質量、 :<math> \vec v </math> は物体の速度である。 このとき運動方程式を用いると、物体に力が働いていないとき、 :<math> \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} \vec p = m \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} \vec v = 0 </math> となり、物体の持つ運動量が、時間的に保存することが分かる。これを運動量保存則と呼ぶ。 運動量が保存している系では系について物体の速度を変えずに位置だけをずらしたとき物体の運動が変化しないことが知られている。例えば、全く力が働いていない系では位置を変化させたとしても物体の運動は変化せず、物体は静止し続けるかもともと運動していた方向に等速直線運動を続ける。また、ある1方向にだけ一様な力が働いている系では力が働いている方向には物体の運動量は保存しないが、それ以外の方向については物体の運動方程式は物体に何の力も働いていないときと同一であるので、そちらの方向の運動量は保存する。これはある1方向に力が働いている時にもそれ以外の方向の移動に対してはこの物体の運動は変化しないことと対応している。物体をある方向に直線的に移動することを並進と呼び、並進によって物体の運動が変化しないことを系の並進対称性と呼ぶ。後に[[解析力学]]でネーターの定理と呼ばれる定理を学ぶが、この定理は系の対称性は必ずその対称性に対応する保存量があることを主張する。実際系の並進対称性に対応する保存量がまさしく運動量に対応していることが後に示される。 また、系の運動量は物体が持つ運動量だけでなく電磁場などが持つ運動量も存在する。系全体の運動量保存を考えるときには物体の場の両方が持つ運動量の保存を考えなくてはならない。これは、[[電磁気学]]、[[電磁気学II]]で導入される。 複数の物体に対して各々の間に内力(それぞれの物体の間に働く力のこと。)だけが存在し、外界から力が働いていないとき物体の集まりが持つ全運動量は保存する。全運動量とは物体系のそれぞれの粒子が持つ運動量を全て足し合わせたものである。これは、それぞれの物体の運動量について運動方程式から :<math> \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} p = f _i </math> が成り立つ中で、(<math>f_i</math>はそれぞれの物体にかかる内力を指す。iはintrinsicの略。) それぞれの物体についての運動方程式を全て足し合わせると、 左辺については :<math> \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} P </math> (Pは全運動量)が成り立ち、 右辺についてはそれぞれの和は0となる。 これは作用反作用の法則から、物体にかかる力はそれぞれ大きさが同じで反対方向をむいている対応する力を持っており、物体系全体について足し合わせたときにそれぞれの寄与が打ち消しあい、結果として和が0に等しくなるからである。 == 運動の保存量の例:角運動量 == ある質点に対して ある1点を取り、その一点からのベクトルを<math>\vec r</math>とし、 その質点が持つ運動量を<math>\vec p</math>としたとき、 <math> \vec L = \vec r \times \vec p </math> を角運動量と呼ぶ。 物体が中心力以外の力を受けないとき、角運動量は時間的に保存する。 (導出) <math> \frac {\partial {}}{\partial t } \vec L = \frac {\partial {}}{\partial t } \vec r \times \vec p + \vec r \times \frac {\partial {}}{\partial t }\vec p </math> <math> = \frac 1 m \vec p \times \vec p + \vec r \times f(r) \vec r </math> <math> = 0 </math> ( <math> \vec a \times \vec a = 0 </math> を用いた。) ある軸を中心とした角運動量が保存する系では、一般にその軸に対する回転に関して系の状態は変化しない。例えば、太陽のまわりの地球の運動が完全な円運動であったとするとき、この運動は地球が含まれる平面に直交して太陽を通過する軸を中心とした回転について不変である。これは、太陽から地球にかかる引力が、地球と太陽の距離のみによっており、上で述べたような軸を中心とする回転では地球と太陽の距離は変化しないからである。このことは系の中に回転対称性があることに対応している。解析力学で述べられるネーターの定理を用いると、この系は回転対称性に対応する保存量を持つことが分かる。実際にはこの保存量が正に角運動量に対応しているのである。 * 問題例 ** 問題 平面上を半径rの円上を角速度<math>\omega</math>で運動している物体があるとする。 このとき、この物体が円の中心に対して持つ角運動量を定義にしたがって求めよ。 ただし、物体の質量はmであるとする。 * 解答 このとき物体の座標は時間の原点を適当に選ぶことで、 :<math> \vec r = (x,y) = r(\cos \omega t ,\sin \omega t ,0) </math> とかける。ただし、物体が運動する平面をxy平面とした。このとき、物体の 速度は :<math> \vec v = \dot {\vec r } =r\omega ( -\sin \omega t ,\cos \omega t ,0) </math> で与えられる。よって、物体の持つ角運動量<math>L</math>は :<math> \vec L = r(\cos \omega t ,\sin \omega t ,0) \times m r\omega ( -\sin \omega t ,\cos \omega t ,0) </math> :<math> = m r^2 \omega (0, 0, \cos^2 \omega t + \sin ^2 \omega t) </math> :<math> = m r ^2 \omega (0,0,1) </math> となる。もしくは、角速度を :<math> |\vec v| = | \vec r| \omega </math> の関係を用いて速さで書き直すと :<math> = m r v (0,0,1) = r p (0,0,1) </math> が得られる。これは物体の位置と物体の速度が直交していることからその2つのベクトルの大きさは2つのベクトルの絶対値に等しくなるのである。 また、物体の位置と速度を含むベクトルはxy平面に含まれるのでそれら2つに直交するベクトルである角運動量ベクトルは必ずxy平面に直交する。そのため、このベクトルはz方向を向くのである。 == 等加速度直線運動 == * '''速さの公式''': <math>v=v_0+at</math> * '''位置の公式''': <math>x=x_0+v_0t+\frac{1}{2}at^2</math> * <math>v^2-{v_0}^2=2a(x-x_0)</math> 以上は容易に導かれる。以下ではその数学的演算(数学Ⅱまたは数学Ⅲの初歩程度)を詳しく述べる。 * 運動方程式: <math>m\frac{d^2x}{dt^2}=f</math> (ただし、<math>\frac{d^2x}{dt^2}=a</math>…(1)) * 式(1)を時間<math>t</math>で積分すれば、左辺は<math>\int\frac{d^2x}{dt^2}dt=\frac{dx}{dt}</math>であり、右辺は<math>\int adt=at+C_0</math>(<math>C_0</math>は積分定数)より、<math>\frac{dx}{dt}=at+C_0</math>.いま、<math>t=0</math>を代入すれば<math>\frac{dx}{dt}|_{t=0}=C_0</math>であるから、<math>C_0</math>は<math>t=0</math>のときの速度である。従って<math>v=v_0+at</math>…(2)が導かれる。 * 式(2)を時間<math>t</math>で積分すれば、左辺は<math>\int\frac{dx}{dt}dt=x+C_1</math>であり、右辺は<math>\int (v_0+at)dt=v_0t+\frac{1}{2}at^2 + C_2</math>(<math>C_1, C_2</math>は積分定数)より、<math>x=v_0t+\frac{1}{2}at^2 + C_2-C_1</math>.いま、<math>t=0</math>を代入すれば<math>x_{t=0}=C_2-C_1</math>であるから、<math>C_2-C_1</math>は<math>t=0</math>のときの位置である。従って<math>x=v_0t+\frac{1}{2}at^2 + x_0</math>…(3)が導かれる。 * 式(2)を<math>t=\frac{v-v_0}{a}</math>と変形し、式(3)に代入すると、<math>x=v_0\frac{v-v_0}{a}+\frac{1}{2}a\frac{(v-v_0)^2}{a^2} + x_0</math>.この式において、<math>x_0</math>を左辺に移項し、右辺を展開し、両辺に<math>2a</math>を乗ずると、<math>2a(x-x_0)=v^2-{v_0}^2</math>を得る。 == 放物運動 == 放物運動は等速度運動と等加速度運動を合成したものと考えることができる。 初速度<math>v_0</math> 初速度の水平成分<math>v_x=v_0 \cos \theta</math> 初速度の鉛直成分<math>v_y=v_0 \sin \theta</math> 最高点に到達するまでの時間<math>T=\frac{v \sin \theta}{g}</math> 最高点の高さ == 円運動 == * '''運動方程式の極形式表示''': <math>ma_r=f_r, ma_\phi=f_\phi \left(a_r=\frac{d^2r}{dt^2}-r\frac{d\phi}{dt}^2, a_\phi=2\frac{dr}{dt}\frac{d\phi}{dt}+r\frac{d^2\phi}{dt^2}\right)</math>…(A) * '''円運動の運動方程式''': <math>mr\frac{d\phi}{dt}^2=-f_r, mr\frac{d^2\phi}{dt^2}=f_\phi</math>…(B) * '''等速円運動の運動方程式''': <math>mr\frac{d\phi}{dt}^2=-f_r</math> (<math>\phi</math>成分は0)…(C) 以下、上を証明する。 ** 証明 (A)の証明: <math>x=r\cos\phi, y=r\sin\phi</math>を2階時間微分し、<math>\frac{d^2x}{dt^2}=(\frac{d^2r}{dt^2}-r\frac{d\phi}{dt}^2)\cos\phi-(2\frac{dr}{dt}\frac{d\phi}{dt}+r\frac{d^2\phi}{dt^2})\sin\phi,\frac{d^2y}{dt^2}=(\frac{d^2r}{dt^2}-r\frac{d\phi}{dt}^2)\sin\phi+(2\frac{dr}{dt}\frac{d\phi}{dt}+r\frac{d^2\phi}{dt^2})\cos\phi</math>…(1)。また、<math>(f_x, f_y)</math>と<math>(f_r, f_\phi)</math>は、<math>f_x=f_r\cos\phi-f_\phi\sin\phi, f_y=f_r\sin\phi+f_\phi\cos\phi</math>…(2)、<math>(a_x, a_y)</math>と<math>(a_r, a_\phi)</math>は、<math>a_x=a_r\cos\phi-a_\phi\sin\phi, a_y=a_r\sin\phi+a_\phi\cos\phi</math>…(3)の関係がある。(1), (2), (3)を、運動方程式<math>m\frac{d^2x}{dt^2}=f_x, m\frac{d^2y}{dt^2}=f_y</math>に代入すると、(0)を得る。 ** ここで、<math>r</math>が一定値である(すなわち、<math>\frac{dr}{dt}=0, \frac{d^2r}{dt^2}=0</math>)ことを仮定すれば、円運動の運動方程式(B)が得られる。 ** さらに、<math>\frac{d\phi}{dt}</math>が一定値である(すなわち、<math>\frac{d^2\phi}{dt^2}=0</math>)ことを仮定すれば、等速円運動の運動方程式(C)が得られる。 ==== 万有引力による運動 ==== :<math> m ( \ddot r - r \dot \theta^2) = f(r) </math> の式で、 (上でいう <math>ma_r=f_r</math> に対応する。) :<math> f(r) = -G \frac {m m _1} {r^2 } </math> とおくと、 <math>\ddot r</math>が、まるで :<math> m r \dot \theta^2 -G \frac {m m _1} {r^2 } </math> の力を受けて運動しているように見えることが分る。 上式の第1項を遠心力と呼ぶ。遠心力については[[古典力学#相対運動|相対運動]]の ところでより詳しく扱う。また、第2項は重力を表わす力である。 ここで、面積速度をhとすると、 :<math> \frac 1 2 r^2 \dot \theta = h </math> の関係から上の力は :<math> m r (\frac {2h} {r^2} ) ^2 -G \frac {m m _1} {r^2 } </math> :<math> = m \frac {4h^2} {r^3} -G \frac {m m _1} {r^2 } </math> となる。この力はrだけを変数としてみたときにこの物体にかかる実効的な力と 考えることが出来る。仮にこの力をポテンシャルを用いて解析したとすると この物体の運動がどのような範囲で行なわれるかを知ることが出来る。 例えば、単振動においてはポテンシャルは振幅が大きくなるとき、無限に 大きくなるので運動は無限に大きくなることは出来ない。その様な手法を用いて この運動を解析するのである。ある1次元の運動ではある力f(x)が与えられたとき その位置エネルギーU(x)は :<math> U(x) = -\int _{x _0} ^x f(x') dx' </math> で与えられる。ここで、<math>x _0</math>は自由に選んでよい定数であるが、実際には多くの場合に 慣用的な値が決まっている量である。位置エネルギーの例として、x方向に一様な力-fを 受けるときのその力に対する位置エネルギーを計算する。実際に式に代入すると :<math> U(x) = -\int _{x _0= 0} ^x (-f) dx' </math> :<math> = fx </math> が与えられる。ただし、<math>x_0=0</math>とおいた。この位置エネルギーは質量mを持つ 物体に一様な重力がかかるときの位置エネルギーに対応する。 ここで、 :<math> f(r) = m \frac {4h^2} {r^3} -G \frac {m m _1} {r^2 } </math> の場合についても位置エネルギーを計算することが出来る。 実際に計算すると :<math> U(r) = - \int _\infty ^r (m \frac {4h^2} {r'^3} -G \frac {m m _1} {r'^2 }) dr' </math> :<math> = - (m \frac 1 {-2} \frac {4h^2} {r^2} -G(-1) \frac {m m _1} {r }) </math> :<math> = m \frac {2h^2} {r^2} -G \frac {m m _1} {r } </math> となり、 :<math> \frac 1 {r^2} </math> と :<math> - \frac 1 r </math> の和で書かれる関数となる。この関数は典型的に図のような形をしている。 *図 ここで横軸は円運動の中心からの距離であり、縦軸は物体の位置エネルギーである。 ある物体は運動の間常に等しいエネルギーを持っているので、この図形上では 常に等しいエネルギーを持って左右に移動する。そして、ポテンシャルエネルギーの 図形に衝突するとそれ以上に進むことが出来なくなりはねかえる。これは、 あるエネルギーを持った物体は自身が持っているエネルギーよりも高い位置エネルギー をもつ点には入り込めないことによっている。ここで、上の図形の中で エネルギー的に許される運動をエネルギーが低い順に見ていく。 ただし、面積速度が0に等しいときには上で書いた図とは異なった図形が 解析の対象となる。 *図 この場合、解析は非常に単純であり、物体は必ず中心の物体の重力に引きつけられて 最終的には中心の物体と衝突する。 元の図形に戻ると、 図形上で位置エネルギーが最も低い点は窪み状になっている。この点の高さよりも 更に低い全エネルギーを持った物体は存在し得ない。これは全エネルギーが 運動エネルギーと位置エネルギーの和であり運動エネルギーが正であることから 全エネルギーは必ず与えられた点での位置エネルギーよりも大きくなっていなくては ならないからである。最も低い窪みにあるエネルギーと等しいエネルギーを 持っている物体は位置エネルギーに挟まれて図形上で動くことが出来ないため、 常に等しい動径方向成分を持って運動する。この運動はまさに円運動に対応している。 一方、窪みとエネルギー0の線の間に位置するエネルギーを持つ物体は動径方向の 成分を変化させながらも、中心の物体からはなれること無く、そのまわりを 何らかの仕方で回転することが予想される。後に分かるのだが、これはまさに 中心のまわりを楕円運動することに対応する。これは、地球を含む全ての惑星が 太陽のまわりを運動する軌道を表わす情况であり、惑星の性質を扱う上で 非常に重要な運動である。 更に、エネルギー0よりも大きい全エネルギーを持つ物体は、rが0に近づく方向では 位置エネルギーが無限大まで存在するため、r=0となることは出来ず、適当な 位置ではねかえる。しかし、 :<math> r \rightarrow \infty </math> となる方向には位置エネルギーの壁が存在しないためこの物体は無限遠まで 飛んでいってしまうことが分かる。これも後に分かることだがこの物体は 双曲線軌道を描くことが知られている。例えば、太陽系外から天体が飛来して来て 太陽の重力で軌道を曲げられてそのまま飛び去って行くときにはその物体の 軌道は双曲線を描くのである。また、エネルギー0のときでも :<math> r \rightarrow \infty </math> となる方向での位置エネルギーの壁が存在しないため、無限遠まで飛んで行くことが わかる。この軌道は放物線に対応することが後に分かる。 例として、r = a = const. という情况について考えてみる。 このとき、 面積速度が一定であることから :<math> \omega = \dot \theta = \textrm{const.} </math> が分る。 このとき 式 :<math> m ( \ddot r - r \dot \theta^2) = f(r) </math> を解くと、 :<math> m ( \ddot r - r \dot \theta^2) = -G \frac {m m _1} {r^2 } </math> :<math> - a \omega^2 = -G \frac {m _1} {a^2 } </math> :<math> a^3 \omega^2 = G m _1 </math> :<math> a^3 =\frac { G m _1 } { \omega^2} </math> :<math> a =(\frac { G m _1 } { \omega^2}) ^{1/3} </math> となり、円運動の条件を満たす解が存在することが分る。 また、上の式は、どのようなaに対してもある一定の<math>\omega</math>が対応することを示している。 これは正に上であげた円運動の場合に対応している。 == 単振動 == * '''運動方程式''': <math>m\frac{d^2x}{dt^2}=-kx</math> * '''一般解''': <math>x=x_\mathrm{C}+ A\sin(\omega t+\delta)</math> <math>\left(\omega=\sqrt\frac{k}{m}\right)</math> (<math>x_\mathrm{C}</math>は振動中心。<math>A</math>(振幅), <math>\delta</math>(初期位相)は初期条件から決まる) 以下、単振動の例を示す。 * (例1) ばねを<math>a</math>だけ伸ばし、それを放す。 ** 初期条件は<math> x_{t=0}= x_\mathrm{C}+a,\ \frac{dx}{dt}_{t=0}=0</math>.これを一般解とその1階時間微分に代入すると、<math>x_\mathrm{C}+ A\sin\delta = x_\mathrm{C}+ a,\ A\omega\cos\delta = 0 \quad \therefore A=a,\ \delta=\frac{\pi}{2}</math>. * (例2) 自然長の位置から、初速度<math>v_0</math>を与える。 ** 初期条件は<math> x_{t=0}= x_\mathrm{C},\ \frac{dx}{dt}_{t=0}=v_0</math>.これを一般解とその1階時間微分に代入すると、<math>x_\mathrm{C}+ A\sin\delta = x_\mathrm{C},\ A\omega\cos\delta = v_0 \quad \therefore A=\frac{v_0}{\omega},\ \delta=0</math>. == 強制振動 == == 力 == 力には様々な種類が存在するが、遠隔力(場の力)と直接働く力の2つに大きく分けられる。 :万有引力 質量を持つ物体同士が引き合う力である。万有引力は万有引力の法則<math>F=G\frac{mM}{r^2}</math>によって表される。Gは万有引力定数と呼ばれる物理定数で、約<math>6.67\times 10^{-11} \frac{\rm{m}^3}{\rm{sec}^{2} \rm{kg}}</math>。距離の二乗に反比例することが重要な特徴である。これを逆二乗の法則と呼ぶ。 :重力 万有引力と自転の遠心力の合力である。重力は''W''=''mg''によって表される。gは重力加速度と呼ばれる物理定数である。 :クーロン力 電荷を持つ物体同士が引き合ったり押し合ったりする力である。クーロン力はクーロンの法則<math>F=\frac{qQ}{r^2}=qE</math>によって表される。ただし用いる単位系によっては<math>F=k\frac{qQ}{r^2}</math>となり、kの値に用いた単位系の性質が反映される。上のようにk=1となるのはガウス単位系と呼ばれるもの。とはいえ、力学ではkの値にはあまりこだわらない。それよりクーロン力もやはり逆二乗の法則が成り立つことが重要である。万有引力には引力しかないが、クーロン力には引力も斥力もあることも忘れてはならない。 :ローレンツ力 <math>F=q(v \times B)</math> :弾性力 ばねから受ける力である。弾性力はフックの法則<math>F=-kx</math>によって表される。 :張力 ひもや糸から受ける力である。通常でTで表される。大きさは未知である。 :抗力 接している面から受ける力である。垂直抗力と摩擦力がある。 ::垂直抗力 物体を置いたり、壁を押したときに受ける面に垂直な力である。通常Nで表される。大きさは未知である。 ::摩擦力 接している面から水平に受ける力である。静止摩擦力と動摩擦力がある。 :::静止摩擦力 静止している物体が滑ろうとしている向きと反対方向に受ける力である。 :::動摩擦力 運動している物体が滑っている向きと反対方向に受ける力である。 :浮力 流体から受ける力である。鉛直上向きである。圧力の合力である。浮力はアルキメデスの原理<math>F=Vdg</math>によって表される。 == 剛体の運動 == === 慣性モーメント === 特に剛体に対して角運動量を考えるとき、慣性モーメントという量を定義すると都合がよい。慣性モーメントは数学的には2階のテンソルであり、ベクトルにかかったときにベクトルを得るという働きを持つ。特にこの量については <math> \vec L = \vec I \vec \omega </math> または、 <math> L _i = I _{ij} \omega _j </math> が成り立つ。 ここで、Lは角運動量、Iは慣性モーメント、<math>\omega</math>は、角速度である。 剛体を質点が密に結合したものと考えると、 角運動量はそれぞれの質点の和で与えられる。 ある回転軸を取ってその回りの角運動量を考えると、 <math> L = \sum m _i r _i^2 \omega </math> (<math>r _i</math>は質点iの回転軸からの距離、<math>m _i</math>は、質点iの質量。) (全ての質点は密に結合しているので、それらが同一の角速度を持つことに注意。 (導出?)) 特に、x軸、y軸、z軸方向について考えるとこの値は <math> I _{kl} = \sum _i m _i (x _{ik}x _{il} - \delta _{kl} r _i^{2}) </math> が得られる。 これはテンソルの形をしているので、これが正しい慣性モーメントの表式で あることが分る。 計算例1 ある平面上の円(面密度<math>\sigma</math>,半径a)について慣性モーメントを計算する。 原点を円の中心、z軸を円に垂直な方向に取ると <math> I _z = \int _S \sigma (x^2 + y^2 ) dxdy </math> ( <math> \int _S </math> は円の面積全体での面積分を表わす。 ) <math> =\sigma \int _0 ^a r dr \int^{2\pi } _0 d\phi r^2 </math> (z軸の方向を保って円柱座標を取る。) <math> =\sigma 2\pi \int ^a _0 r^3 dr </math> <math> =\sigma \frac \pi 2 a^4 </math> となる。 ( <math> \sigma </math> は、 <math> \sigma a^2 </math> で質量となることから、この結果が正しい次元を持っていることがわかる。) さらに、 y軸方向の回転に対する慣性モーメントも計算する。 このときには、 <math> I _y = 4\int _0 ^a x^2 \sqrt{a^2-x^2} \sigma dx </math> (1/4 円について計算してそれを4倍する。) <math> = 4 a^4\sigma \int _0 ^1 u^2 \sqrt{1-u^2} du </math> (u = x/a と置き換えた。積分内の数値は無次元であることに注意。) <!-- (For this integral, maxima gave \pi / 16. And it must be correct!) --> <!-- integrate(u^2*sqrt(1-u^2),u,0,1 ); --> <!-- could be omitted. --> <math> = 4 a^4\sigma \int _0 ^{\pi /2} \sin^2 t \cos t \cos t dt </math> ( <math> u = \sin t </math> と置き換えた。 ) <!-- Maximaを用いて --> この計算を行なうと、 積分の値が <math> \pi /16 </math> で与えられることが分る。 よって <math> I _y = \frac \pi 4 \sigma a^4 </math> となる。 ここで回転に対する対称性から <math> I _x = I _y = \frac \pi 4 \sigma a^4 </math> となることに注意。 ここで、 <math> I _z = I _x + I _y </math> となっているが、この等式は厚みがない剛体に対して 一般に成り立つ。 (導出) <math> I _z = \sum _i m _i (x _i^2+y _i^2 ) </math> , <math> I _x = \sum _i m _i (y _i^2+z _i^2 ) </math> , <math> I _y = \sum _i m _i (z _i^2+x _i^2 ) </math> であるが、厚みがない物体に対して厚みがない面と垂直な方向に z軸を取ると、 <math>I _x</math>,<math>I _y</math>について <math> I _x = \sum _i m _i y _i^2 </math> , <math> I _y = \sum _i m _i x _i^2 </math> が成り立つ。(厚みがないので<math>z _i=0</math>となる。)このことから <math> I _z = I _x + I _y </math> が得られる。 {{DEFAULTSORT:こてんりきかく}} [[Category:古典力学|*]] {{NDC|423|こてんりきかく}}
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